二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 74章 龍螺旋の塔 ( No.148 )
日時: 2011/05/27 16:57
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)

龍螺旋の塔。イッシュ地方最古の建造物で、イッシュの国が出来る前から建っていると言われている。この塔には入口が存在せず、内部がどのような構造になっているのかが不明である。また、いつ、誰が、何のために建てたのかも不明で、謎の多い塔である。なお、最上階では、伝説のポケモンが真実を追い求める人間を待っている、と言い伝えられている。

「うわー、すっごい穴開いてるよ。まったく、こんな歴史的建造物になにをするんだか」
現在イリスとミキは、龍螺旋の塔の外いる。そして、プラズマ団が開けたと思しき大穴が、塔の側面にある。
「ご丁寧に橋まで架けてあるし、一体全体こんなとこで何をするつもりなんだか」
「今更そんなこと言っても無駄だと思いますけど。相手も結構目的が近づいているっぽいですし、もう止まりはしないでしょう」
「それもそうだね」
イリスはミキの発言を肯定して、歩き出す。
「N、本当に君は何をするつもりなんだ……?」
イリスはそっと呟く。セッカジムを出た時のことを思い出しながら。

時は5分ほど前。イリスがセッカジムを終えた直後のことである。
「流石セッカのジムリーダー、ハチク。陰の存在である我らに気付くとは」
突如現れたのは、ゲーチスに絶対の忠誠を誓っている3人組、ダークトリニィだ。
「ダークトリニィ!? 何でこんなところに!」
「貴様に用があるのだ、イリス」
ダークトリニィは、イリスを名指しする。
「今から話すことは、本当はイリスだけに伝えるつもりだったのだが、まあいい。イリスよ、龍螺旋の塔でN様が貴様を待っている」
それだけ言うと、ダークトリニィはヒュンという音をたてて消えた。
「龍螺旋の塔……そちらの少年、ジム戦ならしばし待たれよ。わたしは龍螺旋の塔に向かう」
ハチクはそう言うと、北の方角に向かって走り出した。
「僕も行く。プラズマ団がまた面倒なことしてるなら、何が何でも止めなくちゃね」
チェレンもまた、ハチクに続いて北の方角に向かって走り出す。
「ミキちゃん、僕らも行こう」
「はい、師匠!」
イリスとミキも走り出す。そして、ベルだけが取り残される。
「あ、ちょっと皆! 待ってよ〜〜!」
ベルも慌てて走り出す。

イリスとミキ、そしてベルが龍螺旋の塔に辿り着くと、そこにはアララギ(父)がいた。
「おお、お前さんたちか」
「アララギ博士(父)。何でこんなところに?」
イリスが疑問を投げかける。
「いやなに、この龍螺旋の塔は科学者や研究者の間ではかなり有名な塔でな、わたしもその筋だからセッカに来たついでに見ようと思っていたところだが、どうもそんな暢気なことをしている場合ではないようだ」
すると、アララギ(父)の目付きが鋭くなる。
「現状を説明するぞ。今し方プラズマ団が爆弾か何かで塔の壁を破壊し、中に侵入した。そしてそれをジムリーダーハチクと、チェレンが追いかけて行った」
「僕も行きます」
アララギの言葉が終わるや否や、イリスは言った。
「ふうむ。子供がプラズマ団を相手取るのはあまり関心せんが……」
「大丈夫ですよ博士。チェレンもイリスもミキちゃんも、プラズマ団と戦って勝ったことが何度もあるんですから」
アララギ(父)が渋るような素振りを見せると、ベルがフォローをしてくれる。
「あ、でも、あたしはそんなに強くないから……ここで、博士のボディーガードでも出来たらいいなーと……」
ベルは少し言い淀みながら言う。強気にはなれないが、何か力になろうと必死なのだ、ベルは。
「はっはっは、これは頼もしい。それじゃあ、お願いするとしよう」
アララギ(父)は、ベルの申し出を快く引き受ける。そして、何か思い出したように懐から何かを出す。
「今はこれしか残っておらんが、気休めくらいにはなるだろう」
そう言いながら渡してきたのは、ヨウカンだった。
「ヨウカンなんて入りませんよ! これじゃ気休めもクソもないですから!」
イリスはヨウカンを近くの草むらに投げ捨て、叫ぶ。ちなみにヨウカンは草むらにいるポケモンがおいしくいただいている。
「そうか……ヨウカンうまいんだがな……」
「知りませんよ!」
「ヨウカンおいしいのにね……」
「ベルも乗らなくていい!」
「ヨウカンおいしんですのに……」
「ミキちゃんもボケ倒さなくていいから!」
以上、回想シーンでした。

イリスは龍螺旋の塔の内部を進んでいるうちに、ふと足を止めた。
「なんか、この塔揺れてない?」
「言われてみれば、そういう気もしなくもないですね」
「最上階で、何かあったのかも。急ごう」
「はい」
イリスとミキは少し小走りで塔の内部を進んでいく。
「? 誰かいる……」
イリスは広間のようになっている場所で、足を止める。そして倒れている柱の陰に身を潜めつつ、周囲を見渡す。
「隠れなくとも良い。お前達の居場所は分かっている」
そう誰かに言われた瞬間、イリスは立ち上がる。
「あんたは……」
そこにいたのは、プラズマ団7幹部の1人。バイオだった。



さて、次回予告です。いや、早すぎだろって感じなのは分かりますが、ネタがないんです。だから早々に次回予告を済ませようかなーという作者都合です。次回はバイオと、もう1人幹部を出すことを予定しています。お楽しみに。