二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 73章 熱さと冷たさ ( No.147 )
- 日時: 2011/05/27 16:06
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
「チラーミィ、スイープビンタ!」
チラーミィは尻尾を硬化させ、フリージオに突っ込んでいく。
「フリージオ、毒突き」
フリージオもチラーミィを迎撃すべく、口から伸びる氷の鎖でチラーミィを突く。
「かわせ、チラーミィ!」
しかしそこは流石チラーミィ。フリージオの繰り出す毒突きをひらりとかわしていく。
「アイアンテールだ!」
そして毒突きの合間を抜けるようにアイアンテールを放ち、フリージオを戦闘不能にする。
「戻れ、フリージオ」
これでハチクのポケモンも残り1体になった。
「では、行くぞ。わたしの切り札、ツンベアー!」
ハチクは最後に、エースポケモンらしいツンベアーを繰り出す。
「ツンベアーか。確かそのポケモンは、攻撃は高いけど素早さは低いはず。ならチラーミィには持って来いの相手だ」
「果たして、そううまくいくかな。ツンベアー、氷柱落とし」
ツンベアーはどこからか次々と氷柱をチラーミィに落とす。
「チラーミィ、アイアンテールで粉砕しろ!」
チラーミィは飛び上がり、尻尾を鋼のように硬化させ、ガキンだのバキンだのと音を立てながら次々と粉砕していく。
「よし、そのまま突っ込め!」
チラーミィは尻尾を硬化させたまま、ツンベアーに突っ込んでいく。
「ツンベアー、冷凍パンチ」
それに対しツンベアーは、凍てつく拳を構え、迎撃の態勢を取る。
「行け」
そしてその拳を振り抜き、チラーミィに殴り掛かる。
「下だ、チラーミィ!」
しかしチラーミィはツンベアーの下に潜り込み、冷凍パンチをかわす。そしてそれだけでなく、そのままアイアンテールを下から上に切り上げるようにして食らわせる。
「ぬぅ、ツンベアー!」
だがツンベアーは気合でその攻撃を耐え、気合でチラーミィを吹き飛ばした。
「この時代にまさかのド根性精神ですか。いろんな意味でビックリですね」
イリスは驚愕の行動に心を乱されないように、軽口を叩いて冷静さを保とうとする。
「行くぞツンベアー。氷の息吹」
ツンベアーは口から今にも凍てつきそうな氷雪の息吹を放射する。
「ぐっ、チラーミィ、草結びだ!」
チラーミィは草結びでツンベアーの動きを止め、この息吹を消そうと試みたが
「無駄だ」
ツンベアーは想像以上にタフで、草結びを受けても何も感じていないようだ。
「くぅ、チラーミィ!」
それによってチラーミィは、氷の息吹を受け、その場に倒れこんだ。
「氷の息吹は相手の急所を確実に攻める技。直撃せずとも、大ダメージは免れない」
ハチクの言う通りである。チラーミィは直撃したわけではないのに、かなりのダメージを負っている様に見える。
「さて、そろそろこの勝負も終わりにしようではないか。ツンベアー、気合玉」
ツンベアーは全身の気力と気合を球状にしたような球を、両手で包み込むようにして構える。そしてそれを倒れ伏しているチラーミィに向けて放つ。
「チラーミィ!」
ドッカーンという轟音の後、砂煙がもうもうと立ち込める。そしてチラーミィは
「チラーミィ……」
チラーミィはなんとか立ち上がったが、もうふらふらである。とても戦えるような状態ではない。
「まだ立つか。だが、立った所で良いことはない。別段、今回負けても、次があるのだ。反省を活かし、それに臨めば良い」
ハチクの言うことは正しい。というか正論だ。このままチラーミィが戦い続ければ、体を壊す恐れがないとも言い切れない。しかし
「残念なことに、僕は諦めの良いときと悪いときの比率が丁度良いことで有名でしてね。今回のこれは、確実に諦めたらいけないでしょう!」
イリスは負け惜しみのようにも、何かを確信しているようにも聞こえることを言う。
「……よかろう。そこまで言うのであれば、続けるとしよう。ツンベアー、氷の息吹」
ツンベアーは凍てつくような息吹を吹き、攻撃してくる。
「突っ切れ、チラーミィ!」
「なに!?」
ハチクは驚愕した。満身創痍と言っても過言ではない状態のチラーミィが、急所を攻撃する氷の息吹に突っ込んでいったのだから。
「あくまで正面からぶつかるというわけか。なら、氷柱落とし!」
ハチクはどこかヒートアップした感じで指示する。指示されたツンベアーも、一層気合を入れて氷柱落としを放つ。いや、それはもう氷柱というより、小型の氷山が逆さまになってまとめて降ってきたようだった。しかし
「スイープビンタ!」
チラーミィはその氷柱(氷山?)を紙一重で回避し、時にはスイープビンタで粉砕したり、尻尾をばねのように使って移動したり、落ちてくる氷柱を足場にしたりと、とにかく素早い動きでツンベアーに接近する。
「氷柱落とし!」
だが最後の最後で、ツンベアーは自分の周囲を防御するように氷柱を落とす。これではチラーミィに氷柱が当たり、やられてしまう。
「チラーミィ、アイアンテール!」
しかしチラーミィは諦めず、落下してくる氷柱ごと、ツンベアーにアイアンテールを食らわせる。氷柱はパリーンと砕け散り、ツンベアーは顎に鋼の尻尾が叩き込まれ、仰向けにバタンと倒れこむ。
「……わたしの負けだ」
ハチクは、負けを認めた。
「熱いだけでなく、冷たいだけでなく、2つを自在にコントロールする。それがわたしの流儀。そなたは、それらを自在に操ることが出来る。なので、このアイシクルバッジを授けよう」
「ありがとうございます!」
イリスはお礼を言うと、ジムから出た。
「あれ? チェレン、ベル?」
ジムから出ると、そこにはチェレンとベルがいた。ベルはいつも通りだが、チェレンは心無し沈んでいるように見える。
「イリス……僕は、どうすればいいんだ。最近、強さとは何か、弱さとはなにか。それが分からなくなってきた」
「もうチェレンったら。そんなこと気にしなくていいの。それよりイリス、ジム戦は終わったの?」
「うん。なんとか勝てたよ」
イリスは微笑みつつ言う。すると背後から誰かが来た。ハチクだ。
「誰だ」
「えっと、あたしはベル……こっちはチェレンで……」
ベルは言い淀みながらも言うが、ハチクは他をきにしているようだ。
「いるのは分かっている。出てきたらどうだ」
『?』
その場にいる、ハチク以外全員が疑問符を浮かべたところで、その3つの影は現れた。
セッカジム戦、ついに終わりました。もう7つ目ゲットです。あと1つです。では、本編が長めなので早めに次回予告。次回はこの件ですので、龍螺旋の塔です。お楽しみに。