二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 170章 復活と戦い ( No.336 )
- 日時: 2011/07/26 20:23
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http://pokegai.jp/
「!? ライトストーンが……!?」
Nとの前哨戦を終えたイリスがダイケンキをボールに戻すと、バッグの中に入れてあるライトストーンに異変が起きる。
「光ってる……」
イリスの言う通り、ストーンは神々しく光っていた。
「来た……遂に来たぞ。君のライトストーン——レシラムが、僕のゼクロムと反応してるんだ……!」
ライトストーンの持ち主であるイリスよりもNの方が興奮していた。それほど、Nはこの時を待ち侘びていたという事だろう。
「そのストーンからレシラムを復活させるには、ゼクロムを呼び出すのが手っ取り早いか……おいで、ゼクロム!」
Nがそう叫んだ瞬間、Nがバトル前に座っていた玉座の後の壁が吹き飛び、玉座もろとも破壊する。
しかしそんな事は気にならないほどの圧倒的存在が、そこにはいた。
漆黒の体を持つ、イッシュの伝説のドラゴンポケモン、ゼクロム。その荒々しく激しい姿は、見るものを圧倒する威圧感がある。
『ババリバリッシュ!』
「っ……!」
イリスは前に一度だけゼクロムを見た事があるが、その時よりも力強く見える。
ゼクロムはNの真後ろに降り立つと、タービン状の尾を高速回転させて弾ける電撃を発生させ、その偉大な力をイリスに見せつける。
「ストーンが……!」
イリスがその光景に目を奪われていると、不意にライトストーンが宙に浮かび上がり、周囲から白いエネルギーを吸収する。するとストーンは神々しき不思議なエネルギーに包まれ、その形を変形させていく。
そしてライトストーンという球体は瞬く間に白いドラゴンへと姿を変貌させる。
「レシラム……」
イリスは純白の龍に魅了されていた。静かで美しいその姿は神々しく、遥か遠くのもののように思える。
しかし、イリスにとってそれは遠いものではなく、近しいものだ。
レシラムはイリスの真後ろに降り立つと、ジェットエンジンのような尾を稼動させて燃え盛る火炎吹き上げ、その荘厳な力を見せつける。
『モエルーワ!』
『…………』
イリスもNも、レシラムの圧倒的な姿に見入っていた。
「……これで全ての条件は揃った」
先に回復したのはNだった。Nはゼクロムを従え、イリスと相対する。
「イリス。これで最後だ……この勝負でどちらの重いが強いかがはっきりする。ここで、白黒つけようじゃないか」
Nは真剣な眼差しでイリスに言う。そうしたら、イリスも応えない訳にはいかない。
「ああ。今までの決着を、つけようか」
「ゼクロム、クロスサンダー!」
先に動いたのはゼクロムだった。ゼクロムは球状に自身を覆う電撃を発生させ、高速でレシラムに激突する。
「ぐぅ……!」
その威力は桁違いで、爆風だけで地面が抉れていく。イリスも必死で踏ん張って吹っ飛ばされないようにする。
「ならこっちはこれだ。レシラム、クロスフレイム!」
レシラムは球状の火炎を創り出し、ゼクロムに向けてそれを放つ。
「ゼクロム、思念の頭突きだ!」
ゼクロムは頭部に思念を集めてクロスフレイムに向かって行くが、クロスフレイムの膨大な火炎を相殺する事などできず、多少威力を軽減しただけでゼクロムは炎に包まれる。
「デュアルクロスか……もうレシラムの力を使いこなすとは、流石だね」
「別に意図してやったわけじゃないけど……なんとなく、感じるんだよ」
Nの言葉に、イリスは控えめに返す。
ちなみにデュアルクロスとは、レシラムとゼクロムの専用技、クロスフレイムとクロスサンダーで発生するコンボの事である。この二つの技はある特定の力、クロスフレイムは電撃、クロスサンダーは火炎を吸収して強化されるのだ。そしてその特定の力というのが、クロスフレイムとクロスサンダーだ。
「つまり、クロスフレイムはクロスサンダーの後、クロスサンダーはクロスフレイムの後に使用すると威力が上がるのさ」
Nは自らが不利になるような情報を言う。それほど自信があるのだろうか。
「さあ行くよ、ゼクロム。ドラゴンクロー!」
ゼクロムは黒き爪に龍の力を込め、レシラムに向かって突っ込んで行く。
「レシラム、神通力!」
しかしレシラムはゼクロムの動きを神秘的な力で停止させる。サイコキネシスのような念動力とは全く違う、不思議な力で。
「龍の波動!」
そして龍の力を波動として放つ。動きの止まっているゼクロムはそれを避ける事ができず、直撃する。
「くぅ。ゼクロム、思念の頭突き!」
ゼクロムは頭部に思念を集め、頭を突き出してレシラムに突撃してくる。
「レシラム、神通力で止めろ!」
レシラムは再度神通力でそれを止めようとするが、失敗して自然の頭突きを喰らう。
「ゼクロムの思念の頭突きを舐めては困るよ。ゼクロムの思念は、神通力くらい軽く打ち破れる」
Nは自慢げに言う。
「ゼクロム、雷撃だ!」
ゼクロムは膨大で莫大な弾ける電撃を体から発し、レシラムに突撃する。
「レシラム、青い炎!」
そしてレシラムは青く美しく燃え盛る炎を発生させ、ゼクロムに放つ。
電撃と火炎がぶつかり合い、爆風を巻き起こす。それだけで何本もの柱が折れるが、レシラムとゼクロムの力は互角で、拮抗している。
「……レシラムとゼクロムは元々は同じ存在、同じ命。だからこの二体のポケモンだけで決着がつくことはない」
「故に勝負の行方を左右するのはトレーナーの強さ。僕らで言えば信念の強さ。それが全てだ」
Nの唐突な言葉を、イリスは繋げる。
真実の英雄と理想の英雄。この二人の英雄の戦いは、まだ始まったばかりである。
今回はついにレシラムが登場しました!そしてレシラムvsゼクロムのバトルです!もう、キーが乗ってしまって、どんどん指が動きますよ!……ちょっとクールダウン……。はい、落ち着きました。ちなみに今回出て来たワードの中でデュアルクロスというものがありましたが、あれは本当にそう言うっぽいです。では、次回もレシラムvsゼクロム……いや、イリスvsN。いやいや、真実の英雄イリスvs理想の英雄N、ですかね。まあ、珍しく長いあとがきとなりまして、次回もお楽しみに!