二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 91章 バトルサブウェイシングルトレイン ( No.205 )
- 日時: 2011/07/18 01:16
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
「フタチマル、シェルブレード!」
「シキジカ、エナジーボール!」
「プルリル、ナイトヘッド!」
「チュリネ、マジカルリーフ!」
イリスとミキは現在、バトルサブウェイの数多ある車輌のうち1つでバトルを行っていた。
「水の誓!」
「突進!」
それもマルチバトル。マルチバトルとはダブルバトルを発展させたもので、ダブルバトルは1人のトレーナーが2匹のポケモンに指示を出すが、マルチバトルはトレーナーの数も2人。つまり自分のポケモンだけに指示を出すのだ。
こうするだけでもバトルの内容は深まり、複雑になって多彩なバトルパターンが生まれる。
「よし、これで20勝!」
「やっとここまで来れましたね、師匠!」
イリスたちはノボリ・クダリに負けてから、ノボリにこう言われた。
「あなた方に行ってもらうのは、このバトルサブウェイでひたすら戦うことです。このサブウェイには様々なトレーナーが乗り込んでいるので、多彩なバトルが行えるでしょう。話を聞く限りは、あなた方に足りないのは経験だと私は推測します。なのでこのサブウェイでひたすら戦い、経験を積んでくださいませ。あなた方が最終車輌まで来れたならば、私たちも全力でお相手します」
「確か『21連勝を2回し、その後49連勝すれば本気の私たちをお見せしましょう』とか言ってたっけ。でも21連勝2回って何だろう? 一回負ける度に最初からやり直しになるけど、そういうことかな?」
「さあ? 私には分かりません」
そう言いながらイリスは次の車輌の扉を潜る。
「ようこそいらっしゃいました。バトルサブウェイノーマルマルチトレインにご乗車頂き、誠にありがとう御座います」
扉の先にいたのは、ノボリだった。
「……なんで、ノボリさんがここに?」
イリスは恐る恐るノボリに訊ねる。
「私とクダリはサブウェイマスター。サブウェイマスターとはバトルサブウェイに挑戦するトレーナーの実力を測定する者のことです」
ノボリは落ち着いた声で言うが、内容は微妙にずれていた。
「そして最初のサブウェイマスターと戦う時。それは次なる戦いに参加するための切符を手にする時です」
「あの、意味がよく分からないんですけど……」
もっともである。
「まあ、最後まで聞けばご理解頂けるかと思いますので、もう少しお待ちください。……つまり、あなた方が全力の私たちと戦うに相応しいトレーナーかを、測らせて頂きます」
そこまで言われて、イリスは理解した。つまりノボリは自分達がどの程度強くなっているかを調べに来たのだ。
「ご理解頂けたようですね。ではバトルを始めますが、このバトルに限って、シングルバトルとさせて頂きます。イリス様、ミキ様のどちらか一方のみ、バトルに参加することが出来ます」
言われてイリスとミキは顔を見合わせ、頷き合う。
「それじゃあ、僕が行きます」
前に出たのは、イリスだった。
「イリス様で御座いますか。では初めましょう。行きなさい、シャンデラ!」
ノボリが繰り出したのは、誘いポケモンのシャンデラだ。
「シャンデラ。ゴーストタイプか……なら、出て来いチラーミィ!」
対するイリスが繰り出すのはチラーミィ。出した理由はゴーストタイプの技を受けないからだ。
「ふむ。ここまでの戦いで相当鍛えられているようですね。だったら加減は無用です。シャンデラ、火炎放射です!」
シャンデラは灯っている火の1つから火炎放射を放つ。
「避けろチラーミィ、アイアンテール!」
チラーミィは火炎放射をヒラリとかわし、尻尾を鋼鉄のように硬くしてシャンデラに叩きつける。
「なかなかの攻撃ですね。シャンデラ、テレキネシス」
次の瞬間、チラーミィの体は重力を無視して浮かび上がった。
「え?」
イリスは間の抜けた声を上げる。
「テレキネシスは相手を宙に浮かばせ、こちらの技を当てやすくする技です。慣れない無重力状態では、体もうまく動かせませんしね」
確かにチラーミィは自分の体を動かすことが困難になっているようだ。その証拠にさっきからずっとジタバタしているが、体は前進も後退もしない。
「シャンデラ、煉獄です!」
そしてシャンデラは動けないチラーミィに地獄のような炎を浴びせる。
「チラーミィ!」
チラーミィはなんとか持ち堪えたが、ボロボロで火傷状態にもなっている。もはや瀕死同然だ。
「煉獄は必ず相手を火傷状態にする技。故にあたり難いのが難点ですが、テレキネシスを受けているポケモンにならばその欠点も補えます」
ノボリがそう説明するのを他所に、イリスはチラーミィをボールに戻す。一応まだ戦闘不能ではないが、これ以上戦わせても無意味だと理解した。
「次は……よし。出て来い、デスマス!」
今度は同じゴーストタイプのデスマスを繰り出す。ゴーストタイプはこちらの弱点だが、相手もそれは同じである。
「お次はデスマスですか。私のシャンデラに対し、同じゴーストタイプのポケモンを繰り出すトレーナーは今までに御座いませんでしたね」
ノボリの言葉に、イリスは敏感に反応する。
「最近あんまし言ってないけど……今までにいないなら、最初の1人が僕なだけですよ!」
イリスは久々に、自分の名言を口にする。
とりあえず今回もサブウェイマスターとバトルですが、今回はイリスVSノボリのシングルバトルです。いや一応ノボリはシングルの方でも出さないといけないと思ってのことなんですけどね。さて次回もノボリとのバトル続行です。ですがこの戦いは早めに決着にする予定です。では、次回もお楽しみに。