二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 72章 新たな自分 ( No.146 )
- 日時: 2011/05/25 22:16
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
「ズルッグ、頭突き!」
「避けろフリージオ、毒突き」
フリージオはズルッグの頭突きを避け、鎖から放たれる毒突きで突くが、避けられてしまう。
「ズルッグ、炎のパンチ!」
「毒突きだ」
ズルッグは拳に炎を灯し殴りかかるが、フリージオの毒突きに相殺されてしまう。
「強いですね、ハチクさん」
「わたしはこれでもジムリーダー。常に高みを目指し、精進するのだ」
「……あの、ハチクさん。つかぬ事をお聞きしますが」
「何だ」
「昔、テレビでハチクさんのこと見たことある気がするんですけど」
「…………」
「確かそれは、時代劇だったんですが、ハチクさんは俳優だったんですか?」
「……昔はな。だが、もう引退した」
「どうして引退したんですか?」
「……撮影中に怪我をしてな。それ以来俳優業から引退した。わたしはそれで酷く落ち込んだが、現チャンピオンのアデク殿が、私を激励してくださった。そして、わたしのポケモントレーナーとしての資質を買って、ジムリーダーの推薦状をも書いてくれた。この時から、わたしは俳優としてのハチクではなく、ジムリーダーとしてのハチクとなったのだ。このアイマスクも、自分の素顔を隠すためのものだ」
と、ハチクはそこまで語って、何やらスイッチが入ったように雰囲気が変わった。
「……アデクさんは、ハチクさんとも親交が深いんですね。流石チャンピオン、といったところか」
イリスもまた、少し雰囲気が変わる。どちらも鋭く、鋭利な感じがする。
「ではこちらも聞かせてもらいたいのだが」
ハチクは自分が問われたように、イリスに問う。
「そなたと共に来た少女。彼女は最近同盟を結んだPDO、それもセッカ支部統括、ザキの妹のミキではないか?」
「やけに回りくどく言うんですね。まあ、その通りですけど。それが何か?」
「いやなに。2人はどういう関係なのか、少々気になってな」
「どういう関係……師弟関係ですね。僕は、彼女の師です」
「そうか。よく、ザキが許したものだな」
「あの、ハチクさんて、ザキさんやミキちゃんと、親しいのですか?」
「親しい。そうだな。このセッカはあまり広い街ではない。故に街の人々はお互い親しい仲なのだ。ザキとミキは、赤ん坊の頃から知っている。ザキは妹思いの良い兄だ。ミキもしっかりとした意思を持った強い娘だ。どちらも素晴らしい」
ハチクはザキとミキを称賛するが、当のミキは半分照れつつ、半分はハチクの少々誤った理解に対して苦笑している。
「そうですか……っと、そろそろバトルに戻りましょうか」
「そうだな」
2人は会話を打ち切り、バトルに臨む剣呑な雰囲気となった。
「ズルッグ、炎のパンチ!」
「フリージオ、毒突き」
またも炎のパンチと毒突きが相殺される。
「ズルッグ、地面に炎のパンチ!」
ズルッグは炎の拳を地面に叩きつける。すると、弱火だが炎の火柱が上がる。
「くっ、オーロラビーム」
やはり氷タイプのフリージオは炎が苦手。オーロラビームで火柱を消していく。
「今だ、頭突き!」
フリージオが消火をしている隙に、ズルッグはフリージオに頭突きを当てる。
「結構効いてるな。どうやらあのフリージオ、防御は低いみたいだ。あと何発か入れれば、倒せる。ズルッグ、地面に炎のパンチ!」
ズルッグは再び炎の拳を地面に叩きつける。
「同じ手は2度も食らわんぞ。フリージオ、払い除けろ」
フリージオはズルッグが地面に拳を振り下ろす前に、口から伸びている鎖でズルッグの足を払う。
「毒突き」
「ズルッグ、避けろ!」
ズルッグは鎖から放たれる毒突きを転がってかわす。そして素早く起き上がり、後を取る。
「飛び膝蹴りだ!」
ズルッグは全身の力を込めての飛び膝蹴りをフリージオに見舞う。しかし
「フリージオ、締め付ける」
フリージオの鎖が伸び、空中で今まさに蹴ろうとしているズルッグを締め付け、身動きを封じた。
「ズルッグ!」
「これで終わりだ。絶対零度」
ハチクは技の名の通り、絶対零度の如し冷たさで言い放つ。
「絶対……零度……?」
イリスが疑問符を浮かべていると、ズルッグの周りが凍っていき、次第にズルッグおも凍らせていき、1分もしないうちにズルッグは完全に凍りついた。
「これは……」
「絶対零度とは、ポケモンの周囲の空気を極寒の冷気に変え、相手を凍結させる技。これを受けたポケモンは一撃で戦闘不能となる、必殺の技。凍結させるまで時間が掛かり、命中率は低いがな」
ハチクは淡々と説明し、イリスはその間ズルッグをボールに戻す。
「まさか、一撃必殺の技を覚えているなんて……」
イリスは本気で驚いているようだ。一撃必殺の技は命中率が異様に低いので、使用頻度も低いからだ。
「相手の裏を読み、裏の裏をかく。そして相手に裏をかかせないようにする。これこそが、ポケモンバトルの心得」
ハチクはイリスをじっと見据え、そう言う。
「……それは、良いことを聞きました。肝に銘じておきますよ」
イリスはそう言いつつ、次のポケモンを出す。
「頼むぞ、チラーミィ」
イリスの3番手はチラーミィだ。
「チラーミィか。素早く、相手を翻弄しつつ戦うポケモン。相手にとって附則はないな」
ハチクの眼は、一層鋭くなる。
いきなりこんなこと言うのもなんですが、あとがきのネタがなくなりつつあります。なんというか、こういうのって小説内のキャラクターとか出した方が良いんですかね。僕はあとがきっぽさを出すために登場させていませんが。まあ、その辺は必要に応じて切り替えるとしましょう。それから、読者のみなさんも、どうすれば良いか希望を言ってくれると嬉しいです。結局他人任せになってしまいましたが……さあ、長くなりましたが次回予告。次回はセッカジム戦、ついに決着です。お楽しみに。