二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 168章 前哨戦 Ⅳ ( No.334 )
- 日時: 2011/07/26 00:09
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http://pokegai.jp/
「僕の次のトモダチは……君だ。ギギギアル!」
Nの次なるポケモンは、四つの歯車からなるポケモンで、目のある小さな歯車と普通の歯車、その歯車を支えている大きな歯車。そして赤いエネルギーコアが付いた歯車。その周囲を棘の付いた輪が囲んでいる。
「次は鋼タイプのギギギアルか……ウォーグル、まずはビルドアップ」
ウォーグルはさらに、筋肉を増強して能力を上げる。これで三段階上昇したので、並大抵のポケモンならまず一撃で倒せるだろう。
まあ、並大抵のポケモンなら、の話だが。
「ウォーグル、ブレイククロー!」
ウォーグルは爪に力を込めてギギギアルに特攻、その巨大な爪で切り裂くが、効果いまひとつなので一撃KOとなるほどのダメージは与えられないが、それでも結構効いただろう。
「ギギギアル、ギアチェンジだ」
ギギギアルはすぐに反撃には出ずに、歯車を高速回転しつつ入れ替え、攻撃と素早さを上げる。
「ギアソーサー!」
そして歯車の間から二つの小型歯車を射出し、ウォーグルを切り裂く。
「なかなかのスピードだけど、こちとらビルドアップで防御も上げてるんだ。その程度でやられたりはしない。ウォーグル、エアスラッシュだ!」
ウォーグルは空中を旋回し、風の刃を連続で飛ばしてギギギアルを切り裂く。
「電磁砲だ!」
だがギギギアルもやられっぱなしではなく、電磁力を凝縮した球体を作り出し、ウォーグルに向けて発射。
「ウォーグル、かわしてエアスラッシュ!」
しかしウォーグルはそれを容易く回避し、エアスラッシュを放つ。それもそうだろう、電磁砲は命中率がとても低い。当たる確率は2分の1、2回に1回程度だ。
「連続で電磁砲!」
ギギギアルはそれでもめけずに電磁砲を連射するが、ウォーグルは空中を旋回しながらそれをかわし続ける。
「ウォーグル、ブレイククロー!」
そしてウォーグルはギギギアルの元まで降下し、その鋼のボディを鋭い爪で切り裂く。
「ブレイククローには相手の防御を下げる追加効果もある。あんまり連続で喰らってると、取り返しがつかなくなるよ」
「忠告ありがとう。でも、それはいらない世話だな。ギギギアル、ギアチェンジ」
ギギギアルは再度歯車を高速回転させ、交換する。どこから新しい歯車が出てきていて、古い歯車がどこへ行くのかは謎だ。
「ギアソーサー!」
そして最初の時よりも格段に速い歯車を射出。ウォーグルを切り裂くが、決定打にはならない。
「ウォーグル、ビルドアップだ」
ウォーグルはビルドアップして筋肉増強し、能力を高める。ギアチェンジするたびにギギギアルの攻撃が上がっていくので、それに合わせてウォーグルの防御も上げておいた方が良いという判断だ。
「ブレイククロー!」
そしてウォーグルはギギギアルに接近し、巨大な爪で切り裂く。
「ギギギアル、電磁砲だ!」
ギギギアルは近づいてきたウォーグルに電磁砲を発射するが、ウォーグルは飛び上がってそれを避ける。
「そのギギギアルには決定打となる技がない。いや、正確には電磁砲とギアチェンジで攻撃を高めてギアソーサーで切り裂くつもりなんだろうけど、僕のウォーグルは既にビルドアップで防御を高めている。だから決定打が電磁砲だけ。でも電磁砲はウォーグルには当たらない。決定力に乏しいポケモンはじわじわと相手の体力を削る戦いをするけど、君のギギギアルはそれもできない。だからこの勝負、僕がもらったよ」
イリスは勝気にそう言うが、Nはそれに対し軽く笑うだけだった。
「……何がおかしい」
「いや、君の推理力は大したものだけどさ。それでも見当違いというか、もうちょっと広く見る必要があるよ」
イリスがNの言葉に疑問符を浮かべていると、ギギギアルは歯車を2つ射出する。ギアソーサーだ。
「ウォーグル、かわしてブレイククローだ!」
ウォーグルはその歯車をかわし、ギギギアルに接近してその鋭く巨大な爪で切り裂く。
しかし
「ギギギアル、締め付ける!」
ギギギアルは巧みに輪を使ってウォーグルを拘束してしまった。
「な!? これは……!?」
「締め付けるだよ。やれ、ギギギアル」
言うとギギギアルの歯車は高速で回転し始める。しかし棘の輪の囲いの中にはウォーグルもいて、ウォーグルはその歯車の回転に巻き込まれる。
「ウォーグル!」
ガガガガガと身を削るような嫌な音が響く。
「これが僕のギギギアルの切り札さ。相手が近づいてきたところを捕らえ、拘束し、歯車で削る。これを喰らい続ければいずれウォーグルも戦闘不能になる」
確かにウォーグルは歯車の回転攻撃を受けて体力がどんどん削られていくのが分かる。このままではいずれやられるだろう。
しかし、イリスにも奥の手はあった。
「ウォーグル、ブレイブバード!」
歯車の回転に巻き込まれているウォーグルは全身の力を振り絞って急上昇し、燃え盛る炎のようなエネルギーを纏って地面へと急降下する。
そしてウォーグルはギギギアルとセットで地面へ激突。その衝撃で拘束は解けたが、ブレイブバードの反動で戦闘不能となってしまった。
だが戦闘不能になったのはギギギアルも同じである。
「……まさかあの局面でこんなことをするとは……流石イリスだ」
Nは心の奥底からイリスを称えるように言う。
「これで残りの手持ちはお互い一体。これは君が仕組んだ事かな?」
イリスはNに問う。
「いやいや、偶然だよ。……それじゃあ始めようか。これで前哨戦も終局。遂に終わりを迎える……!」
イリスVSN。史上最大の前哨戦の幕は、もうすぐ降ろされる。
自分で書いて気付きましたが、ギギギアルの締め付けるってエグいですよね。棘の輪で閉じ込めて歯車の回転に巻き込んで攻撃とか、人間だったら大惨事ですよ。まあ、そこはポケモンクオリティという事で、割り切るとしましょう。では、次回で前哨戦終結になるか。もうすぐあのポケモンも登場!次回もお楽しみに。