二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 169章 前哨戦 Ⅴ ( No.335 )
- 日時: 2011/07/26 19:14
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http://pokegai.jp/
「これで最後……頼んだよ、ダイケンキ!」
イリスの繰り出すポケモンは言わずと知れた貫禄ポケモン、ダイケンキだ。
そしてNが繰り出すポケモンは
「僕の最後のトモダチ……出て来てくれ、ゾロアーク!」
ほっそりそした四肢、鋭く伸びた爪、漆黒の身体、そして頭からは赤黒い鬣が伸びており、末端部がリングのようなもので束ねられていて、攻撃的で邪悪な雰囲気を漂わせている。
ゾロアーク、化け狐ポケモンと分類される、悪タイプのポケモンだ。
「やっぱりゾロアークか……ダイケンキ、吹雪!」
「ゾロアーク、火炎放射!」
ダイケンキは手始めに猛烈な吹雪を放つが、それはゾロアークが放射する灼熱の火炎により相殺されてしまう。
「ゾロアーク、シャドークローだ!」
ゾロアークは影の爪を作り出し、ダイケンキに急接近してその体を切り裂く。
「シェルブレード!」
しかしダイケンキもその程度ではやられず、前足に仕込まれているアシガタナを使ってゾロアークに斬り返す。
「下がれゾロアーク。シャドーボール!」
ゾロアークは一旦ダイケンキから距離を取り、黒い影の球を放つ。
「切り裂いてメガホーンだ!」
ダイケンキはその球を角で切り裂き、その直後に強烈な角の一突きを繰り出す。
「ゾロアーク、かわしてシャドーボール!」
しかしゾロアークはそのメガホーンを体を横にずらして回避し、掌に作り出したやや小ぶりな影の球を、ダイケンキに押し付けるように喰らわせる。
「まだだ!ダイケンキ、シェルブレード!」
ダイケンキもすぐさま体を振り、水のエネルギーを纏わせた角でゾロアークを切り裂く。
「ゾロアーク、下がってシャドーボール!」
「ダイケンキ、吹雪!」
ゾロアークは再度ダイケンキから距離を取って影の球を放つが、ダイケンキの吹雪により吹き飛ばされてしまう。
「メガホーン!」
そしてダイケンキは強烈な角の一突きを繰り出す。
「ゾロアーク、シャドークロー!」
ゾロアークはその角を爪を巧みに使って絡め取り、空いたもう片方の爪でダイケンキを切り裂く。
「ダイケンキ、もう一度メガホーン!」
ダイケンキは角が開放されるとすぐさま身を退いて、その直後に強烈な角の一撃を繰り出す。
今度のメガホーンはゾロアークの腹に直撃し、タイプ相性もあって大きなダメージを与えて吹っ飛ばす。
「……君のゾロアーク、見た目によらず防御が高いんだね」
「それを言うなら君のダイケンキこそ、一つ一つ動作が素早いじゃないか」
互いに敵を称賛し合う。
「ダイケンキ、吹雪!」
「ゾロアーク、火炎放射!」
だがそんなひと時もすぐに終わり、ダイケンキの放つ吹雪をゾロアークの放射する火炎が相殺する。
「ダイケンキ、シェルブレード!」
「ゾロアーク、シャドークロー!」
ダイケンキはアシガタナに水のエネルギーを纏わせ、ゾロアークに斬り掛かる。ゾロアークは影の爪を作り出し、ダイケンキに飛び掛かる。
「……本当、残念だ」
水の剣と影の爪が互いに切り結ぶ中、イリスはそう呟く。
「君とこうしてバトルしてると、凄く楽しい。もし僕らが英雄とか、そんな事と無関係だったならば、僕と君は最高の友達になれだろうにね」
「確か、電気石の洞穴でもそんな事を言っていたね。何度も言うけど、僕のトモダチはポケモンだけだ。君の力や信念は称賛に値するものだが、それでも君と僕は敵同士だ」
「……そうか」
イリスはその呟きを境に、バトルに戻る。
丁度ダイケンキとゾロアークの攻撃がそれぞれにヒットし、互いに距離ができたところだ。
「ゾロアークの体力もそろそろ限界のはずだ。決めるよ、ダイケンキ」
「ダイケンキの力ももうすぐ尽きるだろうね。終わらすよ、ゾロアーク」
イリスとNは最後の一撃に全てを賭け、それぞれのパートナーポケモンに指示を出す。
「ダイケンキ、ハイドロカノン!」
「ゾロアーク、ナイトバースト!」
ダイケンキは水を圧縮して巨大な弾丸を作り出し、自身を銃身に見立ててそれを発射する。
ゾロアークは闇のエネルギーを両手に込め、それを一気に振り下ろして暗黒の衝撃波を飛ばす。
互いの攻撃はぶつかり合い、猛烈な爆風を巻き起こす。どちらの威力も相当なもので、互いにせめぎ合っている。
「ダイケンキ!」
「ゾロアーク!」
イリスとNが叫ぶ。
水の弾丸と闇の衝撃の威力は拮抗していたが、次第にハイドロカノンがナイトバーストを徐々に押し始める。
「ダイケンキ!」
イリスの最後の叫びで水の弾丸は闇の衝撃を突き破り、そのままゾロアークをも貫く。
「ゾロアーク!」
ゾロアークは数秒の硬直後、その場に倒れ伏す。そしてそれを見下ろすは、貫禄ありしポケモン、ダイケンキ。
「僕の……勝ちだよ」
イリス対N。史上最大の前哨戦は、真実の英雄イリスの勝利で、幕を降ろす。
ついに終わりました、イリスvsN。ちなみに一応言っておくと、ハイドロカノンがゾロアークを貫いた、という表現は比喩ですので、間違えないようにお願いします。それにしてもやっとここまで来ました、長かったような短かったような……いや、まだ終わりではありません。これはあくまでも前哨戦。次は本戦(意味違う?)です。そして遂に次回は伝説のあのポケモンも出て来ます。では、次回もお楽しみに!