二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 75章 2つの戦い ( No.149 )
- 日時: 2011/05/28 00:41
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
「待っておったぞ」
紫色の髪に、白衣のように改造された制服を着た男。プラズマ団幹部の1人、バイオはニヤリと笑いながら言う。
「まさかこんなところに、セコ……プラズマ団幹部がいるなんて」
「おい貴様、今セコ〜で続く言葉を言いかけなかったか?」
バイオはやや不機嫌そうに言う。
「気のせいだ。それよりも、お前はここで通せんぼをするのか?」
「勿論だ」
バイオはそう言って、ポケモンを出す。
「バスラオか……」
バイオが繰り出したのは乱暴ポケモンのバスラオ。それも赤筋だ。
「さて、どうしたものか……」
現在イリスの手持ちは4体。セッカジム戦後回復をせずに直行したため、2体が戦闘不能。1体が満身創痍と、戦力が半減している。
「師匠、ここは私に任せてください」
とイリスが迷っていると、ミキが一歩前に出て言った。
「ミキちゃん……でも……」
「私なら大丈夫です」
ミキは力強く言う。イリスもそれが効いたのか、ゆっくりと目を閉じて、開ける。
「じゃあ、任せたよ」
イリスはそう言い残し、ダッと駆け出す。
「行かせんぞ。バスラオ、アクアジェット!」
バスラオは水を纏い、高速でイリスに突撃していく。しかし
「! バスラオ!」
バスラオは何かに攻撃され、吹っ飛ばされた。
「邪魔は、させませんよ」
ミキの目の前には、石宿ポケモンのイシズマイがいた。
イリスは螺旋階段を駆け上がり、次の部屋へと続く扉を開く。
「チェレン、ハチクさん……」
そこには、大勢のプラズマ団と戦うチェレンとハチクの姿があった。
「イリスか。ここはわたしたちが食い止める。君は上へ行くのだ」
「ハチクさん、ですが……」
「僕たちは大丈夫だ。だから君は最上階に行くんだ!」
チェレンが叫ぶ。
「チェレン……」
「それとも君は、僕らがこの程度でやられるとでも思っているのかい? だったら、甘く見られたものだよ」
チェレンはやや卑屈っぽく言う。そしてイリスは、決心する。
「それじゃあ、ここは頼んだ!」
そう言ってイリスは、また駆け出す。
「さて、ハチクさん。この状況はどうですか?」
「正直言って厳しいな。如何せん数が多すぎる。これではいずれこちらのポケモンの体力が尽きてしまう」
ハチクはあくまで冷静に言う。
「ですよね。でもまあ、イリスを行かせるためには、多少芝居を打つ必要がありますがね」
チェレンとハチクは会話もそこそこに、バトルへ戻る。
イリスはとにかく階段を駆け上がる。この塔はおおよそ7階建てらしく、今は5階にいる。なにやらこの階は円形の足場になっていて、進み辛い。それを突破すると、6階へと駆け上がる。すると
『バリバリバリッシュ!』
というような鳴き声が聞こえてきた。
「! 今のは……?」
イリスは背筋にヒヤリとするものを感じ、歩調を速める。しかし事はそううまく運ばないもので、イリスの行く手には何者かが立ち塞がる。
「また会ったな。英雄イリスよ」
藍色の髪に、プラズマ団の制服を改造した出で立ち。プラズマ団幹部の1人、インディだ。
「……僕が英雄というのは、もう決定事項なのかな?」
「悪いがここは通さんぞ。それがゲーチス様からの命令。まだ復活し切っていない伝説のポケモンの復活を、邪魔させるわけにはいかんのでな」
話が噛み合っていない、というより通じていない。どうやらこの男、ボケが通用しないようだ。ある意味強敵である。
「まあつまり、あんたを倒さないと、僕は先に勧めないということだよね」
「その通りだ。出でよ、ケンホロウ」
インディはケンホロウを繰り出す。しかし、フキヨセで見たフウロのケンホロウとは違い、なんだか派手である。
「ケンホロウは雄と雌で外見や能力が変わる比較的稀有なポケモンだ」
インディは親切にも説明してくれる。
「そう。だったらこいつだ。出て来い、ワシボン!」
イリスはワシボンを繰り出す。別にこれは、飛行タイプには飛行タイプという単純極まりない思考でのチョイスではない。相手が攻撃と素早さの高いケンホロウなら、バチュルでは不利だと考えての人選(?)である。
「いくぞワシボン。エアスラッシュ!」
ワシボンは開始早々、エアスラッシュでケンホロウを牽制する。
「避けろ、ケンホロウ」
しかしケンホロウはそのエアスラッシュをいとも簡単に回避する。
「エアカッター」
そしてヒュンヒュンという風を切る音と共に、空気の刃を無数に放つ。
「避けろ、ワシボン!」
ワシボンはその刃を次々とかわしていく。
「ビルドアップ!」
そしてビルドアップし、攻撃と防御を高める。
「ワシボン、エアスラッシュ!」
ワシボンは再度、空気の刃を放つ。
「ケンホロウ、電光石火」
今度のエアスラッシュは、ただかわされるだけでなく、電光石火という攻撃付きの回避だった。ワシボンはそれを受けたが、もともとの威力の低さと、ビルドアップがあってあまりダメージはなかった。
「燕返しだ!」
そしてワシボンは、やられ際に燕返しを放ち、ケンホロウを切り裂く。しかしその決まりは浅く、大したダメージにはならなかっただろう。
「……出来るな」
「そっちこそ」
イリスとインディの戦いは、続くのであった。
えー長めの次回予告をいきなししようと思います。次回はミキの使う謎のイシズマイや、イリスとインディのバトルを繰り広げようと思います。……大して長くないですね。とにかく、次回もお楽しみに。