二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 154章 行く手の影 ( No.320 )
- 日時: 2011/07/23 20:26
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http://pokegai.jp/
「皆、無事だったのか」
「当たり前だよ」
「勿論無事に決まってるじゃん」
「というか、私たちからすれば師匠の方が心配でしたよ」
イリス、チェレン、ベル、ミキの4人は各自四天王を倒すと、最初に集まった像のある広場にやってきた。
「さて、問題はこの先だけど……」
チェレンはそう言うと、中央の像を見遣る。他の3人もそれにつられて目線を動かす。
「なんかこの像……光ってるよね」
見ると巨大な像は、まぶしくない程度に発光していた。正確に言えば、像の台座とその下が円形に発光している。
「これに乗れって意味だと、僕は思う」
チェレンはそう言いつつ、像に手を触れる。すると
「!動き出した……!」
像を中心とした円は、下へと降下し始める。
「……とりあえず、第一関門突破、ってところかな」
イリスは独りごちる。
「この後に控えているのは、アデクさんとのバトル……もしくはNとのバトルだね」
「……うん」
イリスは短く答える。決心はついているが、やはり少し不安だ。
「そうだ。イリス、ポケモンを1体出して」
ベルが唐突に口を開く。
「え? なんで?」
「薬が1つだけあるから、イリスのポケモンを回復させてあげるよ」
イリスは、ベルにしては気が利くな、と思いつつどのポケモンにするかを決める。
「やっぱりダイケンキかな。シキミさんとのバトルでも、頑張ってくれたし」
そう言ってイリスはダイケンキを出す。ベルはダイケンキにスプレー状の薬を吹きつけ、ダイケンキの傷を癒す。
「ん、完了」
「ありがとう、ベル」
イリスがダイケンキをボールに戻すと、丁度円形のリフトが一番下まで降りる。
「それじゃ、行くとしますか……」
そう言いながらイリスが足を踏み出すと、風を切るような音が聞こえてきた。
「ここは通さんぞ、英雄とその他の者よ」
出てきたのは、黒い忍装束のような格好の3人組、ダークトリニィだ。
「……まさか、こんなところで現れるとは……!」
イリスは苦虫を噛み潰したような顔をする。ベストコンディションとはいえない状態。そして控えるN戦の前に、ダークトリニィが現れたのだ。
「N様は今現在バトルの真っ最中。それを邪魔されては、我々も困る」
そう言ってダークトリニィはそれぞれボールを取り出し、ポケモンを繰り出す。
「サザンドラ……!」
ダークトリニィが繰り出したポケモンは、三つ首のポケモン、サザンドラだ。
「どうしても通りたいのであれば、我々を倒して見せよ」
「……分かった。なら——」
イリスもボールを取り出し、戦う覚悟を決めるが
「僕たちが相手になろう」
チェレンが名乗り出る。いや、チェレンだけではない。ベルとミキもだ。
「イリスはまだ戦っちゃダメだよ。ここはたしたちに任せて」
「師匠は先に行ってください」
チェレン、ベル、ミキは口々にそう言う。そう言われてしまえば、イリスも答えないわけにはいかない。
「……3人とも、頼んだよ!」
イリスは3人にこの場を任せ、走り出す。
「……随分と簡単に行かせてくれたね」
「まあな。ここにいるのは我々だけではないのだ」
「他にも誰かプラズマ団がいるのか?」
「いや、プラズマ団はいない。しかし、あの者なら時間稼ぎどころか、ここで英雄を倒してしまうやもしれぬな」
イリスは長い階段を駆け上がり、最上部の神殿を目指す。目指すが、途中で足を止める。
「ここは通行止めだ。通りたいなら私を倒す事だ」
登場早々宣戦布告ともとれる発現をしたのは、銀色の髪に死者のような眼。見る者の目を引く失われた左腕。
「メイル……!」
イリスの行く手を阻むのは、いつか戦い敗れた、メイルだった。
「英雄よ、どうする。ここで私と戦わず、Nのバトルが終わるのを待っているか。それともここで戦って、私——」
「戦うに決まってるだろ!」
イリスは怒鳴るように叫ぶ。じかしその表情は、なんだか楽しそうだった。
「……そうか。なら、出て来いアーケオス」
メイルの一番手は、光速の如きスピードのポケモン、アーケオスだ。
「頼んだぞ、ウォーグル!」
そしてイリスが繰り出すのは、勇猛ポケモンのウォーグルだ。
「アーケオス、アクロバット」
アーケオスはその瞬間、消える。正確には目にも止まらぬ速さで動き、ウォーグルに攻撃したのだ。しかし
「その攻撃はもう見切ってるんだよ!ウォーグル、ビルドアップ!」
ウォーグルは筋肉を増強し、アクロバットのダメージを抑える。
「捕まえろ!」
そしてウォーグルは翼を使ってアーケオスを包み込むように捕らえる。
「ブレイブバード!」
そしてその状態で、地面に急降下する。アーケオスはウォーグルに捕まったまま地面に激突し、効果いまひとつにも関わらずかなりのダメージを受けた。
「前よりは出来るようになったようだな。アーケオス、ストーンエッジ!」
アーケオスは上空にいるウォーグルに向かって鋭く尖った岩を発射する。
「薙ぎ払え、ウォーグル。エアスラッシュ!」
ウォーグルは風の刃を連続で放ち、襲い掛かる岩を全て砕き、そのままアーケオスを切り裂く。
「ブレイブバード!」
「諸刃の頭突きだ!」
そしてウォーグルは燃え盛る炎のようなエネルギーを身に纏い、アーケオスは自分さえ傷つけてしまうような勢いで、それぞれに突撃する。
2体のポケモンは激突し、しばらく競り合うが、やがて両方とも吹き飛ばされる。
「……相打ちか」
「ま、最初にしては悪くない終わりだな。それに、相手があんたなら尚更」
イリスVSメイル。イリスのリベンジマッチが始まった。
さて、今回は昔懐かし(失礼)のあの人の登場です。そう簡単にNとのバトルには行き着きませんよ。まあでも、そんなに長くする予定ではありませんが。では、次回はイリスVSメイル、リベンジマッチ。お楽しみに。