二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 番外編 マルチバトルサブウェイ 後編 ( No.319 )
日時: 2011/07/23 19:26
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http://pokegai.jp/

「頼むぞ、ダイケンキ!」
「頼んだよ、メブキジカ!」
イリスの最後のポケモンはフタチマルの進化系、ダイケンキ。ミキのはシキジカの進化系、メブキジカだ。
「……それにしても、クダリさんのギギギアル。特攻がやけに高い……」
ギギギアルは本来、特攻よりも攻撃の高いポケモン。確かに特攻が低いわけではないが、それにしては高い気がする。
「それならばお答えしましょう。ズバリ——」
「特性プラスマイナスだよ」
ノボリの言葉を遮るように、クダリは言う。
「……その通りで御座います。ギギギアルの特性、プラスとマイナスは、それぞれ他に、プラスならばマイナス、マイナスならばプラスの特性を持つポケモンがいる場合、特攻が上昇するのです。ちなみに私のギギギアルはプラス、クダリのギギギアルはマイナスです」
「試しに見せてあげるよ。ギギギアル、ラスターカノン」
ギギギアルは銀色に光る球体を作り、それをダイケンキに発射する。
「ぐ……確かに、かなりの威力だ……」
効果いまひとつのはずなのに、ダイケンキは結構なダメージを受けている。
「でも、そうだとしても勝つのは私たちです!メブキジカ、ウッドホーン!」
メブキジカは角を突き出し、クダリのギギギアル(以下、ギギギアル−)に突進する。
「ギギギアル、ギアソーサーです」
しかしその攻撃はノボリのギギギアル(以下、ギギギアル+)が放った2つの歯車に遮られた。
「ダイケンキ、シェルブレード!」
ダイケンキもメブキジカ同様、角に水のエネルギーを纏わせて特攻する。
「ギギギアル、金属音」
ギギギアル−は金属が擦れ合うような耳障りな音を放ち、ダイケンキの動きを止める。
「ギギギアル、岩砕きです」
そしてすかさずギギギアル+が棘付きの輪をぶつけてくる。威力はそこまで高くないが、防御を下げられてしまう。
「メブキジカ、シャドーボール!」
「ダイケンキ、吹雪!」
メブキジカは黒い影の球をギギギアル−に発射し、ダイケンキは猛烈な吹雪をフィールド全体に吹き荒ばせる。
「ギギギアル、10万ボルト」
「ギギギアル、ギアチェンジです」
ギギギアル−は10万ボルトを広範囲に放ち、吹雪を遮る。その隙にギギギアル+が歯車を高速回転させながら入れ替える。
「ギギギアル、破壊光線」
吹雪が収まると、ギギギアル−は赤いコアから極太の光線を発射する。光線は誰に向かって行くわけでもなかったが、ダイケンキとメブキジカを怯ませる程度の事は出来た。
「ギギギアル、ギガインパクトです!」
そして今度はギギギアル+が膨大なエネルギーを纏って突撃してくる。その狙いはメブキジカで、砂煙が舞っていて視界の悪かったメブキジカはギガインパクトの直撃を受ける。ギアチェンジで強化されたギギギアル+のギガインパクトだ。普通のメブキジカなら、まず耐えられないが
「メブキジカ、二度蹴り!」
メブキジカは耐え切り、ギギギアル+を二度蹴りつける。
「くっ、かなりの耐久力ですね……!」
「ダイケンキ、メガホーンだ!」
ダイケンキもメブキジカに触発されてか、破壊光線の反動で動けないギギギアル−に、強烈な角の一撃を浴びせる。
「ウッドホーン!」
「シェルブレード!」
そしてメブキジカは体力を吸収する角の一突きを、ダイケンキは仕込み刀による袈裟斬りを、それぞれのギギギアルに喰らわせた。
「一旦退いてください、ギギギアル」
「ギギギアル、ノボリを援護するよ。ラスターカノン」
ギギギアル+はメブキジカから離れ、ギギギアル−は銀色に輝く球を発射する。
「クダリさん、僕を置いて他人の心配してる場合ですか。ダイケンキ、メガホーン!」
そう、ギギギアル−は目の前にいるダイケンキを放置してノボリの援護をした。
選択ミスと思われそうな行動ではあるが、クダリはダブルバトルにおいては、最強と言っても過言ではないくらいの持ち主だ。そして、ノボリとクダリの息はピッタリなのだ。
「ギギギアル、岩砕きです!」
ダイケンキが角を突き出そうとすると、ギギギアル+が棘の輪をぶつけ、体勢を崩される。
「しまった……!」
気付いた時には、もう遅い。
「ギギギアル、10万ボルト」
ギギギアル−は高圧電流をダイケンキに流す。効果抜群なので、戦闘不能か、もしくは致命傷だろう。
「これで決めましょう。ギギギアル、ギアソーサ——」
ギギギアル+がとどめにギアソーサーを放とうとした、その時
『!?』
今まさにギア祖サーを放とうとしていたギギギアル+にぶつかるように、ギギギアル−が飛んで来たのだ。
「ミキちゃん、グッジョブ!」
イリスがミキに親指を立てる。
今のはメブキジカがギギギアル−の横に回りこみ、渾身のウッドホーンをぶつけて吹っ飛ばしたのだ。
「メブキジカ、とどめの破壊光線!」
メブキジカはそこで大きく跳躍し、ギギギアル−に極太の光線を放つ。
「クダリ!くっ……ギギギアル、ギガインパクトです!」
ギギギアル−がやられ、ギギギアル+は反動で動けないメブキジカに激突する。
「上手く引っ掛かってくれましたね」
ミキはメブキジカがやられると、ニヤリと笑いながらそう言った。そしてノボリは理解する。自分たちが負けた事を。

「ダイケンキ、ハイドロポンプ!」

今ギギギアル+はギガインパクトの反動で動けない。そしてダイケンキは完全にフリー。
ダイケンキの放つ水流が、ギギギアル+を押し流していく。
「……私たちの、負けですね」
「……うん」



「僕、クダリ。今度は君たちに負けちゃった。だけど納得、だって君たち強すぎるもん」
バトル終了後、クダリはいきなり口を開く。
「君たち自身が持つ強さ、ポケモンへの信頼。見ていて凄く眩しかった」
そしてクダリは、とても嬉しそうに、楽しそうに言った。
「うん、最高に面白かった。また、僕らとバトルしようよ」



「ブラボー!心の奥底から、ブラボーです!」
そしてノボリも、最高にハイテンションで、手を叩きながらイリスとミキを褒め称える。
「あなた方とポケモンの類まれなるコンビネーション、非常に素晴らしいです。お気付きになられたでしょうが、自分と自分以外の組み合わせは、自分が備えている以上のエネルギーを生み出す最高のエンジンなのです!」
そしてノボリは、2人を称えるように、尊敬するように言った。
「よろしければ、また違う組み合わせでも私どもに挑んでくださるようお願いします。心の底からお待ちしています」



こうして、イリスとミキの、バトルサブウェイでの戦いは幕を閉じた。



長い番外でしたが、遂に書き終えました。中身が長いので、今回のあとがきは短めに。次回はプラズマ団との最終決戦に移行します。お楽しみに。