二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 135章 電気蜘蛛 ( No.295 )
- 日時: 2011/07/14 00:36
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http://pokegai.jp/
「ブルンゲル、鬼火です!」
ブルンゲルは青白い不気味な火の玉を体の周囲に発生させ、デンチュラに向けて放つ。
「デンチュラ、かわせ!」
デンチュラは揺れながら向かって来る火の玉を、俊敏な動きでかわしていく。
「っ!? 追って来る……!」
しかし火の玉はデンチュラを追う。デンチュラは必死でかわし続ける。
「この火の玉は半分がブルンゲルの意思、もう半分はランダムに動きますよ」
それは厄介である。ブルンゲルの意思だけで動くなら、ブルンゲルが予測できないような動きでかわせばいい。ランダムで動くなら火の玉から距離を取りつつかわせばいい。しかし意思でとランダムの2種類で向かってくるのは、非常に厄介である。まずランダムで動く火の玉をかわしても、ブルンゲルはそれを予想し、先回りで火の玉を動かす。逆にブルンゲルの思考を読み、火の玉をかわしても、不規則な軌道の火の玉が襲ってきて、かわすのは難しい。
「デンチュラ!」
そうこうしているうちに、火の玉は全方位からデンチュラを襲い、青白い不気味な炎で包み込む。
「くっ……でも大丈夫だ。火傷状態になっても、速攻で決めれば問題ない。デンチュラ、エレキボール!」
デンチュラは電撃を凝縮した球を作り、ブルンゲルに向けて一直線に発射する。雷球はブルンゲルにヒットしたが、致命傷にはならない。
「ブルンゲル、自己再生」
それどころか、ブルンゲルの体が光り、受けた傷を癒し、体力を回復する。
「なら、回復が間に合わないくらいの怒涛の攻撃を喰らわせてやる。デンチュラ、ワイルドボルト!」
デンチュラは激しい電撃をその身に纏い、物凄い勢いでブルンゲルに突撃する。
「ブルンゲル、怪しい光!」
がしかし、ブルンゲルはデンチュラの攻撃が当たる前に、体を不気味で怪しく光らせる。
「ぐっ、混乱か……」
デンチュラは戦闘不能ではないが、目を回していて、五感が狂わされている。
「ブルンゲル、上昇してください」
ブルンゲルは混乱しているデンチュラに追撃せず、塔の天井付近まで上昇する。
「逃げるのかよ……。!」
その時、イリスは気付いた、シキミの作戦に。
「またかよ……!」
シキミの作戦は、言えばデスカーンと同じである。デスカーンは徹底的にこちらの動きを封じ込め、じわじわと体力を削る作戦、言うなれば持久戦である。
そしてブルンゲルの作戦も、同じ持久戦である。ただしこちらは相手の行動を制限するのではなく、自分の保身を考えるものだ。デスカーンは自分の体力も削って相手を倒すが、ブルンゲルは自分の体力を回復しながら敵を倒す。
「つまり、怪しい光で攻撃をかわし、鬼火で体力を削り、自己再生で回復し、波乗りで押し返す。それがアタシのブルンゲルのバトルスタイルです!」
シキミは、デスカーンの時のような事を言う。
「また持久戦か。これは嫌気が差して来るな……でも、それでもやらなきゃな。デンチュラ、シグナルビーム!」
混乱状態での攻撃の失敗は、ポケモンの懐き具合に依存する。デンチュラとイリスの懐き度は最高なので、デンチュラは攻撃ミスをする事なくシグナルビームを発射する。
「ブルンゲル、回避です」
ブルンゲルは直線的なシグナルビームをひらりとかわす。
「やっぱ高い所にいたんじゃ、避けられるか……デンチュラ、もう一度シグナルビーム!」
デンチュラは様々な色彩の光線を束ね、ブルンゲルに向けて発射する。
「避けてください」
だがまたもシグナルビームは避けられる。
「デンチュラ、動くなよ」
何故かイリスは技の命令をせず、デンチュラに動かない事を命じる。ブルンゲルも空中に浮いたまま、何も仕掛けてこない。
2体のポケモンが静止して、約3分。ついにデンチュラが動いた。
「エレキボールだ!」
デンチュラは電撃の球をブルンゲルに向けて発射する。
「ブルンゲル、波乗り!」
ブルンゲルは今度は避けず、大波を発生させてエレキボールごとデンチュラを押し流そうとする。
「ワイルドボルト!」
デンチュラは襲い掛かる大波を避けず(避けれず)、むしろ激しい電撃を纏って突撃する。デンチュラはその大波を突っ切り、そのままの勢いでブルンゲルも突撃する。
「怪しい光!」
ブルンゲルはそんなデンチュラに対し、体を怪しく光らせて混乱状態にしようとする。
「デンチュラ、気にするな!突っ込め!」
デンチュラはそんな光を気にせず、というかものともせず、ブルンゲルに思い切りぶつかる。
「ブルンゲル、自己再生!」
だがブルンゲルはすぐに自己再生を始め、受けた傷を癒す。
「でも、あのワイルドボルトは厄介ですね。呪われボディが運悪く発動しませんでしたから、また来るでしょう。ブルンゲル、もっと上昇してください」
ブルンゲルはさらに上昇し、もう天井に体が当たるほど上昇する。その高さはデンチュラの跳躍力を持ってしても届かないだろう。
「さあ、どうしますか? この高さなら、ワイルドボルトはおろか、エレキボールもシグナルビームも届きませんよ!」
シキミはハイテンションでそう言うが、イリスは落ち着いている。そしてしばらく黙っていたが、口を開いた。
「シキミさん、掃除は好きですか?」
しかし内容は、バトルには全く関係ないことだった。シキミもわけが分からず、困惑している。
「もしシキミさんが掃除好きで綺麗好きなら、デンチュラはやられるでしょう。でも違うなら、僕の勝ちです」
「な、何を言って……」
シキミが辛うじて口を開いた瞬間、デンチュラは猛烈な電気を身に纏う。
「ま、やってみれば分かるでしょう。デンチュラ、やってくれ」
イリスがそういって次の瞬間
ブルンゲルは激しい電撃を浴びた。
「ブルンゲル!」
ブルンゲルは地面に落ち、目を回している。戦闘不能になったようだ。
「一体何が……?」
シキミが困惑する中、イリスは説明をする。
「デンチュラは電気蜘蛛ポケモン。それを活かして、天井に張り付いている蜘蛛の巣に電流を流しました。この塔やけに蜘蛛の巣が張ってあるでしょう? そういう仕様なんでしょうけど、それが仇になりましたね。掃除をしない人は、いつか痛い目見るんですよ。まあ正直、上手くいく可能性は低かったですし、こんない威力があるとは思いませんでしたけど」
イリスはいつもの調子で説明し終えると、真剣な顔つきに変わる。
「それじゃ、次の章も楽しませてくださいよ、シキミさん」
イリスVSシキミ、パート3。今回は本編長めなので、あとがきは短く。次回はイリスVSシキミ、パート4です。お楽しみに。