二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 112章 疾風のキバゴ ( No.259 )
日時: 2011/07/03 00:24
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http://pokegai.jp/

「頼んだぞ、チラチーノ!」
イリスの3番手は、イリスの手持ちの中で最も俊敏なポケモン、チラチーノ。
「チラチーノ、10万ボルト!」
チラチーノは体に高電圧の電気を纏い、それをモノズに向けて放出する。
「モノズ、大地の力!」
モノズは、向かい来る電撃を大地の力でシャットアウト。地面タイプ技なので、一方的に防ぐ事が可能なのだ。
「だったら、気合玉!」
今度は体の周囲に7つの玉を浮かべ、それら全てをモノズに向けて発射する。
「ハイパーボイス!」
モノズも超重低音の衝撃音で気合玉を打ち消しに掛かるが、全てを打ち消す事は出来ず、3発ほど食らってしまう。
「今だ、アイアンテール!」
モノズは悪タイプも持っているので、格闘タイプ技の気合玉は効果抜群。それによって生じた隙を突くアイアンテールを叩き込む。
「噛み砕く!」
「かわせ!」
モノズは反撃にと噛み砕くを繰り出すが、チラチーノの俊敏な動きでかわされる。
「チラチーノ、ハイパーボイス!」
モノズから距離を取ったチラチーノは、超高音による衝撃音を放つ。
「モノズ、ハイパーボイス!」
それに対しモノズも超重低音の衝撃音を放つ。
2つの衝撃音がぶつかりあい、せめぎ合う。結果打ち勝ったのは、チラチーノの放ったハイパーボイスだった。
ちなみにこれは単純に特攻の高さの違いである。
「とどめだチラチーノ。アイアンテール!」
そしてチラチーノは大きく跳躍し、回転しながら鋼鉄のように硬化させた尻尾をモノズの脳天に叩き込む。
その一撃で、モノズは戦闘不能になった。
「戻って、モノズ」
アイリスはモノズをボールに戻す。そして、次なるポケモンが入ったボールを手に取る。
イリスはここで、アイリスがどのポケモンを繰り出すのか、大方予想出来ていた。
アイリスはヒウンシティでキバゴというドラゴンポケモンを使っていた。だったら恐らくはその進化系——ムントも使っていたオノノクスだろう。オノノクスのパワーは桁違いなので、単純に力比べになればまず負ける。なのでイリスは3番手に、素早いチラチーノを選んだのだ。
しかし悲しいかな、イリスの予想はまたも外れる。

「出て来て、キバゴ!」

アイリスが繰り出したのは、ヒウンシティで使っていたキバゴそのままだった。
「キバゴだと!?」
イリスは仰天する。それもそうだろう。ジムリーダー代理とはいえ、その者が進化すらしていないポケモンを最後に使ってくるのだから。
「先に言っておくけど、あたしのキバゴは強いよ。相手によればオノノクスにだってツンベアーにだって勝てるほどにね」
イリスが何か言おうとする前に、アイリスは忠告する。しかしイリスは半分くらいハッタリだと思っていたりする。
「まあいいや……チラチーノ、気合玉」
チラチーノは牽制にと気合玉を3発放つ。それらは直線的ではなく、カーブを描くようにしてキバゴへと向かって行く。
「キバゴ、避けて」
とアイリスが指示を出した瞬間。キバゴは消えた。
「え?」
そして気付く頃には、キバゴはチラチーノの真後ろにいた。
「チラチーノ、後ろだ!」
イリスは慌ててチラチーノにそう言うが
「キバゴ、ダブルチョップ!」
チラチーノが振り向いたときには、キバゴの小さな手刀が2つ、チラチーノを襲っていた。
「ちなみにあたしのキバゴの特性は闘争心。君のチラチーノは♀で、あたしのキバゴも♀。闘争心は同じ性別の相手と戦う場合、攻撃力が上がるわ」
今さり気無く年上を敬う言葉を使っていなかった気がするが、そんな事を気にしている場合ではない。
イリスが推測するに、このキバゴは異常なまでに素早さが高い。チラチーノと同等か、それ以上か。
素早さというのは、時として多大な攻撃力をも凌駕する能力なのだ。相手の攻撃をかわし続け、隙を見ては攻撃を繰り出す。言うほど簡単な事ではないが、マスターできれば無敵とも言える強さを発揮する。
アイリスのキバゴは、そういう風に育てているのだろう。キバゴは体が小さい。つまりそれは、身軽であり、小回りが利くということ。もしこれが巨体のオノノクスなら、そうはいかないだろう。
「チラチーノ、10万ボルト!」
しかし悲観していても何も起こらない。イリスはとにかくチラチーノに攻撃を繰り出させる。
「キバゴ、かわして龍の怒り!」
キバゴはまたも瞬間移動さながらのスピードで10万ボルトをかわし、怒れる龍のエネルギーを放つ。
「チラチーノ、かわして気合玉!」
チラチーノもその一撃を回避。気合玉を7発発射する。勿論『数撃てば当たるといいなぁ』くらいの気持ちだが。
「キバゴ、影分身!」
しかしチラチーノ気合玉は全て外れる。キバゴの俊敏な動きに加え、影分身による回避も織り込んだのだ。まず当たらないだろう。
「くぅ、アイアンテール!」
チラチーノはキバゴへ向かって、こちらも目にも止まらぬスピードで接近し、鋼鉄のように硬化させた尻尾を叩きつけようとする。
「かわしてダブルチョップ!」
しかし、やはりかわされて攻撃を打ち込まれる。
「一気に行くよ。ギガインパクト!」
とそこで、ダブルチョップを受けて仰け反っているチラチーノに、キバゴはギガインパクトを放つ。いくら攻撃力の低いキバゴといえど、チラチーノも防御は低い、この一撃をまともに受けたらやられる可能性は大だ。
「チラチーノ!」
そしてイリスは、そう叫ぶのであった。



ソウリュウジム、アイリス戦。もうすぐ決着です。いやービックリですよね、アイリスのエースがキバゴなんて……いやまあ、僕がそうしたんですけど。アイリスのエースがキバゴなのには、れっきとした理由があるんです。まあ、それは次回くらいに明らかになるかもです。では、次回もお楽しみに。