二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 94章 目指すは勝利 ( No.209 )
日時: 2011/06/18 14:28
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)

「戻れ、デスマス」
イリスは戦闘不能となったデスマスをボールに戻す。
「後はお前だけが頼みだ……行け、チラーミィ!」
イリスは最初に繰り出したチラーミィを再び繰り出す。シャンデラにやられた傷は大方癒えている。
「チラーミィ、アイアンテール!」
チラーミィは尻尾を鋼鉄のように硬化させ、オノノクスに特攻する。
「オノノクス、こちらもアイアンテールで迎え撃ちますよ」
そしてオノノクスもまた、鋼鉄のように硬化された尻尾でチラーミィに襲い掛かる。
チラーミィの尻尾とオノノクスの尻尾が鍔迫り合いのように押し合う。
「行け、チラーミィ!」
チラーミィはオノノクスの尻尾を弾き、その顔面にアイアンテールを見舞う。
「剣の舞いで強化された私のオノノクスが押し負けるとは……信じ難いですね」
ノボリは疑問そうな顔をしたが、すぐにその疑問は晴れる。
「火傷状態ですね」
「気付きましたか」
ノボリはオノノクスを見遣る。ノボリからでは見え難いが、オノノクスの腹には火傷の痕がある。
「さっきのデスマスが最後に使った鬼火ですね。防御に使用すると見せかけ、実はこのための布石だったと」
「まあ、そんなところです」
イリスは肯定する。
「ですがこの程度の火傷では私のオノノクスを停車させることは出来ませんよ。オノノクス、地震です!」
オノノクスはサブウェイ自体を破壊する勢いで地面を揺らす。
「チラーミィ、スイープビンタ!」
しかしチラーミィはそれを軽快に飛び跳ねてかわし、隙を見つけてはオノノクスに硬化させた尻尾を叩き込む。
「オノノクス、ドラゴンクローです!」
オノノクスもドラゴンクローを放つが、回避されてしまう。
「チラーミィ、アイアンテール!」
チラーミィは飛び上がり、オノノクスの頭上から回転しながら鋼鉄の尻尾をその頭に叩き込む。
「決まった!」
「いえ、まだですよ」
オノノクスは脳天にアイアンテールを食らい、大ダメージを受けた。しかしまだ戦闘不能にはなっていなかったのだ。
「アイアンテールです!」
そしてオノノクスは体を捻り、鋼鉄の尻尾でチラーミィを薙ぎ払う。
「危なかったです。もし急所に当たっていれば、オノノクスはやられていました。しかし一手足りなかったようですね。今度はこちらが決める番です。オノノクス、ドラゴンクロー」
ノボリはそう指示を出す。しかしオノノクスは動かない。
「? オノノクス——」
ノボリはこの瞬間気付き、吹っ飛ばされたチラーミィを見る。
「一か八かだったんですけど、賭けはやってみるものですね」
アイアンテールの直撃を受けたチラーミィは、ふらふらになりながらも立ち上がり、戦意の炎を滾らせる。
「お察しの通り、僕のチラーミィの特性はメロメロボディ。♀のチラーミィに直接攻撃を仕掛けた♂のオノノクスは、今はメロメロ状態ですね」
メロメロボディは必ずしも発動するわけではないが、イリスはその可能性に賭けてみた。本当はアイアンテールをかわすことは出来たが、肉を切らせて骨を断つ作戦に出たのだ。
「さて、これで終わりです。チラーミィ、アイアンテール!」
チラーミィは今度こそ脳天にアイアンテールを決め、オノノクスを戦闘不能にする。
「…………」
ノボリは俯いて、黙ってオノノクスをボールに戻す。
「えっと……あれ?」
ノボリの性格ならここで称賛の言葉を言ってくるのとばかり思っていたイリスは面食らう。しかし
「ブラボー!」
ビクッとイリスは体を震わせる。いきなり大声を上げたノボリにびびったのだ。
「いやはや素早しいバトルでした。あなた様ご自分の力で、勝利という名の終着駅に辿り着いたのです」
「はあ……」
どうしても生返事になってしまうイリス。ノボリのテンションについていけないのだ。
「ですがこれだけは忘れないでください。この勝利も長い人生の中では1つの通過点でしかありません。なので、あなた様はこれからも自分の夢に向かってひた走ってくださいまし」
ノボリは至極嬉しそうな顔で言うのだった。
「それと、素晴らしいバトルを称え、あなた方にはスペシャルボーナスを進呈致します」
言ってノボリはイリスたちの後ろの扉を指差す。
「今のバトルで21連勝分の勝利に匹敵します故、その扉を潜って次の難関を通過してください」
イリスは微妙に寒気を覚えながら、扉を開ける。するとそこには
「僕、クダリ。ダブルバトルが好き。ポケモンのコンビネーションを見るのが好き。だから、バトルしよう」
サブウェイマスター、クダリがいた。
「クダリとのダブルバトルは、通常4体のポケモンを使うのですが、今回に限って時間短縮のために3対3とさせて頂きます」
ノボリも車輌に入り、ルールの説明を行う。
「じゃあ、どっちが戦う?」
クダリはイリスとミキを交互に指差して言う。
イリスとミキは顔を見合わせ、互いに頷き合う。もう結論は出ているらしい。
「私が行きます!」
前に出たのは。ミキだった。
「ミキ様で御座いますか。これはまた面白いバトルになりそうですね。クダリ、バトルの前に申したいことがあればどうぞ」
ノボリはクダリに向かってそう言うが、クダリは言うのは意味不明な言葉だった。
「ルールを守って安全運転。ダイヤを守って皆さんスマイル。指差し確認、準備オッケー。目指すは勝利、出発進行!」



なんとかノボリとのバトルを終え、クダリ戦までこぎ着けました。それで、クダリの台詞なんですが……書いてみると結構恥ずかしいです。ゲームでは戦う前にこう言うのですが、書いているとかなり恥ずかしいです。まあ、それは置いといて、次回はミキVSクダリのダブルバトルです。お楽しみに。