二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 130章 冷戦 ( No.290 )
日時: 2011/07/11 23:36
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http://pokegai.jp/

ロイヤルポケモン、ジャローダ。
高圧的な眼、唐草模様の刻まれた緑色の胴体、蛇のようなボディ。一見しては分かり難い、葉っぱ状の小さな手。後頭部から生えた2対の耳のような突起物、長い襟のような装飾と、どことなく貴族のような高貴な雰囲気を漂わせている。
「出て来い、ダイケンキ!」
イリスはそんなジャローダに対し、水タイプのダイケンキを繰り出す。正確に言えば、それしか繰り出せない。
「イリス。僕は君の性格やポケモンの技なんかを読んで、最終的にこのような形でジャローダとダイケンキをぶつけようと誘導した。まあ、ここまで上手くいくとは流石に思ってなかったけどね」
チェレンは軽く笑う。対するイリスは悔しげで、苦しげな表情だ。
「いや、相性だけじゃポケモンバトルは決まらない。僕のダイケンキだって、草タイプの対策はしてある。だから恐れるほどの事じゃない」
イリスは自分にそう言い聞かせる。そして深呼吸し、バトルに戻る。
「それじゃ、こっちから行くよ。ダイケンキ、ハイドロポンプ!」
ダイケンキは超高圧の水流を、ジャローダに向けて発射する。
「かわせ、ジャローダ」
ジャローダはその水流を体を捻ってかわし、地面を滑るような動きでダイケンキに急接近する。
「燕返しだ」
そしてジャローダは尻尾の先端を振り、ダイケンキを切り裂く。切り裂いた後はすぐに後退し、反撃に出させない。
「くっ、ダイケンキ、吹雪だ!」
ダイケンキは今度はハイドロポンプよりも攻撃範囲の広い吹雪を放つ。
「ジャローダ、グラスミキサーだ」
対するジャローダは尻尾を高速で回転させ、木の葉を含む竜巻——木枯らしのようなものを発生させる。そしてそれを向かい来る吹雪にぶつける。
吹雪と木枯らしはぶつかり合い、互いにせめぎ合う。結果、範囲を広めて威力を落としたのが災いし、吹雪は木枯らしに突っ切られる。
「ダイケンキ、耐えろ……!」
横倒しになった竜巻のような空間の中で、ダイケンキは木の葉の乱舞を受ける。
「メガホーン!」
グラスミキサーが収まると、ダイケンキは角を突き出してジャローダに突撃する。
「無駄だよ。ジャローダ、回避だ」
ジャローダはそんなダイケンキの攻撃を跳び上がって避ける。
「叩きつける」
そしてそのまま勢いをつけた尻尾をダイケンキの体に叩きつける。
「ぐぅ、シェルブレード!」
結構な威力の叩きつけるを喰らうもダイケンキの体勢は崩れず、攻撃直後で隙のあるジャローダに、ダイケンキはシェルブレードを見舞う。
「全然効かない……!」
ジャローダはシェルブレードの直撃を受けたが、ほとんどダメージはないようだ。確かに効果いまひとつではあるが、それでも効果が薄すぎる。
「ジャローダ、太陽の光を吸収するんだ」
チェレンがそう指示を出すと、ジャローダの体は太陽の光を受け、それを吸収する。
「これはチャンスだ。ダイケンキ、メガホーン!」
ダイケンキはジャローダが動けない隙に、全力のメガホーンを放つ。ダイケンキの突き出した角は、ジャローダの細い体を確かに捉え、手応えもある。
(決まった。メガホーンは虫タイプの技、草タイプのジャローダには効果抜群だ。あの細身の体なら、防御力は低いはずだから、この一撃でほぼ決まり——)
「ソーラービームだ」
イリスがそんな事を考えていた刹那、メガホーンの直撃を受けたジャローダは、口から太陽光線を放つ。
「ダイケンキ!」
ソーラーービームの直撃を受けたダイケンキは大きく吹っ飛ばされる。幸い戦闘不能ではないが、かなりのダメージを負っている。物凄い攻撃力だ。
「ダイケンキのメガホーンを耐え切るなんて……」
そして何より驚きなのが、ダイケンキのメガホーンを耐え切った防御力。細身のジャローダの防御力がそんなに高いとは到底思えないが
「僕のジャローダは攻撃、防御、素早さ、全てにおいてトップクラスの能力を秘めている」
イリスはその言葉を聞き、さらに驚愕する。
強くて堅くてその上速いとなれば、もうどうしようもない。ダイケンキの能力では、全体的に特化したジャローダを打破する事は出来ない。
「ジャローダ、燕返しだ」
ジャローダは滑るような動きでダイケンキに接近すると、尻尾の先端でダイケンキを切り裂く。
「シェルブレード!」
ダイケンキもカウンターでシェルブレードを放つが、素早い動きでかわされる。
(どうすれば良いんだ。強くて堅くて速いあのジャローダを、どうやって倒せば良いんだ)
イリスは考えるが、良い案どころか、悪いビジョンばかりが浮かんでくる。
(このままじゃいずれダイケンキはやられる。くそ、こんなに早くバトルが終わるなんて——)
とそこで、イリスの思考は止まる。ただし、これは悪い意味ではない。閃いたというか、ジャローダの弱点が分かったのだ。
だが、出来るかどうかはかなり怪しい。正直出来ない気ばかりがする。
「いや、やるしかない。やって成功して、勝つんだ」
イリスの眼に、静かな炎が灯る。
「ダイケンキ、全方向に吹雪!出来なくなるまで、いや、出来なくなっても続けろ!」
イリスは無茶苦茶な指示を出す。普通のポケモンなら無視して寝始める可能性大だが、そこはイリスの一番のパートナーダイケンキなので、静かに首肯する。
そして、凍てつく吹雪を全方向に放つ。全方向に放っているにも関わらず、普段の吹雪よりも格段に威力が高い。これはもう吹雪というより、ブリザードだ。
「ジャローダ、これを返す事は出来そうにない。ダイケンキの気力が切れるまで耐えるんだ」
そしてジャローダはとぐろを巻き、吹雪を耐える。
そして、2体のポケモンは冷たい戦争のように、じっとその場で佇む。



先に言っておきます。僕の書く小説での表現は、結構適当です。なので意味や用法の違う単語や表現が出て来る事が多々あります。特に今回は自分で書いていて気付くくらいあります。では、注意事項もそこそこに、次回予告。今回は決着ならずでしたが、次回こそイリスVSチェレン、決着です。お楽しみに。