二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 76章 譲渡 ( No.150 )
日時: 2011/05/28 23:54
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)

「イシズマイ、ロックブラスト!」
「バスラオ、アクアジェット!」
龍螺旋の塔2階にて、ミキとバイオのバトルが繰り広げられていた。
「イシズマイ、切り裂く攻撃!」
「避けろバスラオ、アクアテール!」
バスラオはイシズマイの切り裂くを回避し、水を纏った尻尾を叩きつける。
「イシズマイ、カウンター!」
「なに!?」
イシズマイはハサミに力を集中させ、バスラオ目掛けて振り上げる。
「バスラオ!」
バスラオはその一撃で吹っ飛ばされた。戦闘不能ではないだろうが、かなりのダメージを受けたに違いない。
「凄い……初めてのバトルなのに……」
しかしそれにはミキも驚いていた。
「兄さん……」
そして、昨夜のことを思い出していた。

時は遡り、イリスがセッカジムに挑戦する前日の夜中——前日といっても、ほぼ当日である——に、ミキは兄であるザキの部屋を訪れていた。
「兄さん。用って何?」
「……ミキ、短刀直入に言うぞ。お前、あいつのこと好いてるだろ?」
「へ!? あ、あいつって、誰のこと?」
「とぼけるな。イリスのことだ。で、どうなんだ?」
「……うん」
「そうか」
「……なにも、言わないの?」
「何でだ?」
「だって兄さん、シスコンだし」
「妹にシスコンと言われるとは……かなり傷つくものだな……」
「それで、何も言わないの?」
「言わない。言う必要が、もうない」
「?」
「俺は、シスコンシスコン呼ばれてるけど、別にお前を独占しようなんて、3割くらいしか考えていない」
「3割は考えているんだね」
「実際はシスコンというより、過保護なだけなんだよ、俺は。確かに家族の中でも、世界中の人間の中でも、1番好きなのはお前だ。でも、お前のことを決めるのは俺じゃない。ミキ、お前だ」
「……兄さん」
「今日のバトルで、お前をあいつの側に置いておいても大丈夫だと判断した。だから付いて行くなりなんなりすればいい。俺はもう、頼まれないと止めないぞ」
「頼めば止めるんだね」
「それに、人の恋路を邪魔するやつはゼブライガに蹴られて地獄に行くらしいしな」
「ゼブライガってシマウマだよね……まあ、一応馬だからいいのかな……?」
「ぞれじゃあミキ。またしばらくの間お別れだな。無理だけはするなよ」
「うん。兄さんもね。それじゃあ、おやす——」
「待て、ミキ」
「なに? まだ何かあるの?」
「お前、まだ手持ち3体だろ? それじゃこの先厳しいだろうから、俺のポケモンをやる。ほれ」
「って、投げないでよ……3つ?」
「それで6体だ。ちなみにそいつらはバトルの経験もない奴らだが、磨けば光る原石だ。昔のお前みたいにな。それをどう磨くかは、トレーナー次第だ」
「兄さん……ありがとう」
「なに、これくらい。それじゃ、今度こそおやすみだな」
「うん。おやすみ……お兄ちゃん」
ミキは歳相応に悪戯っぽく言うと、バタンと部屋のドアを閉めた。そしてザキはというと、5分ほど硬直して、その後ニヤけていた。

「ケンホロウ、鋼の翼」
「ワシボン、燕返し!」
龍螺旋の塔6階にて、イリスとインディのバトルが繰り広げられていた。
「ワシボン、エアスラッシュ!」
「ケンホロウ、エアカッター」
お互いが放つ空気の刃がぶつかり合い、相殺しあう。だがエアカッターの方が攻撃回数が多いので、押し負けたのはワシボンである。
「ワシボン!」
「決めるぞケンホロウ。ギガインパクト」
ケンホロウは全身全霊でワシボンに突撃する。爆発のような音がした後、ワシボンは吹っ飛ばされ、壁にめり込んでいた。どう見ても戦闘不能である。
「戻れ、ワシボン。……頼んだぞ、バチュル!」
イリスが飛行タイプに有利なバチュルを出す。
「バチュル、雷だ!」
バチュルはケンホロウに猛烈な雷を落とす。バチュルの特性、複眼に加え、ケンホロウはギガインパクトの反動で動けなくなっていたので、簡単に当たった。
「戻れ、ケンホロウ」
今のは流石のケンホロウも戦闘不能になった。インディは次のボールを取り出す。
「出でよ、バイバニラ」
インディは、バニリッチの進化系バイバニラを出す。
「Nのバニプッチにハチクさんのバニリッチ。そして次はバイバニラか。最近は氷タイプがブームなのか?」
「バイバニラ、氷柱針」
インディはイリスの軽口を無視してバイバニラに攻撃させる。
「人の言うことくらい反応しろよ。バチュル、回避だ」
バチュルは持ち前の素早さを活かし、次々と氷柱針をかわしていく。
「バチュル、切り裂く攻撃!」
「バイバニラ、鉄壁」
バチュルは氷柱針が止んだ瞬間に、バイバニラに飛び掛って切り裂こうとするが、鉄壁で体を鋼鉄のように堅くされ、防御されてしまう。
「なら、エレキネット!」
「氷の息吹」
次に放つエレキネットも、氷の息吹で打ち消される。
「行くぞバイバニラ。ラスターカノン」
バイバニラは全身の光を一点に集め、それを球状に収束させ、バチュルに向けて放った。
「バチュル!」
バチュルはその攻撃を受け、吹っ飛ばされる。
「……これは、かなりの強敵だな……」
イリスの顔から、笑みが消えた。



はいでは今回はミキとイリスのバトル。そしてミキが持っていた謎(?)のイシズマイの真相です。あのイシズマイはザキがミキに渡したものなんです。ザキが渡したのは3体。つまりあと2体いるんです。残り2体も近々出そうと思うので、次回もお楽しみに。