二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 7章 博物館荒らし ( No.14 )
- 日時: 2011/04/08 18:00
- 名前: 白黒 (ID: /LylQYeE)
- 参照: http:/BUENOSUAIRESU
「シッポウシティは100年前の倉庫を住宅として再利用した街。田舎にしてはお洒落なカフェ・ソーコという喫茶店もあり、芸術家が集まることから、芸術の街とも呼ばれる。なお、化石を復元することが可能な機械、イッシュの全てが詰まったと言っても過言ではない本の量を備えた博物館兼ポケモンジムも存在し、人のよく来る活気ある街。か」
と、イリスはポケモンセンターで貰ったパンフレットを読み終えると、用済みと言った風にゴミ箱に捨てた。
「ジムがどこにあるかと探し回ってたら、あの馬鹿デカイ博物館がそうだったのか」
現時刻9時30分。イリスは、ほんの10分前まではシッポウジムはどこにあるのかとは探し回ってた(走り回ってたと言った方が正しい)のだ。
「今まで走ったのは、全部徒労ということか……」
イリスはがっくりとうな垂れる。
「しょうがない。今日はもう休んで、明日のジム戦に備えよう」
諦めたのか何なのか、イリスは宿泊施設を兼ねているポケモンセンターの自室に戻り、少し早いが寝ることにした。
翌日。
イリスはシッポウジムを訪れた。
「悪いねえ。ジム戦は、しばらくちょっと無理なんだ」
イリスは絶望の極みみたいな顔をした。
「そんな……何でですか、アロエさん!?」
イリスは、シッポウジムジムリーダー及びシッポウ博物館館長のアロエに、泣きそうになりながらも懇願した。
「な、何って……最近、博物館で不審な影を見つけるんだ」
イリスの行動に、少し引き気味のアロエはそう答えた。
「不審な、影?」
「それだけじゃない。スプリンクラーが誤作動を起こしたり、展示物の位置が変わったり、補修したばかりの床や壁に亀裂が入ってたり」
「それは……確かに大変ですね。展示物は無事なんですか?」
「化石とかは無事だけど、レプリカの類は半分近く破壊されている」
「何で、レプリカばかりを破壊するのでしょう?」
「さあ……? 本物を破壊されるよりマシだけど、このままじゃ営業に支障をきたしてくるんだよねえ……」
アロエは考えるような仕種をして、何か閃いたらしい。
「そうだ。アンタ、ジムに挑戦したいなら手伝っておくれよ」
そんなこんなで、イリスは博物館荒らしの犯人を捕まえるために、博物館にいた。
「暗いなあ……」
現時刻は夜中の11時。本来ならとっくに閉館しているが、イリスは特別にここに居させてもらっている。
「といっても、犯人を捕まえるためなんだけどね」
正直イリスはノリノリだった。ゴーストタイプ好きの彼は、こういった暗くて静かな場所を好むのだ。そのため、トレーナーズスクール時代はゼンクラ(全てが暗いの意)と呼ばれていた。
「ん、あれ、水……?」
上からシトシトと水が降ってくる。しだいにその水は強さを増していき、雨のようになった。
「アロエさんが言ってたスプリンクラーの故障か? ん、何だろう、あれ?」
今度は少し遠くに何かが見えた。
ポケモンの化石が宙に浮かび、別のあいているスペースに移動した。
「…………」
流石に絶句するしかなかった。
次に、後ろで気配がした。
「!? これは……!?」
ポケモン、だった。
「このポケモンは、デスマス!?」
デスマスを目にしたイリスの目は輝いていた。
「なるほど、博物館荒らしの犯人はこいつか。出て来い、ミジュマル!」
イリスはミジュマルを出し、デスマスと相対する。
「ミジュマル、展示品を壊さないように頼む。シェルブレード!」
ミジュマルがデスマスに飛び掛り、シェルブレードを当てようとしたら
「動きが止まった!? サイコキネシスか!」
続けてデスマスは青白い炎の玉を放った。
「今度は鬼火か。ミジュマル、水鉄砲!」
デスマスとの差はほぼ0距離。かなりのダメージを負ったはずだが、デスマスは全く動じていない。
「硬いな……流石はデスマス」
次にデスマスは黒い手に力を溜め、ミジュマルを地面に叩きつけた。
「! しっぺ返し……後から使うと威力が倍増する技か。少し、ピンチかも……」
まだワシボンが残っているが、このデスマスは強い。ワシボンでも勝てるかどうかは微妙なところだ。
と、現状に悲観していると、博物館のドアが開いた。
「そうか、博物館荒らしの犯人はデスマスだったのか。まさかポケモンだとは、盲点だった」
「アロエさん!」
ジムに入ってきたのはアロエだった。
「悪いねえ、囮みたいなことさせちゃって。でもま、おかげで犯人は見つけた。どうするデスマス? アタシとこの坊やと、2人を同時に相手するかい?」
戦力的に負けを悟ったらしいデスマスは、降参と言った風に目を閉じた。結構冷静なデスマスだった。
「さて、どうしようか、このデスマス。このままほっといたら、悪戯好きのこいつのことだ、きっとまた何か悪戯するよ」
「あ、なら、僕がゲットしてもいいですか?」
「ん? 別にいいけど。好きなのかい、デスマス?」
「はい。ゴーストタイプが好きなんです、僕」
「そうかい。ノーマルタイプ使いのアタシだが、アンタには苦戦しそうだねえ……」
「アロエさん、ノーマルタイプ使いなんですか?」
「ああ、そうさ。ほら、早く捕まえな。逃げちまうよ」
「あ、はい」
イリスはモンスターボールを1つ取り出し、デスマスの額でボタンを押す。すると、リズムよく振れて、カチという音がする。
「さて、犯人も捕まったことだし、アンタはポケモンセンターに戻りな。明日、相手をしてやるよ」
「はい、おねがいします」
今回はイリスが新しいポケモンをゲットしました。分かる人は分かると思いますが、アニメ版からの引用です。次回はジム戦、長くなるかもですので、前後編にしようと思ってます。ではまた。