二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 145章 ワイルドカード ( No.307 )
日時: 2011/07/18 20:57
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http://pokegai.jp/

「出て来て、シビルドン!」
ベルが次に繰り出すポケモンは、電気魚ポケモンのシビルドン。手と足のあるウナギのようなポケモンだ。
「シビルドン、ラスターカノン!」
シビルドンは口から銀色に光る球を、レパルダスに発射する。
「レパルダス、避けろ」
だがレパルダスの俊敏な動きで、ラスターカノンは回避される。さらにレパルダスはそのままシビルドンに接近してくる。
「燕返しだ」
そして鋭い爪でシビルドンを切り裂く。
「ドラゴン——」
「レパルダス、不意討ちだ」
シビルドンが龍の力を込めた爪でレパルダスを攻撃しようとすると、レパルダスはシビルドンの背後に一瞬で移動し、爪の一撃を見舞う。
しかし、シビルドンはその程度では怯まなかった。
「シビルドン、岩石封じ!」
突如、地面が隆起し、レパルダスは盛り上がった岩に捕らえられてしまう。
「下がってシビルドン、ワイルドボルト!」
シビルドンは捕まったレパルダスから一旦距離を取り、激しい電撃を身に纏って突撃する。
「フッ……なかなか、強力なカードを持っていたんだな」
ギーマはワイルドボルトで戦闘不能となったレパルダスをボールに戻し、そう呟く。
「シビルドンか……だったら次はこれだ。出て来い、ズルズキン」
ギーマの2番手は、イリスも使う悪・格闘タイプのポケモン、ズルズキンだ。
「ズルズキン、噛み砕く」
ズルズキンは口を開き、シビルドンに向かって走り出す。
「シビルドン、迎撃するよ。ドラゴンクロー!」
シビルドンは向かって来るズルズキンを、龍の力を込めた爪で引き裂く。
「その程度じゃ、このズルズキンは倒せないぜ。ズルズキン、もう一度噛み砕く」
ズルズキンは再度大口を開けてシビルドンに特攻する。
「それじゃあもう一度、ドラゴンクロー!」
さっきと同じように、シビルドンは龍の爪をズルズキンに繰り出すが
「潜り込め」
ズルズキンはシビルドンが腕を振るうのとほぼ同じタイミングで前のめりのまま体勢を低くし、ドラゴンクローを回避する。そして
「ローキック」
シビルドンの足をすくうような蹴りを放ち、シビルドンを転ばせる。
「冷凍パンチ」
さらに冷気を纏った拳を、がら空きになったシビルドンの腹に炸裂させる。これは相当なダメージになっただろう。
「深追いは禁物かな。ズルズキン、下がれ」
ズルズキンは慎重で、これ以上の追撃はせずにシビルドンから距離を取る。
「シビルドン、大丈夫だよ。ラスターカノン!」
何が大丈夫なのかは定かではないが、シビルドンは銀色に光るの球体を口から発射する。
「弾け。冷凍パンチ」
だがズルズキンはその球体を冷気を纏った拳で弾いてしまう。
「シビルドン、岩石封じ!」
シビルドンは床を叩き、地面を隆起させ、盛り上がった岩でズルズキンの行動を封じる事を試みる。
「思念の頭突き」
それに対しズルズキンは、思念のこもった頭を床に叩きつける。その奇怪な行動にベルは疑問符を浮かべるが、何故そのような行為に出たかはすぐに分かった。
「え……あれ。岩が……」
そう、岩石封じで隆起するはずの岩が、いつまで経っても出て来ないのだ。
「思念の頭突きにはこういう使い方もある。地面に思念を流し込む事で、他の思念を打ち消す事ができる」
岩石封じの他にも、誓の技や大地の力など地面から何かを発生させて攻撃する技は、総じて地面に思念を送り込んでいるのである。そうする事で地面から何かを発生させて攻撃するのだ。
ちなみにこれは、いつかのムントとレンジの戦いでムントが行った戦法の応用だが、それを知るのはその2人だけである。
「さあ行くぜ。ズルズキン、冷凍パンチだ」
ズルズキンは拳に冷気を纏わせ、シビルドンに向かって走り出す。
「だったらこっちも、ワイルドボルト!」
シビルドンも激しい電撃を纏いズルズキンに向かって走り出す、というか突進する。
「これはやや予想外だが、対処できなくはない。ズルズキン、ローキック」
ズルズキンは拳に冷気を纏わせたまま、シビルドンの足をすくうような蹴りを繰り出し、シビルドンを転ばせる。

しかし、代わりにズルズキンは吹き飛ばされた。

「な……!?」
ここで初めて、ギーマは驚きの表情になる。それもそうだろう、自分のポケモンがいきなり吹き飛ばされて、冷静でいられるトレーナーなどそういない。
「あれ……?」
ちなみにベルも疑問符を浮かべている。どうやらズルズキンが吹き飛ばされたのは、ベルが——シビルドンが故意にやった事ではないらしい。
「……まあ、シビルドンが気合を入れて電撃を纏い、その電圧や電流が通常よりも強かったってところだろうな」
ギーマはすぐに平静を装い、ズルズキンをボールに戻す。実はさっき吹き飛ばされて戦闘不能になったのだ。
「それにしても、途轍もない破壊力を持ったシビルドンだな。そんなワイルドカードを初っ端から使うとは、恐れ入ったよ」
ギーマは軽く微笑み、次のボールを取り出す。
「だが、単純に力が強い札なら、こっちにだってある。さあ出て来い、ワルビアル!」
ギーマの3番手は、威嚇ポケモンのワルビアル。直立したワニのような姿で、体色は赤黒いく、見た者に恐怖心を植えつけるような相貌だ。
「さて、この勝負はどう転ぶか……」
ギーマはボールをしまいつつ、怪しく微笑む。心の底から、バトルを楽しむように。



ヤバイです。なんだかこのベルVSギーマ、早く終わりそうです。まあ、話を長くするのは簡単なんで、そんなに深刻ではありませんがね。ではでは、次回はベルVSギーマ、パート3です。たぶん3です。お楽しみに。