二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 164章 決戦 ( No.330 )
- 日時: 2011/07/25 08:48
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http://pokegai.jp/
イリスはプラズマ団の城5階……即ち最上階へとやって来た。
「ここは特に部屋がないな……あ」
そう思っている矢先、イリスは1つだけ感じの違う部屋を見つけた。部屋というか、その扉、いや穴と言うべきか。
「ここにNが……。!?」
イリスは覚悟を決めてその部屋に足を踏み入れようとするが、何者かがその部屋から出て来て、イリスの侵入を拒む。
「ようこそ、ライトストーンを持つ者よ」
現れたのは
「ゲーチス!」
プラズマ団の実質的な支配者、ゲーチスだった。
「言いたいことはあるでしょうが、まずワタクシからこの城について言わせてもらいましょう。……このポケモンリーグを包み隠すように出現した城は、イッシュが変わる事を意味するシンボル。そしてその城の王は伝説のポケモンを従え、チャンピオンを超えたトレーナー。しかも世界を良くしたいという熱い思いを胸に秘めている。これを英雄と呼ばずして、何を誰を英雄と呼ぶのです?」
「どうだかな。お前の言う王とやらは誰なんだ、英雄とは誰なんだ? NならNと、はっきり言ってみろよ。それにお前が思っている熱い思いとやらは、どうせくだらないものだろう」
イリスは心の底からゲーチスを嫌悪し、罵るように言う。
「おやおや、これは酷い言われようですね。……まあよいでしょう。そのような戯言は、すぐに消えてなくなります。ここまで舞台装置が揃ったのですから、人々の人心は簡単に掌握できる。なのでいとも容易くワタクシの……いや、プラズマ団の望む世界にできるのです!」
ゲーチスは高らかに叫ぶが、イリスはそれを嫌悪と怒りがこめられた瞳で睨み付ける。
「僕はNの理想を否定はしない。けど、プラズマ団の……お前の望む世界とやらは、全力で否定する。この際だから、はっきり言ってくれないか。お前らプラズマ団の……お前の目的は何だ」
イリスがそう言うと、ゲーチスは待ってましたと言わんばかりにニヤリと笑い、そして口を開く。
「ワタクシたちだけがポケモンを使い、無力な人間を支配する。それこそがワタクシの望む世界なのです!」
「な!?」
イリスは流石に驚く。その隙に、ゲーチスはさらに言葉を続ける。
「長かったぞ。計画を悟られぬよう息を潜めていたり、わざと規模の小さな町や村を襲い、情勢を混乱させたり……そのような苦しみの日々も終わる!」
ゲーチスはそこでふと熱い熱弁を止め、いつも通りの冷静な態度に変わる。
「さあ、進むのです。そして自分にも英雄の素質があるか、確かめればよいのです」
そう言って、ゲーチスは道を空ける。
「……ゲーチス、お前の事だからまだなにかを企んでいるんだろうけど、何を企もうと、その腐った思想ごと、お前の企みは潰してやるよ」
イリスはゲーチスにそう呟いて、部屋へと入っていく。
部屋の内部、そこは水の上に建てられた足場のようだった。しかしとても頑丈そうでいて、どこか神秘的な雰囲気を漂わせている。
「僕が望むのは、ポケモンだけの世界……」
そして一番奥の玉座に、Nが座っている。Nはイリスに気付いているのかいないのか、ぶつぶつと呟いている。
「ポケモンは人から解き放たれ、自由の身となる。そして本来の力を取り戻す」
そしてNは玉座から降り、イリスの元へと歩み寄る。
「——さあ、僕には覚悟がある。トモダチのポケモンたちを傷つけても信念を貫く!」
Nは声にも眼にも、覚悟で満ちていた。
「……ここまで来たからには君にもあるんだろう?」
「当然」
Nの問い掛けに、イリスは即答する。覚悟くらいなら、とっくに決めている。
「そうか、それは良かった。なら僕のところに来て見せてほしい、君の覚悟を!」
Nの言葉に、イリスは歩みだす、Nの元へと歩み寄る。
「……さて、こうして僕と君が戦うというのに、まだレシラムは反応しないんだね」
「…………」
イリスも、それには返す言葉がなかった。
「まあまだいい。すぐに君との決着を着けては、面白くない」
「面白くない?」
イリスは怪訝そうな顔をするが、Nは構わず話を続ける。
「ああ。これは新たな指導者、新たな支配者、そして新たなる英雄を祝うセレモニーでもある。だから伝説のポケモンの前に、前哨戦を始めよう」
言って、Nはボールを取り出す。
「さあイリス、君もボールを取れ。君だって、相当な実力者だろう?」
Nは急かすように言う。
「……分かったよ。そんなに言うなら、その前哨戦とやらを始めよう」
かくして、イリスVSN。史上最大の前哨戦が、今始まる。
「さあ出て来てくれ、シンボラー」
「頼んだぞ、デスカーン!」
Nのポケモンはシンボラー、イリスのポケモンはデスカーンだ。
「こちらから行くよ。シンボラー、エアスラッシュ!」
シンボラーは風の刃を飛ばし、デスカーンを切り裂く。しかも単発ではなく連続で放ってくる。
「デスカーン、怪しい風!」
しかしデスカーンは最初の一発で見切ったのか、次からの攻撃は全て怪しい風で打ち消す。
「なら、サイコキネシス!」
「怪しい風だ!」
シンボラーは続けて念動力を放つが、これも怪しい風に防御される。
「だったらこれだ。冷凍ビーム!」
「シャドーボール!」
シンボラーの放つ凍てつく光線を、デスカーンは影の球で相殺。
「ゴットバード!」
シンボラーはその身に光を吸収し、猛烈な勢いでデスカーンに向かっていく。
「デスカーン、シャドーボール!」
しかしデスカーンは司法からシャドーボールをぶつけることでそれを止め、さらにシンボラーを戦闘不能にする。
「N。君の覚悟がどれ程のものかは知らないけど、僕の覚悟だって相当なものだ。それにいくら君に覚悟があろうと、僕は負けないよ!」
イリスの声が、部屋の内部にこだまする。
遂に来ました最終決戦。まずは前哨戦ということで、伝説のポケモンは置いときます。では、今回は本編がちょっと長めなので、あとがきはこの辺で。次回もお楽しみに!