二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 124章 師弟対決 ( No.281 )
日時: 2011/07/07 23:37
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http://pokegai.jp/

「出て来い、ダイケンキ!」
イリスは戦闘不能となったズルズキンを戻し、最後のポケモン、ダイケンキを繰り出す。
「水タイプのダイケンキじゃ草タイプのメブキジカには不利。速攻で決めるぞ。ダイケンキ、吹雪!」
ダイケンキは大きく吠え、猛烈な吹雪を放つ。
「メブキジカ、破壊光線!」
メブキジカは全てを破壊するような極太の光線を発射する。光線は吹雪を突っ切り、ダイケンキにも命中する。
「くっ……破壊光線の反動で動けない今がチャンスか。ダイケンキ、もう一度吹雪!」
破壊光線は1度使うと反動でしばらく動けなくなる。ダイケンキはその隙を突いて再度吹雪を放つ。
今度の吹雪はメブキジカも避けられず、まともに喰らうがあまりダメージがあるようには見えない。
「メブキジカ、シャドーボール!」
メブキジカは黒い影の球を作り出すと、それをダイケンキに向けて発射する。1発しか撃っていないが、そのスピードはかなり速い。
「ダイケンキ、ハイドロポンプ!」
ダイケンキは超高圧の水流を撃ち出し、シャドーボールを打ち消す。さらにそのまま水流をメブキジカにぶつけて攻撃するが、効果はいまひとつなので大したダメージにはならない。
「思い切って飛び込んでみるか……ダイケンキ、メガホーン!」
ダイケンキは地面を蹴り、勢いよく角を突き出す。それによりある程度離れていたメブキジカとの距離が一気に縮まる。
「メブキジカ、二度蹴り!」
メブキジカは姿勢を低くしてダイケンキの角を自分の角で挟むように避け、足を振り上げてその角を弾く。さらに弾かれて体勢を崩したダイケンキの前足にそれぞれ一撃ずつ蹴りを入れ、そこに仕込まれているアシガタナも弾き飛ばす。
というか、これはもう二度蹴りではなく三度蹴りである。
「!アシガタナが……」
アシガタナはダイケンキの隠し武器、つまり暗器。それを失うという事は、もしもの時の対応が難しくなるという事。
「メブキジカ、ウッドホーン!」
しかしそんな事は構わず、メブキジカは角を構えて突進してくる。
「くぅ、ダイケンキ、シェルブレード!」
ダイケンキも角に水のエネルギーを纏わせ、メブキジカに斬り掛かる。
槍のような角と剣のような角がぶつかり合い、せめぎ合う。結果、力の強いダイケンキがメブキジカを押し戻したが、それでもメブキジカのパワーも大したものだった。
「ダイケンキ、続けてメガホーンだ!」
押し戻した勢いのまま、ダイケンキは角を突き出す。
「メブキジカ、シャドーボール!」
それに対しメブキジカはシャドーボールを放ち、ダイケンキの動きを止める。
「破壊光線!」
そして近距離からの破壊光線を放つ。ダイケンキは敢え無く吹っ飛ばされる。
「流石に今のはキツイな……」
破壊光線は威力が存在する全ての技の中でもかなり高い方。ダイケンキはそれをもう2発も喰らっていて、しかも1発は近距離からの直撃だ。
「ダイケンキ、ハイドロポンプ!」
ダイケンキは目くらましの意味も込めて、ハイドロポンプを拡散して発射する。
反動で動けないメブキジカは盛大にその攻撃を喰らうも、ダメージは少ない。しかし拡散して発射されているので、視界が悪い。
「メガホーン!」
ダイケンキはハイドロポンプを目くらましに、メガホーンを放つ。
「メブキジカ、二度蹴り!」
メブキジカは最初にメガホーンを使ってきた時のように屈んで回避し、足を振り上げて角を弾く。そして今回はそこからダイケンキの顔面にも蹴りを1発入れる。
ダイケンキは後ろに仰け反る。その状態は隙だらけだ。
「ウッドホーン!」
そしてメブキジカは角を構えて突進する。
ウッドホーンには攻撃した相手から体力を奪う効果がある。つまり、これを受ければ今までメブキジカに与えたダメージが少なからず回復される。最悪、この一撃でダイケンキはやられる恐れがある。
しかし、イリスもそれくらいは理解していた。
「ダイケンキ、シェルブレード!」
ダイケンキは角に水のエネルギーを纏わせる。しかし、今から角を振り下ろしてメブキジカの攻撃には間に合わない。だがしかし、ダイケンキの思惑はそうではなかった。
「!? アシガタナ……!?」
アシガタナが水のエネルギーを纏い、メブキジカを襲ったのだ。それによりウッドホーンは中断され、メブキジカは後ろに下がる。
「残念だったね。アシガタナはダイケンキから離れても、シェルブレードによる水のエネルギーを通じて遠隔操作が出来る。ただ弾いただけじゃ、ダメなんだよ」
これはミキの知識不足だが、まあ、こんな事が出来るダイケンキはイリスのだけだろうから、仕方がないことだ。
「それじゃあ行くよ。ダイケンキ、メガホーン!」
ダイケンキは地面を蹴り、勢いよく角を突き出す。
「……私だって負けません。メブキジカ、ウッドホーン!」
メブキジカは角を構え、突進する。
2つの角がぶつかり合い、せめぎ合う。互いのエネルギーが混ざり合い、光を放っている。
数秒競り合った後、2匹は交錯し、背を向け合う。
『…………』
数秒の沈黙の後、メブキジカが倒れる。



「完敗です、師匠。やはりあなたは師匠です」
バトルの後、2人はベンチ(バトルで運良く破壊されなかった)に座って話していた。
「いや、ミキちゃんも相当強かったよ。僕もいつ負けるかと冷や冷やしてたし」
イリスは遠くを見ながらそう言う。
「……ところで師匠、1つお願いが」
「何かな?」
「また、一緒に旅をさせてもらえませんか? 私まだ師匠と一緒にいたいんです。もしダメだったら—」
「いいよ」
イリスはあっさりと言う。
「でも、これからはもっと厳しい旅路になるだろうけどね。覚悟しておいた方が良いよ」
「上等ですよ。それくらいの覚悟、旅立つ前からとっくにしていますよ」
かくして、イリスとミキ、師と弟子の旅は、また再開されるのであった。



今回も少し本編が長いです。いや、そうじゃなくてまず言う事はイリスVSミキの師弟対決、決着しました。ですよね。まあ、本編長い分あとがきは短く収めるべきなので、次回予告を。次回は番外にしようと思います。それも今度は敵の番外です。お楽しみに。