二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 144章 ベルVSギーマ ( No.306 )
- 日時: 2011/07/18 16:26
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http://pokegai.jp/
イリス、チェレンがまだ四天王と戦っていない頃、ベルは北西の塔に向かっていた。
「うわぁ……」
塔の内部に入ると、そこは西洋風の建物だった。天井には巨大なシャンデリアがあり、目の前には赤く長いカーペットが螺旋状に渦巻いている。
「なんかこのカーペット動いてるけど……」
ベルは好奇心と不安感が半分ずつ心の中にあり、乗るか否か迷う。
「よし、乗っちゃえ」
勝ったのは好奇心だった。しかも圧勝。
動くカーペットで上昇していると、所々に設置されてある蝋燭が独りでに発火し、室内をさらに明るくする。
上りきると、そこには燕尾服のような服を着て、裸足のまま革靴を履いている1人の男が優雅にソファに座っていた。
「やれやれ、今日はどういう日かな? 続けざまに挑戦者がやって来るとは……」
男は憂鬱そうに言いつつも、表情はどこか嬉しそうだった。
「まあいいさ。四天王ギーマ、その役割に従い、お相手するまでさ」
そう言うものの、ギーマはボールを出さない。それどころか、さらに言葉を発する。
「人生は与えられたカードでの真剣勝負。配られたカードに文句を言うよりも、どう使いこなすかが大事なのさ」
「?」
ベルはギーマの言葉を微塵も理解できない。イリスやチェレンは常に頭を使って生きているが、ベルはそうではない。いや、確かに脳はちゃんと機能しているが、ベルはどちらかといえば感覚的に生きているのだ。だからギーマの言うような理論的な事や、哲学的な事などの小難しい話は理解できない。
ありていに言って、頭が悪い。
「さあ、始めよう。勝った者が全てを手に入れ、負けた者には何も残らない。そんな勝負こそが、生きている証」
そしてギーマはついにボールを手に取り、ポケモンを繰り出す。
「さあ出て来い、レパルダス」
ギーマの先発は豹のような模様の猫型のポケモン、レパルダスだ。
「何言ってるのか全然分からなかったけど、とにかくはこの勝負に勝てば良いんだよね」
ベルも頭の悪さを全開にしつつも、バトルをすればいいというのは理解し、ポケモンを繰り出す。
「出て来て、モロバレル!」
ベルの先発は、頭と両手にモンスターボールに似た傘を持ったキノコ型のポケモン、モロバレルだ。
「それじゃあ、こちらから行かせてもらう。レパルダス、燕返しだ」
レパルダスは俊敏な動きでモロバレルに急接近し、鋭い爪で切り裂く。
「モロバレル、しっぺ返し!」
モロバレルは燕返しを喰らうや否や、傘を振ってレパルダスを攻撃する。
「怯むなレパルダス。シャドーボールだ」
レパルダスはモロバレルから距離を取ると、影で生成した球体を発射する。
「続けて燕返しだ」
さらにレパルダスはシャドーボールが発射されたすぐ後に走り出し、モロバレルに接近。影の球と鋭い爪のダブルダメージを与える。
「くぅ、モロバレル、しっぺ返——」
「不意討ちだ」
モロバレルは再度傘を振ってレパルダスを攻撃しようとするが、その攻撃は空振り、しかもレパルダスはいつの間にか背後に。そしてレパルダスは鋭い爪の一撃を喰らわせる。
「思ったよりも大したことないな」
ギーマはレパルダスに下がるよう指示を出し、そう呟く。
「そんな事……モロバレル、エナジーボール!」
モロバレルは両手の傘からそれぞれ1つずつ緑色の球体を発射する。
「レパルダス、かわせ」
レパルダスはその2つの球を跳躍してかわす。
「シャドーボールだ」
そして影の球を放ち、モロバレルを攻撃する。
「うぅ……モロバレル、根を張る」
モロバレルは根っこを張って地中の栄養分を吸収し、自分の受けたダメージを回復する。しかしここは完全に屋内で、しかも人工の場所である。なので地中に養分なんてほとんどなく、体力もあまり回復しない。
「相手だけじゃなく、場所も悪かったようだな。だが、それらのチョイスを誤るのは、本人が悪い」
ギーマは静かで落ち着いた声だが、実に手厳しい事を言う。
「レパルダス、爪とぎだ」
レパルダスは地面を爪でひっかき、爪をとぐ。こうする事により、攻撃力と命中率が上がるのだ。
「モロバレル、ベノム——」
「レパルダス、不意討ち」
モロバレルは毒を悪化させる毒液を発射しようとするが、いつの間にか背後に現れたレパルダスの攻撃を喰らい、中断される。
「同じ手にこうも簡単に引っ掛かる。これはもう、素人以下だな。とっとと決めるぞ、レパルダス。燕返しだ」
レパルダスは不意討ちの攻撃後、鋭い爪ですぐさま追撃する。
「モロバレル、しっぺ返し!」
「避けろレパルダス」
振り返ると同時に繰り出されるモロバレルの一撃は、レパルダスに簡単に回避される。
「シャドーボール」
そして影の球を受け、さらにダメージが蓄積される。
「モロバレル、エナジー——」
「不意討ち」
モロバレルが傘を前に突き出し、緑色の球を発射しようとしたところでレパルダスの不意討ちが炸裂し、モロバレルは戦闘不能となった。
「これでモロバレルは戦闘不能だ。さて、どうする? まさか、勝負を下りるだなんて言わないよな?」
ギーマはいちいち一言一句にプレッシャーを感じる言葉で、ベルの精神を削ろうとする。
しかし、それほど無駄な事はないだろう。
「勿論ですとも。これからが、楽しいバトルじゃないですか」
ベルはマイペース過ぎて、プレッシャーなんて感じない。
随分と締まらない締めになってしまいましたが、まあ良しとします。今回はベルVSギーマのバトルです。実は四天王の中ではギーマが1番好きだったりします。悪タイプ好きですしね、僕は。では次回はベルVSギーマ、パート2です。お楽しみに。