二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 103章 王者と軽業 ( No.239 )
- 日時: 2011/06/29 22:10
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http://pokegai.jp/
ウォーグルは地面スレスレの低空飛行をしつつ、その体を燃え盛るようなエネルギーで覆う。その姿はまさに勇猛な空の王者を思わせるものだった。
「モロバレル、ベノムショック!」
モロバレルはというと、亜音速で向かい来るウォーグルに毒を悪化させる光線を放つも、全く効いていない。
「行け、ウォーグル!」
イリスの叫び声とともに、ウォーグルは加速する。そして、モロバレルに衝突する。
モロバレルは地中深くに根を張っていたにも関わらず、その根っこはモロバレルを吹き飛ばす猛烈な衝撃に耐え切れず、ブチブチと小気味良い音をたてて千切れていく。
「モロバレル!」
ベルはモロバレルが吹き飛ばされた方向へ駆け出す。モロバレルは完全に目を回しており、戦闘不能だ。
「ありがとうモロバレル。ゆっくり休んで」
そう言いつつベルはモロバレルをボールに戻す。
「ウォーグルは飛行タイプ。だったら……出て来て、ココロモリ!」
ベルの3番手は、青色の体躯に黒い翼。ハート型の大きな鼻が特徴のポケモン、ココロモリだ。
「ココロモリ、ハートスタンプ!」
ココロモリはハート型の鼻に思念を集中させ、ウォーグルに突っ込んでいく。
「ウォーグル、ビルドアップ!」
対するウォーグルはその攻撃を避けようとせず、防御を固めて受ける。
「ブレイククローだ!」
そしてカウンター気味に爪の一撃を繰り出し、ココロモリを攻撃する。ただし決まりが浅かったので、大きなダメージにはならなかったが。
「エアスラッシュ!」
さらにウォーグルはココロモリから若干距離を取り、空気を切り裂く風の刃を放つ。
「ココロモリ、エアスラッシュ!」
ココロモリも同じ風の刃を放ち、互いに相殺する。
「続けてチャージビーム!」
そしてココロモリは電気を集め、それを光線にして発射する。
「避けろ、ウォーグル」
ウォーグルはその光線をギリギリでかわす。
「やっぱ、ブレイブバードはキツイな……」
実を言うと、ウォーグルの疲労は今、ピークに達している。モロバレルの胞子で毒状態になり、その状態でベノムショックを受け、さらには自分にも反動がくるブレイブバードまで使ったのだ。いくらウォーグルといえどもヤバイ状態だ。
「ココロモリ、旋回しながらチャージビーム!」
しかしココロモリはそんなウォーグルの事情なんてお構いなし。空中を旋回しながら、チャージビームを連発している。
「こうなれば……ウォーグル、ブレイブバード!」
ウォーグルはさっきのように低空飛行せずにそのままエネルギーを纏い、ココロモリに突撃する。
「ココロモリ、避けて!」
ココロモリは素早い動きで突撃するウォーグルのを軽く避ける。
「チャージビーム!」
今度こそ、ココロモリのチャージビームはウォーグルを捉える。
「続けてハートスタンプ!」
さらにココロモリは、チャージビームを受けて軽く痺れているウォーグルにハートスタンプで追い討ちを掛ける。
「……戻れ、ウォーグル」
イリスは、先ほどのハートスタンプで戦闘不能となったウォーグルをボールに戻す。
「……あのココロモリのスピードについて行ける奴は、こいつしかいないな。頼んだぞ、チラチーノ!」
イリスが繰り出したのは、薄灰色の体に白いマフラーのようなものを巻いているポケモン、チラチーノだ。
「チラチーノ、10万ボルト!」
チラチーノは体から高電圧の電撃をココロモリに放つ。
「ココロモリ、避けて!」
ココロモリはその電撃を簡単に回避する。
しかし
「チラチーノ、アイアンテール!」
「え?」
チラチーノはいつの間にかココロモリの背後におり、尻尾を鋼鉄のように硬化させて、ココロモリを地面へと叩き落す。
「僕のチラチーノの素早さを甘く見ない方が良いよ。こいつは半径10m以内なら、ほぼ瞬間移動出来るから」
その次の瞬間、イリスの目の前にはチラチーノがいた。
「……やっぱりイリスと、イリスのポケモンは凄いね」
「君もだよ、ベル。正直、君がここまで強いだなんて思わなかった」
イリスは、素直な感想を述べる。
「えへへ……。特訓した甲斐があったよ」
ベルは無邪気に笑うと、すぐに目の色を変える。
「それじゃあ行くよ。ココロモリ、エアスラッシュ!」
「チラチーノ、ハイパーボイス」
ココロモリの放つ風の刃は、チラチーノの放つ超高音——もはや耳で聴き取り難くなるほどの、超音波のような衝撃音により掻き消され、そのままココロモリを襲う。
「まだだよ。ココロモリ、輪唱!」
ココロモリは、ハイパーボイスには及ばないまでも、受けるものにダメージを与える音を放つ。
「チラチーノ、ハイパーボイス!」
だがしかし、ハイパーボイスと輪唱では決定的な違いがある。ハイパーボイスは音そのものの衝撃。その衝撃をぶつけることで相手にダメージを負わせるのだ。
輪唱の場合は音による共振作用で相手の内側を攻撃するもの。なのでハイパーボイスと輪唱、2つの攻撃がぶつかり合えば、繊細な輪唱の衝撃音は、ただただ莫大で攻撃的なハイパーボイスの衝撃音によって打ち消されてしまうのだ。
「とどめだ。チラチーノ、10万ボルト!」
ハイパーボイスを受け、仰け反っているココロモリに、チラチーノは高電圧の電撃をぶつける。
10万ボルトの直撃を受けたココロモリは、勿論戦闘不能だ。
「さあ、これでお互い3体。イーブン状態だよ」
イリスは、やっと本調子になれたと言うように、気迫が変わった。
3章分使ってやっと半分終わりました。このペースだと、後々行われる予定のN戦なんかはどれだけ掛かるのでしょうか?まあ、そんな事は置いておいて。関係ないことを言いますが、タイトルはあまり気にしないでくださいね。一応その話に見合ったものを付けていますが、たまに適当に付ける事があるんで。では、次回のイリス対ベルもお楽しみに。