二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 番外編 四季の川 後編 ( No.144 )
日時: 2011/05/25 00:17
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)

「ワルビル、爪とぎ」
ワルビルは爪を砥いで攻撃力と命中率を高める。
「ゾロアーク、悪の波動」
ゾロアークは悪の波動を放ち、ワルビルを攻撃するが
「ワルビル、影分身!」
ワルビルの影分身でかわされてしまう。
「噛み砕く!」
「避けろ!」
ワルビルが突っ込んでくるのに対し、ゾロアークは俊敏な動きでそれを回避する。
「なら砂地獄だ!」
ゾロアークの足元に、突如流砂ができ、ゾロアークを飲み込んでいく。
「バークアウト」
しかしゾロアークはけたたましい叫び声で流砂を消滅させた。そして素早くワルビルに接近する。
「お仕置きだ!」
お仕置きとは、相手の能力が上がっているほどに威力を増す技。なので今のワルビルには打って付けの技だ。
「続けてバークアウト!」
そしてそのままバークアウトに繋げ、叫び声でワルビルを吹き飛ばして戦闘不能にさせた。
「戻れ、ワルビル。……出て来い、キリキザン!」
プラズマ団は最後のポケモンと思しきキリキザンを繰り出してきた。
「キリキザンか。ゾロアーク、バークアウト!」
キリキザンはモロに叫び声を受ける。しかし
「キリキザン、ローキック!」
キリキザンは素早くゾロアークに接近し、その足元払うような蹴りを入れる。
「ゾロアーク!」
「メタルクロー!」
ゾロアークが地面に伏しているところに、メタルクローを振り下ろすキリキザン。
「とどめだ、シザークロス!」
最後にキリキザンは腕を交差させ、そのままそれを斜めに振り下ろすようにしてゾロアークを切り捨てる。
「悪タイプのゾロアークには虫タイプのシザークロスは効果抜群。もう立てないだろう」
プラズマ団はゾロアークに寄り添うミナアキにそう言い放つ。
「くぅ……」
悔しそうに呻くミナアキ。プラズマ団は構わず、喋り続ける。
「この川はなかなか良い川だ。澄んだ川ほど、汚れていくのを見るのは面白い」
ニヤリといやらしくプラズマ団は笑う。ミナアキは、それを見ている事しか出来なかった。そして、昔を思い出していた。

10年前。ミナアキはホドモエで生まれ、ホドモエで育つ少女だった。ホドモエの子供には、昔から注意すべきことがあった。それは、四季の川に近づかないこと。四季の川は危ないから、決して近づいてはいけないと。
しかし、少年少女時代。誰しもしきたりなんかを破ってみたくなるもので、ミナアキもそうだった。ミナアキはこっそりと朝早くに家を出て、四季の川へと向かった。
四季の川の水はとても澄んでいて、きれいだった。この辺りには草タイプのポケモンが多く住んでいて、その為水も澄んでいるのではないかと言われている。
ミナアキはその水面を見て、見蕩れていた。そしてその水を飲んでみようと前のめりの姿勢になったその時。ミナアキのいた足場は崩れた。どうやらその足場は脆くなっていたようだ。
ミナアキは比較的浅い所に落ちたが、如何せんまだ幼いので足が着かず、必死でもがいていた。しかしやがて、体力が尽き、ミナアキは川に沈んでいった。ミナアキは意識が遠のいていく中で、危険な川に近づいたことを後悔した。しかしその時だった。
何かが自分の背中を水面に向けて押し上げている。間もなくして、ミナアキは水面に顔を出し、近くの岩につかまって周りを見渡す。するとそこには1匹のオタマロがいた。どうやらこのオタマロが助けてくれたらしい。
ミナアキはホッと安堵の溜息を吐いたが、すぐに新たな危機が迫ってきた。乱暴なポケモンで有名なバスラオが、こっちに向かってくるのだ。ミナアキはまた終わったと思ったが、世の中は悪いことが起こった後は良いことが起こるもので、そのバスラオに攻撃を仕掛けたポケモンがいた。ゾロアである。
ゾロアは素早い動きでバスラオに接近し、ひっかく。しかしあまり効果的なダメージは与えられていないようだ。だが、続いて後ろから無数の葉っぱがバスラオを攻撃した。そこにいたのは、ハハコモリ。この近辺に生息するポケモンだ。その上空にはマメパトがいる。どうやらあのマメパトが呼んできたらしい。
この後、ミナアキは3匹のポケモン+ハハコモリに助けられ、家に帰ると親に物凄く怒られた。しかし、あの川で溺れたことは全く後悔していない。何故なら、大切なポケモンが、仲間が出来たから——

「……思い出した」
「あ?」
「最近忙しくて、すっかり忘れてた。そうだ、私は四季の川で皆と出会ったんだ。だから、お前らなんかにその川を汚させはしない」
ミナアキは再び滾ったやる気を起こし、眼を鋭くする。
「はん。往生際が悪い。だったら一思いにサッサと決めてやる。キリキザン、アイアンヘッド!」
キリキザンは頭を突き出し、猛烈な気迫を纏って突進してくる。
「ゾロアーク、行くよ。悪の波動!」
ゾロアークは全身全霊の力を使い、悪の波動を放つ。
そして
「キリキザン!」
キリキザンは吹き飛ばされ、戦闘不能となる。
「ふぅ、勝った……」
ミナアキは安堵する。しかし
「まだ、俺たちは残っているぞ」
新たなプラズマ団が現れた。どうやらまた援軍を呼んだらしい。
「や、やばい……!どうしよう……!」
明らかにパニックに陥り、動揺するミナアキ。
しかし、良いことの次には悪いことが起こり、その次には良いことが起こるのが世の常。
「オーベム、サイコキネシス」
念動力により、プラズマ団は一掃される。
「あなたは……キリハさん!」
プラズマ団たちの後ろにいたのは、キリハだった。
「歩いてヒウンに帰る途中、季節研究所の方が騒がしいと思えば、プラズマ団がいるし、最近僕はついてないな」
溜息を吐くキリハ。
「ミナアキさん。これも何かの縁。手助けします」
というわけで、置いてけぼりを食らったキリハが偶然季節研究所の近くを通りかかって、プラズマ団を捕まえることが出来たのであった。

その後。
「キリハさん。ヒウンまでどうやって帰るんですか?」
「歩いて。それしか方法がないんです。どこか誰かに置いてかれたから」
「それなら、お礼といっては何ですが、私のケンホロウを使ってください。私のケンホロウはメスなので、今日中に着くと思います」
「良いんですか?」
「はい、是非」
ということがあり、キリハは無事ヒウンに帰る事が出来ました。



番外その4。ついに終了です。まずメデューサさんへ。ミナアキを出すのが遅れてすいません。今回やっと番外まで辿り着きました。そして過去にバスラオに襲われた、的な設定を勝手に付け加えてしまってごめんなさい。……では、次回予告を。次回はセッカの湿原で何かするか、ジム戦です。次回もお楽しみに。