二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 89章 捜索結果報告 ( No.199 )
- 日時: 2011/06/15 00:16
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
イリスがサブウェイマスターこと、ノボリとクダリに助けられた頃。チェレンやアデク、PDOたちは行方不明のイリスを捜索していた。
そして各々捜索した場所を報告するために、皆PDOヒウン支部を訪れていた。
「それじゃあ、皆の捜索結果を聞かせてもらおうか」
暫定的に議長を務めているキリハ。結果報告とは言うが、皆の顔を見れば結果がどうだったかは分かる。
「ではまず僕から。……僕はカラクサタウンからサンヨウシティまでを捜索したんだけど……何も見つからなかった」
キリハは自然と声のトーンが低くなっていく。
「アデクさんはどうでしたか?」
しかし暗いばかりではいけないと、やや無理矢理声の調子を上げてアデクに問う。
「うむ。わしはライモンから電気石の洞穴の周辺までを調べたのだが、5番道路の外れた所に戦いの痕跡が見られた。だがイリスのポケモンではないだろう」
アデクの声も重い。流石のチャンピオンと言えど、この事態には堪えるのだろう。
「他に、目ぼしい情報は?」
キリハはまとめて聞いてみるが、誰も答えない。
「イリス……」
ベルが呟く。その顔は今にも泣き出しそうだった。
「大丈夫だ、ベル。イリスは絶対に無事だ」
チェレンはベルを慰めるが、その顔も苦悩に歪んでいる。
「……イリス君が落ちたリゾートデザートを捜索したのは?」
「俺だ」
キリハの言葉に答えたのは、PDOセッカ支部統括にしてミキの実兄、ザキだった。
「ポケモンとセッカ支部の人員を総動員して探したんだが、それらしい人影は無かった。地面も掘り返したが……何も見つからなかった」
ザキの顔は悲しみと言うより、怒りに満ちていた。
「あの野郎……俺の妹を危険に巻き込みやがって。生きてねえと承知しねえぞ……!」
ザキは本気で憤慨しているようだが、それでもどこか辛そうだった。
「他に探してない所は?」
「イッシュの東半分。ポケモンリーグ。……あとは精々、海の向こうかしら」
今度はリオが答える。
「ふむ。イリス君たちはゲーチスのサザンドラに乗ってどこかへ行ってしまった。行き先は恐らくプラズマ団のアジト。だとすればアジトに着いて捕縛されたか、途中でやられたか。……考えたくないけど、後者の方が圧倒的に確率は高いね」
全員無言で通す。それはキリハの言う通り、イリスとミキはもうやられている可能性が高いことを理解しているからだ。
しかしここにいる全員は、イリスがゲーチスのガマゲロゲにやられたことを知っているわけではない。それを見た者はここにはいないからだ。
「ここまで探してもプラズマ団のアジトが見つからないってことは、やっぱり奴らの拠点は東にあるのかな。もしくは絶海の孤島とか」
「あとあるとしたら……あ!」
ベルが何か思いついたように声を上げる。
「ベル、何か思い出したのか?」
真っ先に喰いついたのはチェレンだった。
「えっと、昔パパに聞いたんだけど、イッシュの北西の端に小さな町があるんだって。その町は他の町との交流がほとんど無くて、何か特別な乗り物に乗らないと行けない所なんだって」
「カナワタウンだ!」
ベルの言葉にキリハは声を荒げる。
「そうか、カナワタウン……これは盲点だったな」
「カナワタウンって、ライモンシティから出る地下鉄でしか行けないあの町ですか?」
チェレンの問い掛けに、キリハは首肯する。
「でも、あそこは本当にサブウェイでしか行けないからな……」
テンションの上がったキリハだが、すぐにそれは低下する。
「バトルサブウェイは一つの独立機関。こちらの話に耳を傾けてくれるとは限らないし、何より既にサブウェイは出発してる。サブウェイの終点はカナワタウンで、半日かけてそこへ行く。今からいくら頑張ろうとも、明日以降にならないとカナワタウンへは行けない」
忌々しげに吐き捨てるキリハ。しかし誰もそれを咎めたりはしない。
ちなみに現在午前9時。皆ほぼ徹夜でイリスたちを捜索していたのだ。
「とりあえず、もう一回見落としが無いか、各所を隅々まで探そう。そして明日になり次第、ライモンシティのギアステーションに集合だ」
こうして、報告会は終わった。
『イリス……』
部屋を出る際、チェレンとベルはほぼ同時に呟いた。
一方、バトルサブウェイにて。
「ふむ、なるほど。つまりあなた方は、そのゲーチスという者に敗れて、海に落下したのですね」
「はい。文字通り手も足も出ませんでした……」
イリスの表情が暗くなる。ちなみにミキはクダリとともに寝ている(クダリはただの昼寝だが、ミキは疲労である)。
「……では、私から提案があります」
「? 提案?」
ノボリの言葉に、イリスは喰いつく。
「はい。単純な思考ですが、敗れたのであれば強くなれば良いのです」
本当に単純だった。
「そうしたいのはやまやまですが、そんな短時間で鍛えることなんて——」
「時間云々はあなた方の努力次第です。私たちにはどうこうできません。しかし、特訓に協力することは出来ます」
イリスの言葉を遮り、ノボリは言う。
「このバトルサブウェイはバトルの場。ですから、あなた方はこのバトルサブウェイでひたすら戦ってもらいます」
「意外とシンプルですね……」
イリスは少々驚く。ノボリは知的な感じがするので、もう少し捻ると思ったのだが。
「強くなるにはそれ以外御座いません。ですが、少々のサプライズは必要です」
「?」
イリスは疑問符を浮かべる。
「とりあえず、私たち——サブウェイマスター、ノボリ・クダリとバトルをしましょう」
すいません、思ったよりも前半に文字数を使ってしまいまして、ノボリ、クダリのバトルが書けませんでした。しかし、次回こそはちゃんと書くので、お楽しみに。