二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 58章 哀れな2人 ( No.122 )
日時: 2011/05/07 01:15
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http:/ARUGRIZMU

イリスは電気石の洞穴でプラズマ団と戦い、フキヨセシティに到着してすぐに、見知らぬおじさん、もといアララギ(父)と出合った。
「はあ、つまりあなたはアララギ博士の父親だと」
「ああ、その通りだ」
嬉しそうに頷くアララギ(父)だが、イリスは正直胡散臭いと思っている。なにせこんな軽薄そうな中年親父があの世界的に有名なアララギ博士の父親だなんて。
「あ、アララギ博士。ここに居たんですか」
とその時。小麦色の肌にパイロットスーツを着た若い女性——幼い感じもするので少女と言うべきかもしれない——が曲がり角から現れた。
「おお、良いところ来たフウロ君。紹介しよう、彼女はフウロ君。この街のジムリーダーだ」
アララギ(父)は突如現れた女性、フウロをイリスたちに紹介する。
「僕はイリスです。ポケモン図鑑を埋めるために旅をしてますが、ポケモンリーグにも挑戦したく、各地のジムを回っています」
イリスがいつになく明確な旅の目的を言いつつ名乗る。
「へえ、っていうことはフキヨセのジムにも挑戦してくれるんだ。楽しみにしてるね」
フウロも明るい声で返す。
「それじゃあフウロ君。わたしはそろそろ行くとするよ。次もよろしくな」
とアララギ(父)はなんのことか分からないがフウロに言う。
「……博士。私の飛行機は貨物機です」
フウロがやや困ったように言い返す。
「はっはっは。まあ、人もポケモンも助け合いだよ」
そんなフウロの言葉を無視するように快活に笑い、アララギ(父)は去って行く。
「もう。あんないい加減な性格で世界的な博士だなんて信じられない」
フウロは態度を一変させ、アララギ(父)を軽く罵る。どうやらさっきまではアララギ(父)が一応偉い人だからと気を使っていたらしい。恐らくはこっちが素なのだろう。
「フウロさん、お願いがあります!」
いきなり、キリハが涙目になりながらフウロに何かを懇願しようとする。
「キ、キリハさん……どうかしましたか……?」
流石に少し引くフウロ。
それにしてもキリハいつ復活したのだろうか。後ろに元気の欠片を持ったミキが立っているが、まさかあれで復活したわけではないだろう、そう信じたい。
「僕をフウロさんの飛行機でヒウンまで連れて行ってください! このままじゃ僕の休暇が仕事で全部潰れてしまいます! きっとリオは仕事しませんし……お願いします!」
いつになく真剣、というか必死に懇願するキリハ。頼れるお兄さん的な設定はどこかへ消え失せたらしい。
「いや、だから私の飛行機は貨物機で……」
「貨物機でもジェット機でも戦闘機でも構いませんから!」
「戦闘機は流石に無いかな……」
困り果てた顔のキリハとフウロ。
「ってあれ? キリハさんとフウロさんって知り合いなんですか? PDOとポケモンリーグ連盟はつい最近まで干渉し合わなかったはずですが……」
「ああそれは、私とリオは友達で、キリハさんとはその繋がりで知り合いなんだ」
イリスはそれを聞いて納得した。まあ、人それぞれプライベートでの付き合いもあるだろう。

その後のキリハだが、結局飛行機に乗ってヒウンシティまで行っても着陸出来る場所がないため、徒歩で帰ることになった。その時のキリハの表情、というか心情はたかが2000文字程度では書き表せるものではなく、とりあえず哀れとだけ書いておく。
そしてイリスだが、ミキの尋問(といってもイリスは秒単位で折れたので尋問と言っていいのかは微妙)によりNとその関係について全て洗いざらい話した。
「と、言う訳なんだ……」
びびりながら話を終えるイリス。どうも最近はキャラ崩れが頻繁に起こっている。そういう時期なのだろうか。
「…………」
対するミキは腕を組み足を組み、小学生が非行に走ったような態度(といっても年齢的に小学生だが)でイリスを見据える。
「えっと……」
イリスは縮こまっている体をさらに縮こませる。ミキの師という設定はどこへ消えたのだろうか。
「……分かりました」
やがてミキは、腕も足も元に戻し立ち上がる。
「師匠が今どんな状況に置かれているのかがよく分かりました」
「……怒らないの?」
小学生みたいなことを言うイリス。こちらはもう年齢的に中学生です。
「怒っても無駄ですよ。どうせ怒っても師匠は縮こまって私の言葉に怯えるだけなんですから」
「真正面から言われると結構グサリと刺さる言葉だね……」
イリスは自分の立場について少しちゃんと考えてみることにした。
「さて、それじゃあ気持ちを切り替えてジム戦に臨みましょう、師匠」
「今の僕にそれはちょっと難しいかな……」
なにせ弟子に言われたい放題にされていたのだ、無理も無い。
「何言ってるんですか。師匠という人間なら出来ますよ」
「ちょっと僕自分に自信なくしてきた……」
もしかしたらイリスは4番道路での出来事とは別の理由でスランプに陥るかもしれない。
イリスもまた、哀れである。



今回はフキヨセのジムリーダーフウロの登場です。そして今回は地文に設定に触れる様な事を多数書いてみました。そうでもしないと字数が少な過ぎるんですよ。バトルシーンがあったら字数がオーバーし、なかったら字数が少なくなって困る。何で僕はこんなにも極端なのでしょうか? ……まあ、そろそろ予告に移るとして、次回もやることは決まってません。恐らくはプラズマ団関連でなにかをすると思いますので、お楽しみに。