二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 138章 Great ( No.298 )
- 日時: 2011/07/16 00:30
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http://pokegai.jp/
「シャンデラ、ソーラービーム!」
シャンデラは太陽の光を集め、それを光線として発射する。
「ダイケンキ、吹雪だ!」
ダイケンキはその光線を、猛烈な吹雪を放って相殺する。
「溜めなしのソーラービームは流石にきついな……」
ソーラービームは威力も命中率も申し分ないが、光を吸収する溜めが必要なのが弱点だ。そうやって突っ立っているうちに相手に攻撃されるのが関の山、なのでそれ単体で使うポケモンは少ない。しかしソーラービームは日本晴れによる『日差しが強い』状態だとその溜めをなくすことが出来る。
「ソーラービーム!」
シャンデラは連続でソーラービームを発射する。流石にここまで連射されると、ダイケンキでは避ける事も相殺する事も出来ずに何発か喰らってしまう。
「やられてばっかいられないな……ダイケンキ、ハイドロポンプ!」
ダイケンキは口から超高圧の水流を発射する。
「シャンデラ、大文字!」
シャンデラはそのハイドロポンプを、大の字の巨大な炎で消し去ってしまう。
「だったらシェルブレードだ!」
ダイケンキは角と前足に仕込まれているアシガタナに水のエネルギーを纏わせ、シャンデラに斬り掛かる。
「シャンデラ、避けて」
シャンデラは刀を振るって突っ込んで来たダイケンキの頭上に回るようにシェルブレードを回避する。
「まだだ。メガホーン!」
ダイケンキは素早く角を真上に向かって突き出すが、シャンデラはゆらゆらと揺れるような動きでその攻撃もかわす。
「威力が低い上に当たらない。かなり厄介だな……!」
シャンデラは日本晴れでダイケンキを弱体化し、さらにゴーストタイプ特有の不規則な動きで攻撃をかわす。この戦いもまた、チェレンのジャローダや先のデスカーンと通じる所があるという事だ。
「せめて日本晴れさえなければ……」
そう言ってイリスはふと視線を上げる。
「……何だ、あれ? 太陽?」
イリスの視線の先は塔の天井付近。そこには小型の燃え盛る球体が浮いていた。
「そうか。あれが日本晴れの正体か」
イリスはこの塔内を晴天にするなんてどうやっているのだろうと思っていたが、こういう事だったようだ。
「……まてよ、だったら……」
イリス打開策を閃いた。しかし、成功するかどうかは分からない。正直、かなり分の悪い賭けだ。
「……いや、大丈夫だ。僕らはその分の悪い賭けを何回もして、その度に成功してきたじゃないか」
イリスは覚悟を決める。ダイケンキもそれを読み取ったのか、顔を上げ、さらなる気迫を放つ。
「よし、行くぞ、ダイケンキ。水は放つんじゃない、撃ち出すんだ」
イリスは一呼吸おいて、ダイケンキに指示を出す。
「ダイケンキ、ハイドロカノン!」
ダイケンキは体内の水を凝縮させ、大きな塊とする。そして口を銃身に見立て、その水の塊を弾丸のように、発射する。
水の弾丸はまっすぐ太陽に向かって行き、そのスピードもさながら銃弾のようだ。
「シャンデラ、太陽が破壊されるよりも速くソーラービームです!」
流石のシキミでも太陽が壊されると困るらしく、速攻でダイケンキを倒すべくシャンデラにソーラービームを指示するが、時既に遅かった。
水の弾丸は太陽に直撃し、破壊した。その際に炎と水が混じり合い、膨大な蒸気も発生する。
ハイドロカノンは攻撃後に反動で動けなくなるが、シャンデラは今、ソーラービーム発射のために光を溜めている。日差しがないために溜めるのに時間が掛かり、その隙に反動から立ち直り、シャンデラに接近する。
「ダイケンキ、もう1発ハイドロカノン!」
ダイケンキはシャンデラの正面まで来ると、巨大な水の弾丸を、至近距離からシャンデラにぶっ放した。
「シャンデラ!」
炎タイプのシャンデラが、間近でハイドロカノンなんて大技を喰らって耐えられるはずもなく、炎を消えるように倒れ、戦闘不能となった。
「ごごご、ごめんなさい!まずポケモンたちに謝らないと……。アタシのせいで辛い思いさせちゃって、本当にごめんね!」
シキミはバトルが終わるなり、ボールに向かってペコペコと頭を下げ始めた。あんまりやるので、丸眼鏡が落ちそうになる。
「えっと……」
イリスは反応に困る。謝るべきかどうか、でも別に悪い事してるわけじゃないし、でも……と頭の中で考えていると、謝り終わったのか、シキミが近寄って来る。
「大丈夫ですよ。あなたは悪くないです。こうなるのは勝負の常、それを踏まえてアタシも四天王やってますから」
「はあ……」
イリスはシキミの意外な一面を知った。
「それにしても、凄いバトルでした。何が凄いかって言われると、正直答えづらいんですけど……。アタシもいろんな言葉を知ってますが、上手く言い表せないんですよ」
それはイリスもよく分かる。ポケモンバトルというのは理屈ではなく、体と心で感じるものなのだ。
「たぶん言葉にすると今溢れている感情とか、それに閉じ込められちゃうからかなぁ……。でも、これだけは言わせてください」
シキミは最後に、左手に持つペンをくるりと回し、こう言った。
「あなた、グレートです!」
終わりました、イリスVSシキミ。6話分ほど使ってやっと一人とは、全員書くのは結構大変そうです。でも、僕はちゃんと書きますので、ご安心ください。では次回はチェレンと四天王の誰かが戦います。お楽しみに。