二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 105章 寛大なる猛犬 ( No.243 )
- 日時: 2011/06/30 21:37
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http://pokegai.jp/
「ズルズキン、ムシャーナに突っ込め!」
イリスがそう指示を飛ばすと、ズルズキンはムシャーナに向かって走り出した。そのスピードは、意外にも速い。
「ムシャーナ、シャドーボールで迎撃して!」
対するムシャーナはその場を動かず、シャドーボールを連発してズルズキンの迎撃を試みる。
「避けろ、ズルズキン!」
ズルズキンは向かい来る黒球をかわしてかわし、ムシャーナに接近する。
「噛み砕く!」
そして決して大きいとは言えない口を目一杯開けて、ムシャーナに噛み付く。
「ムシャーナ、シャドーボールで引き剥がして!」
ムシャーナは歯を立てているズルズキンに、ほぼ零距離からの黒球を放つが、ズルズキンにはあまり効いていないようで、全然離れない。
「ズルズキンは悪タイプを持っているから、ゴーストタイプ技のシャドーボールはもちろん、ムシャーナ覚えている技のほとんどは効かないよ」
ベルのムシャーナが使える技は、サイケ光線、シャドーボール、思念の頭突き、そしてトリックルーム。トリックルームは今発動しているし、2つのエスパー技は効果がない。となるとシャドーボールを使うしかないが。効果はいまひとつで決定打には乏しい。
先ほどイリスはムシャーナの事を『チラチーノキラー』なぞと言っていたが、それになぞらえて言うならば、ズルズキンは『ムシャーナキラー』と言うべきだろう。
「炎のパンチ!」
ズルズキンは噛み砕くのを止め、炎を纏った拳をムシャーナにアッパー気味に食らわせる。
「さらに飛び膝蹴り!」
ムシャーナは常に浮いているため、炎のパンチのアッパーを食らっても吹っ飛ばされなかったが、その代わりに大きく仰け反った。勿論イリスがそんな決定的な隙を見逃すはずもなく、ズルズキンはムシャーナの腹に思い切り飛び膝蹴りを叩き込んだ。
「戻って、ムシャーナ」
ベルは戦闘不能となったムシャーナをボールに戻す。ムシャーナは結構耐久力のあるポケモンなのだが、流石にズルズキンの3連コンボには耐えられなかったようだ。
「ズルズキンか……」
イリスがこの時、次はチャオブーかその進化系あたりが出るだろうと予測していた。何故なら、チャオブーは悪タイプに有利な格闘タイプを持っていて、進化系もそうだろうと思ったからだ。さらにベルのもう1体の手持ちも大方分かっている。それはサンヨウジムでも活躍した、ヨーテリーの進化系統。しかしヨーテリー、及びその進化系のハーデリアはズルズキンのもう1つのタイプ、格闘タイプに弱いノーマルタイプを持つ。進化してタイプが変わったならば別だが、その可能性は低いだろうと予想している。
しかし、ベルはイリスの予想を覆すポケモンを出す。
「決めた。あたしの次のポケモンは……ムーランド!」
ベルが繰り出したのは、長くて大きな白い髭。漆黒の体毛は4本の足ををほとんど隠している犬のようなポケモン、ムーランド。
分かる人には分かると思うが、ノーマルタイプだ。
「……流石ベル。僕らの予想の範疇を超える行動に出るね……」
イリスは半ば呆れ顔、半ば焦り顔といった風だった。ベルは無策でムーランドを出したのか、それとも何か作戦があるのか、その判断がつかない。
もしこの勝負の相手がチェレンやミキなら、何か裏があると思うだろう。しかし相手はあのベル。腹の奥底で何を考えているか分からない(流石に言いすぎだろうが)。
「ベル、格闘タイプを持つズルズキンに対し、ノーマルタイプのムーランドを出したのには何か作戦があるのかい?」
「ふえ? んーどうだろうね?」
イリスはベルが何を考えてムーランドを出したのか探ろうとするが、何も分からない。
「これがベルの厄介な所かな……?」
イリスは最後にそう呟いて、覚悟を決める。
「ズルズキン、諸刃の頭突き!」
ズルズキンはいきなり大技の諸刃の頭突きを放つ。トサカのついている頭を突き出し、物凄い気迫で突撃する。
「ムーランド、波乗り!」
ムーランドはどこからか大波を発生させ、それに乗りつつズルズキンを流す。
「っ!?」
イリスは目を見開く。無理もない。明らかにノーマルタイプで犬のような外見のムーランドが波乗りを使えるだなんて思わないだろう。
「くぅ。ズルズキン、炎のパンチだ!」
ズルズキンは拳に炎を灯してムーランドに特攻する。トリックルームの効果はもう既に切れているので、素早さは今までよりも遅いが、それでもズルズキンにしては速い。
「ムーランド、岩砕き!」
だがムーランドは全く動じず、ズルズキンの拳に合せて前足を勢いよく突き出し、威力を相殺する。
「ムーランド、続けて噛み砕く!」
さらにムーランドはズルズキンに噛み付く。その顎の力は、ズルズキンより強そうだ。
「飛び膝蹴りだ!」
ズルズキンは胴体を噛み付くムーランドの腹に、思い切り膝蹴りを叩き込む。それによってムーランドは引き剥がしたが、思ったよりダメージを受けていないようだ。それに対してズルズキンは、効果いまひとつの技なのに、かなりのダメージを受けている。
「ムーランド。こいつもかなり、厄介だな……!」
イリスVSベルだけでもう5章分も使ってしまいました。しかも僕の見立てでは後2回くらい続きそうなんですけど、本当に最終決戦なんてどんだけ時間が掛かる事やら。まあ、6体6のフルバトルですし、時間が掛かるのも当たり前なんですけどね。ではでは次回はついに御三家の進化系同士のバトルに!?まあ、期待しない程度に楽しみにしていてください。