二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 99章 別々の道 ( No.218 )
日時: 2011/06/22 21:18
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http://pokegai.jp/

イリスは目の前にある白い球体——ライトストーンに目を奪われていた。
「イリス? 大丈夫?」
アララギがイリスに呼びかける。それでイリスはハッと現実に戻ってきた。
「アララギ博士。この球体がライトストーンだと仰りましたが、そうだという保障はあるのですか?」
チェレンがアララギに訊ねる。イリスは直感で理解できたが、他は違うらしい。それもそのはず、選ばれたイリスだからこそ、このライトストーンから何かを感じ取ったわけなのだから。
「ええ。皆がイリスを探してる間にこの球体を調べてみたんだけど、どうもこれ、龍螺旋の塔と同じ成分が含まれていて、しかも時代も合致しているのよ」
はきはきと喋るアララギ。この情報はポケモンの起源を調べているアララギにとっても有益なもののようだ。
「それじゃあイリス。これを受け取っておくれ」
そう言ってアロエはイリスに手に持つライトストーンを差し出す。イリスもそれを受け取ろうとするが
「待て、イリス」
アデクが言葉を挟み、イリスを制する。
「それを受け取るということは、Nと戦い、勝たなくてはならないのだぞ。それを手にすれば、主はイッシュの命運を背負うことになるのだぞ」
アデクはここに来て、イリスにチャンスを与える。
イリスは少し口を閉じた後、ゆっくりと口を開く。

「僕は、イッシュの命運なんてものは背負いません」

イリスの言葉に、その場に居た全員が息を呑む。
「イリス、それは——」
「でも、Nとは戦います」
アララギの言葉を遮って、イリスは続ける。
「僕はイッシュを救うために戦いはしません。ただ、Nと決着を着けたいだけです。僕の見る真実と、Nの見る理想のどちらが強い思いなのか、それを知りたいだけです」
続くイリスの言葉に、全員が黙る。
「それに心配はいらないですよ。僕は、勝ちますから」
そしてイリスは微笑みながら、ライトストーンを手に取る。
「このライトストーンがあれば、伝説のポケモンレシラムを復活させることが出来る。そうすれば、Nと対等に渡り合える」
イリスは力強く言い、皆も頷く。しかし

「でも、どうやって伝説のポケモンを復活させるの?」

「あ……」
「えーっと……」
「…………」
ベルの一声で、その場の空気が変化する。なんだか居心地が悪い。
「言われてみれば、知らないな……」
「Nは何も言ってなかったし……復活するところを見たわけじゃないし……」
振り出しに戻る。復活させる方法が分からなくては、ライトストーンを持っていたところで意味が無い。まさに宝の持ち腐れだ。
「……そうだ! ソウリュウのシャガに聞いてみてはどうだ?」
アララギ(父)が、しばらく考え込んだ後に、そう言い出す。
「ソウリュウ……確かにあそこは、ドラゴンポケモンの聖地。ならばイッシュの伝説にも詳しいだろう。よし、では善は急げ。早速ソウリュウに向かうとしよう。……出でよ、ウルガモス!」
アデクは太陽ポケモン、ウルガモスを出し、その背に乗る。
「イリスよ、主もソウリュウに来るのだ。ソウリュウはセッカの東——シリンダーブリッジを抜けた先にある!」
アデクはそう言い残すと、ウルガモスとともに飛び立ってしまう。
「ソウリュウシティ……まあ、他にアテもないし、あそこにはジムをある。行くに越したことはないと思うよ」
チェレンはイリスにそう促す。イリスもそれには同感らしく、頷いて返す。
「それじゃ、頑張るんだよ」
アロエも激励の言葉を残して博物館へと去っていく。
「私たちもカノコタウンの研究所に戻るわ」
「わたしたちに出来るのはここまでだ。後は、自分達の力で切り抜けるのだ」
アララギとアララギ(父)も去っていく。
「……イリス。僕は先に行くよ」
最後にチェレンが、ケンホロウを出して掴まり、飛び去っていく。
「ベルはどうするの?」
この場に居るのは、イリス、ミキ、ベルの3人だけとなり、イリスはベルにこれからの方針を問う。
「うーん……うん。あたしも行くよ」
ベルは少し考えた後、ヤグルマの森へと走り出した。まさか歩いて行くつもりなのだろうか。
「さてと、僕らも行こうか」
イリスはいつも通り、ミキを連れてソウリュウシティに向かおうとするが

「あの、師匠。しばらくの間、私1人で行動させてください」

「え?」
イリスは目を丸くする。それもそのはず、ミキはまだ幼い。規定では10歳から旅をすることは出来るが、それでもいろいろと大変だろう。
「私、ソウリュウシティに行く前にやりたいことがあるんです。だから、しばらく別行動をさせてください。必ずソウリュウには向かいますから、お願いします!」
ミキは必死に懇願する。イリスはあまりに必死なものだから、うろたえている。しかし、すぐに顔を綻ばせ
「分かった。ミキちゃんがそうしたいなら、そうすれば良いよ。君の道を決めるのは、君だからね。でも、くれぐれも無理だけはしないでね」
イリスはいつも通りの口調と語気で、ミキに言う。
「はいっ! ありがとうございます!」
ミキは嬉しそうに礼を言うと、サンヨウシティ方面に走り出した。
「……それじゃ、僕も行くかな」
そしてイリスも、ソウリュウシティに向かう。



ふぅ……最近はバトルの無い話が多いですね……ですが、もう少しの辛抱なのです。あと1回、あと1回バトル無しの話を書けば、100章突破。ん?僕がバトル無しにこだわる理由ですか?……まあ、作者都合ということにしてください。では次回予告。次回は……全然決まってませんね。ですが、早めに書こうとは思うので、お楽しみに。