二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 番外編 過去のプラズマ 後編 ( No.283 )
日時: 2011/07/09 01:06
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http://pokegai.jp/

メイルが次に繰り出すのは、胎児のような姿で緑色もゲル状の物質に包まれているポケモン。
「ランクルスか。いや……まあ、いいか。キリキザン、シザークロス」
キリキザンは跳躍し、両手の刃を交差させながらランクルスに斬り掛かる。
「避けろ」
メイルはそう指示し、ランクルス実際に避けようとするが
「逃がさないよ。ストーンエッジ」
突如地面から鋭い岩が飛び出し、その岩がランクルスを襲う。
「くっ……」
メイルは軽く呻く。ランクルスを見ると、その姿は歪に歪んでいた。
「やっぱりゾロアークか。特性イリュージョンなんて、僕には通用しないよ」
特性イリュージョン。ゾロアークは場に出る時、手持ちのポケモン1体に化ける特性を持っている。
「まさか、私のゾロアークのイリュージョンを見破れる奴がいるとはな」
メイルは無感情に言う。
「ま、これでもPDOのリーダーですから。キリキザン、辻斬りだ」
キリキザンは刃を構え、ゾロアークへと走り出す。
「ゾロアーク、バークアウト」
それに対しゾロアークはけたたましい叫び声をあげ、キリキザンの動きを止める。
「火炎放射」
そして口から高熱の火炎を放つ。火炎はキリキザンを包み込み、燃え盛る。
「やるね。キリキザン、メタルバースト」
火炎放射を受けてもまだ立っているキリキザンは、銀色の光線を放つ。
メタルバーストは受けた攻撃のダメージを1,5倍にして返す技。もしゾロアークがこれを喰らえば、ひとたまりもないだろう。
「ゾロアーク、ナイトバーストだ」
しかしゾロアークは全く動じず、黒いエネルギーがこもった腕を振り上げ、振り下ろす。それと同時に途轍もない闇の衝撃波が発生し、メタルバーストを打ち消してキリキザンを襲う。
「キリキザン!」
キリキザンはその衝撃波をまともに喰らい、戦闘不能となる。
「戻れ、キリキザン。……それじゃ、次はこのポケモンだ。頼んだよ、ヒヒダルマ」
ジルウェの2番手は、真っ赤なゴリラのようなポケモン、ヒヒダルマだ。
「ヒヒダルマ、気合玉だ」
ヒヒダルマは気合を込めた玉を作り出し、それをゾロアークに向けて発射する。
「バークアウトで掻き消せ」
ゾロアークは咆哮のように叫び、それによる衝撃波で気合玉を掻き消す。
「シャドークロー」
そしてそのまま影の爪を作り、ヒヒダルマを切り裂く。
「怯むなヒヒダルマ。火炎放射!」
ヒヒダルマはシャドークローを受けはしたものの、ゾロアークが接近したのをいいことに、至近距離から火炎放射を放つ。
「くっ、ゾロアーク、バークアウト」
ゾロアークは対応できずに火炎放射の直撃を喰らうが、すぐに身を退いてバークアウトを放つ。
「気合玉だ!」
だがヒヒダルマは待ってましたと言わんばかりに気合玉を発射する。崩れた姿勢で放ったバークアウトの威力は低く、気合玉は簡単にその衝撃波を突っ切ってゾロアークに直撃する。
「戻れ、ゾロアーク」
メイルは戦闘不能となったゾロアークをボールに戻す。
「出て来い、ランクルス」
そして今度こそ、正真正銘のランクルスを繰り出す。
「ランクルス、サイコキネシス」
ランクルスは無数の念波を放ち、ヒヒダルマを襲う。攻撃は高いが防御面が低いヒヒダルマは、その攻撃でかなりのダメージを受ける。
しかしその時、ヒヒダルマに異変が起こる。
「何だ……?」
ヒヒダルマの体は、炎のように真っ赤な色から、落ち着いた青色となり、体勢も瞑想をした時のようになる。
「ダルマモード。ヒヒダルマの特性だ。これは自分がピンチになると、防御力に特化したダルマモードという形態に変化する特性だよ」
ジルウェはそう説明する。
「さあ、ヒヒダルマ、サイコキネシスだ」
ヒヒダルマは無数の念波を発生させ、ランクルスを攻撃する。
「ランクルス、サイコキネシスで押し返せ」
だがランクルスもサイコキネシスを放ち、ヒヒダルマの念波を押し返す。
「雷だ」
さらに激しい雷撃をヒヒダルマに落とす。いくら防御に特化しているとは言っても、今のはかなり効いただろう。
「ヒヒダルマ、岩雪崩だ!」
ヒヒダルマは天井に何か念じると、突然岩が崩れ、雪崩のようにランクルスを襲う。
「サイコキネシス」
ランクルスはサイコキネシスで襲い掛かる岩を押し止めようとするが、如何せん数が多いため、全てを止めることは出来ずにいくらか喰らってしまう。
「ランクルス、エナジーボール」
岩を全て処理すると、ランクルスは緑色の球を2つ発射する。
「ヒヒダルマ、サイコキネシス」
ヒヒダルマは念動力でその球を止める。
しかし、そこに隙が生じてしまう。
「ランクルス、雷」
ランクルスはその隙を見逃さず、激しい雷撃をヒヒダルマに落とし、戦闘不能とする。
「……まさか、ダルマモードのヒヒダルマもこんなに早くやられるとわね……」
ジルウェは1つ溜息を吐く。その溜息は、どこか倦怠感があった。
「これでお前の手持ちは残り1体。まあ、他にポケモンがいるなら、いくら使おうが構わないがな」
メイルは余裕の言葉を発する。正直メイルも残りポケモン1体なのだが。
「いや、残りはこいつ1体だけなんだけど、正直あんまり使いたくないんだよねぇ……まあ、四の五の言ってられないか」
そう言ってジルウェは、目付きを鋭くする。
「気をつけてね、このポケモンはまだ幼いから、力の加減が効かないよ」
そう前置くと、ジルウェはモンスターボールを放る。
「さあ出て来てくれ、僕の勝利の星——」



その後、メイルは軽度の火傷を負って帰還した。ゲーチスに何があったのかを聞かれたが、「奴である可能性は高い」とだけ言って無視した。
ちなみに、地下水脈の穴は最深部が崩壊し、バトルの後は大規模な火災も発生した。まあ、場所柄すぐに収まったが。
「PDOリーダージルウェか……」
メイルはバトルを少し振り返ってみるが、止めた。ジルウェの事を思い出すと無性にイラつくからだ。
「……ふん」
メイルは最後に、『勝利の星』について思考を巡らせる。
「やはり、この世は地獄、あの世も地獄だ」
そして最後に、そう呟く。



番外終わったんですが……書く側としては、正直内容も締まりも微妙なような気がしてなりません。それに、話1回分で何体もポケモンを出すのはきついです、何か。まあ、それでは次回予告を。次回はチャンピオンロード……の一歩手前の重大イベントです、お楽しみに。