二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 113章 スパルタンメイヤーシャガ ( No.260 )
日時: 2011/07/20 10:37
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http://pokegai.jp/

キバゴは莫大なエネルギーを纏い、チラチーノに突撃する。防御力の低いチラチーノでは、キバゴのこの一撃を受ければ、まず戦闘不能になるだろう。
受ければ、の話だが。
「チラチーノ、受け流せ!」
チラチーノはキバゴの攻撃が当たる寸前に身を捩り、避けられこそしなかったものの、白いマフラーのような体毛でキバゴのギガインパクトを受ける。
すると驚く事に、キバゴの攻撃は油で滑るように受け流され、ジムの壁に激突する。
「今だ、ハイパーボイス!」
その隙を逃さずに、チラチーノは超高音の衝撃音でキバゴを攻撃。
「とどめのアイアンテール!」
そして大きく跳躍し、回転をかけながらキバゴの脳天に鋼鉄の如く硬化した尻尾を叩き込む。
アイリスのキバゴは素早さこそ高かったものの、防御面はそんなに鍛えられていないようで、そのたった2激で戦闘不能となった。
「キバゴ!」
アイリスはキバゴに駆け寄り、介抱する。それとほぼ同時に、イリスもチラチーノをボールに戻す。
「一応説明しておくと、チラチーノには2種類の体毛がある。1つは灰色、もう1つは白。灰色の体毛は普通の体毛だけど、白い方は違う。白い体毛は特殊な脂でコーティングされていて、物理攻撃を受け流す事が出来る」
つまり、チラチーノは自身の能力を利用して、キバゴのギガインパクトを受け流したようだ。

「良いバトルであったぞ、少年!」

突然、ジムの入口辺りから声が聞こえた。慌ててイリスは振り返ると、そこには口元を覆うほど顎鬚を蓄えた、筋肉質の老人が手を叩いていた。
「えっと……あなたは……?」
「おじいちゃん!」
イリスが困惑する中、アイリスが声を響かせる。
「アイリスや、わしが留守にしている間、よくぞこのジムを任されてくれたな」
老人はアイリスに歩み寄ると、その頭をくしゃくしゃと撫でる。アイリスは気持ち良さそうだ。
「少年よ、わしはシャが。このソウリュウシティの市長にして、ここソウリュウジムのジムリーダーじゃ」
その名前と言葉に、イリスは反応する。
「あなたがシャガさん……!あ、あの、実はお願いしたい事が——」
「分かっておる。伝説のドラゴンポケモン、レシラムを復活させようとしているのだろう? アデクから聞いておる」
ちなみにアデクは、昨日のうちにポケモンリーグへと向かった。
「ここで立ち話をなぞせず、家に来るが良い。そこで、わしらが知っている事を全て話そう」
かくして、イリスはシャが宅へと招かれる事になった。



「さて、単刀直入に言おう。わしらは伝説のポケモンを復活させる方法なぞ知らん」
ズルッ
イリスは椅子からずり落ちそうになった。
「知らないって……」
イリスは思い切り落胆する。これでは、今だ何も分からずじまいだ。
「一応、わしらが知っている伝説のポケモンにまつわる神話を全て話そう」
そしてシャガとアイリスは、大昔実在したと言われている英雄、伝説のポケモンの神話を聞かせてくれた。その大半はイリスも知っていたが、中には知らない話や、細部まで話してくれた。
「と、これで全部じゃ。何か、参考にでもなれば良いのだが」
「…………」
イリスは考え込む。先ほどの話で大方目星は付いたが、合っている保障も確証もない。
「正直、僕がこのままポケモンリーグに行っても、四天王にすら勝てるか怪しいですね……」
イリスはもはや大前提のところで悩んでいた。
「ふむ、そうか。ならば少年——いや、イリスと言ったか。ついて来るがよい」
と言ってシャガは立ち上がり、家の外に出る。
「あ、え? シャガさん?」
ついて来いと言われたので、イリスは疑問符を浮かべながらもシャガの後を追う。ちなみにアイリスもだ。



「って、ここジムじゃないですか」
シャガがイリスを連れて来たのは、ソウリュウジムだった。
「そうだ。君は自分の力に絶対の自信をもっていない。自分の力を過信するのは良くないが、自信がないのいかん。そこでわしは、君と3対3のポケモンバトルを行う」
「え? でも、僕にはシャガさんと戦う理由なんてないですよ。今は一分一秒が惜しいです。それに、僕はアイリスちゃんに勝ってバッジを——」
そこでイリスはハッと気付く。
「君は、アイリスからバッジを貰ったのか?」
イリスはアイリスとのバトル終了後、シャガの登場によりバッジの事を忘却していて、まだ貰っていない。
「それに、わしが帰ってきたのはアイリスがキバゴを繰り出した時。その時から既に、このジムでバッジを与える権利を持つのはわしじゃ」
屁理屈だが、まあバトルを断ったところで失う物などない。イリスは渋々受ける事にした。
「あまり乗り気ではないな」
「ええ。僕はポケモンセンターにも行ってませんから、今まともに戦える手持ちポケモンは3体だけです」
「3体いれば、わしとのバトルは出来る。それに、四天王は4人連続で戦わねばならん。その時の回復は自身で行わなければならん。その練習とでも思うが良い」
「…………」
イリスは一瞬『スパルタかよ』とか思ったが、すぐに頭を切り替える。もう腹を括るしかない。
「分かりましたよ。それじゃあ、今度こそ最後のジム戦。勝ってバッジをゲットしてやりますよ!」



アイリスがエースとしてキバゴを使った理由、もうお分かりでしょうか。イリスのジム戦はまだ終わっていないのです。最後のジム戦は、シャガとのバトルなのです。というわけで、次回こそ最後のジム戦、イリスVSシャガをお楽しみに。