二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 104章 トリックルーム ( No.242 )
- 日時: 2011/07/18 01:53
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http://pokegai.jp/
「出て来て、ムシャーナ!」
ベルが繰り出したのは、薄桃色の頭とと薄紫色の体を持ち、額からピンク色の煙が出ているポケモン、ムシャーナだ。
「ムシャーナか……見た感じ素早さは低そうだから、速攻で決めよう。チラチーノ、牽制の気合玉!」
チラチーノは体の周りに気合を込めた玉を複数浮かべる。
実はこのチラチーノ、一度に気合玉を7発まで連続発射する事が出来るのだ。勿論そうすればその数に反比例して一発の威力は落ちるが。
そうこうしているうちに、チラチーノは7発の気合玉をムシャーナに放つ。
「ムシャーナ、耐えて!」
ムシャーナは見た目通り鈍く、気合玉を全て受ける。
「チラチーノ、もう一発!」
さらにチラチーノは、さっきのように威力を分散せずに気合玉を放つ。
「ムシャーナ、シャドーボール!」
ムシャーナは額から影で作り出した黒い球を浮かべ、気合玉にぶつけて相殺する。
「チラチーノ、アイアンテール!」
チラチーノは攻撃が相殺された事で発生した爆発の影響で立ち込める砂煙に身を隠し、ムシャーナに接近する。そして尻尾を鋼鉄のように硬化させ、それをムシャーナの頭に叩きつけようとする。
しかし
「ムシャーナ、トリックルーム!」
刹那、チラチーノの動きが停止した。そして
「思念の頭突き!」
ムシャーナは真正面にいるチラチーノに、思念を集めた頭突きをかまし、吹っ飛ばす。
「チラチーノ!」
チラチーノは大きく吹き飛ばされたものの、受身を取ったために大きなダメージにはならなかった。
「今のは一体……?」
イリスは疑問符を浮かべるが、ムシャーナもベルも待ってはくれない。
「サイケ光線!」
ムシャーナは念波を光線状にして発射する。そのスピードはかなり速かった。
「避けろ、チラチーノ!」
イリスはチラチーノに指示を飛ばす。しかしチラチーノは避けようとしたものの、かなりの鈍足でサイケ光線の直撃を食らった。
「何が起こっているんだ……?」
イリスは考える。考えるが、ムシャーナはどんどん攻撃してくる。
「思念の頭突き!」
その瞬間、イリスは驚愕した。
「は、速っ!?」
ムシャーナは、思念の集めた頭をこちらに突き出し、超高速で突っ込んで来たのだ。
「チラチーノ、回避だ!」
しかしチラチーノは、ムシャーナの攻撃を避け切れず、またも吹っ飛ばされる。
「一体何なんだ……」
「トリックルームだよ」
イリスが3度目に呟くと、今度はベルが返してくれる。
「トリックルームは、使うとしばらくの間素早さの遅速が逆転する技。素早さの高いポケモンは遅くなり、素早さの低いポケモンは速くなる」
つまり、ムシャーナが使用したトリックルームは、素早さの低いムシャーナを速くし、素早さの高いチラチーノを遅くした、ということだ。
「それは、ヤバイな……」
イリスのチラチーノは素早さ重視で、素早く駆け回っては隙を見て攻撃を繰り出すのがメインスタイル。しかしこのトリックルームはそのスタイルを崩すような効果を備えている。
「チラチーノキラー……と言ったところかな」
イリスは呟くが、勿論気休めにもならない。
「よーし。それじゃあ、どんどん行くよ。ムシャーナ、思念の頭突き!」
「こうなったら正面からぶつかるしかない。チラチーノ、アイアンテール!」
ムシャーナは頭を突き出して突進。チラチーノは鋼鉄の如く硬化させた尻尾を横薙ぎに振る。結果、行動の遅かったチラチーノが三度吹っ飛ばされる。
「10万ボルト!」
「サイケ光線!」
試しに遠距離からの攻撃を放ってみるが、見事に相殺された。これではチラチーノのバトルを完全に封じられたも同然だ。
「もう一度。10万ボルト!」
「連続でシャドーボール!」
ムシャーナはシャドーボールを連発して10万ボルトを相殺する。さらに余った黒球はチラチーノの足元で炸裂させ、砂煙を舞い上げる。
「前が見えない……!」
イリスは目を凝らすが、やはり前は見えない。と、その時。
正面から念波の光線が飛んで来る、サイケ光線だ。
「チラチーノ、ジャンプで避けろ!」
指示通りチラチーノはジャンプして辛うじてサイケ光線をかわす。
しかし、その行為は失敗だった。
「ムシャーナ、思念の頭突き!」
ムシャーナはなんと、チラチーノの真上にいたのだ。どうやらさっきのサイケ光線はフェイクだったらしい。
「チラチーノ!」
チラチーノは上から下に向かっての思念の頭突きで地面にめり込む。さらに
「サイケ光線!」
ムシャーナはとどめのサイケ光線を零距離で放ち、チラチーノを戦闘不能にする。
「戻ってくれ、チラチーノ。……トリックルームか、厄介だな」
イリスは少し考え、次のボールを取り出す。
「よし、じゃあ次はこいつだ。頼んだぞ、ズルズキン!」
イリスの5番手は、橙色の体に、黄色の脱皮された皮。そして赤いトサカが特徴のポケモン、ズルズキンだ。
「行くよ、ズルズキン。君ならムシャーナを倒せる」
イリスは、確信したような目で、そう言うのだった。
これを読んでいる方に注意事項を1つ。博識な皆様には釈迦に説法でしょうが、一応言わせてもらいます。今回の話ではトリックルームは素早さを逆転する技と言ってますが、正確なゲームにおいては素早さの低いポケモンから行動できる技なので、その辺り間違えないようお願いします。いやまあ、正直対して変わりないのですが、一応。それに、次回にも関係しますので。では次回のイリス対ベルもお楽しみに。