二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 18章 決戦ハハコモリ ( No.47 )
- 日時: 2011/04/11 15:06
- 名前: 白黒 (ID: /LylQYeE)
- 参照: http:/BUENOSUAIRESU
アーティの3番手、エースポケモンはハハコモリだった。
「さあ行け、ハハコモリ。葉っぱカッター!」
「避けろワシボン!爪とぎ!」
ハハコモリの撃ち出す無数の葉っぱを避けながら爪をとぐワシボン。傍から見ると器用だ。という感想しか出ないような光景だ。
「なかなか素早いじゃないか、君のワシボン。じゃあ次はこれだ。ハハコモリ、切り裂く!」
葉っぱカッターを撃ち終えると、今度は流れるような動きで接近し、切り裂いてきた。
「ワシボン、つつく!」
ワシボンはハハコモリの切り裂くを避けようとせず、むしろ当たりに行ってつつくを繰り出した。
「なるほど、肉を切らせて骨を断つ。捨て身の攻撃か。でも残念。僕のハハコモリのスピードを甘く見てもらったら困るよ」
ハハコモリはまたも流れるような動きでワシボンのつつくをかわした。
「だったらこれで、燕返——」
「ハハコモリ、虫の抵抗」
ハハコモリはイリスが指示するよりも早く、小さな虫の様なものをワシボンに向けて撃ち出した。
「な、くっ……何だ、これ……?」
「虫の抵抗さ。本来は相手の特攻を下げる技なんだけど、君のワシボンには効果が無さそうだ。だから、目くらましに使わせてもらう」
「なら、ここは下準備を整えて、ハハコモリの隙を狙って攻撃し、一撃で決める。ワシボン、爪とぎ!」
ワシボンは爪をとぎ、攻撃と命中を上げる。
「ハハコモリ、葉っぱカッター!」
「ワシボン、燕返しで打ち落とせ!」
ワシボンは言われた通りに、燕返しを駆使し、葉っぱを打ち落としていく。
「なかなか器用なワシボンじゃないか、面白いね。ハハコモリ、切り裂く!」
「ワシボン、ブレイククロー!」
ハハコモリの切り裂くと、ワシボンのブレイククロー。鍔迫り合いのようになるが、自由度の高い手(刃)を持つハハコモリは、もう片方の手でワシボンを切り裂いた。
「ワシボン、怯むな。燕——」
「ハハコモリ、虫の抵抗」
ワシボンが燕返しを放とうとすると、またしても虫の抵抗により阻まれる。
「くっ……ワシボン……」
一方、観覧席では。
「師匠、押されてるなぁ、大丈夫かなぁ……」
ミキが心配そうにイリスのバトルを見ているのだった。
「大丈夫、師匠なら絶対勝てる。それよりも、バトルをみて研究しなきゃ」
ミキは、イリスをかなり尊敬してる。まだ出会って2日も経っていないというのにだ。
「それに、師匠昨日、勝算はあるって言ってたし、大丈夫」
もう一度、「大丈夫、絶対勝てる」と言い、ミキは黙ってイリスとアーティとのバトルに集中した。
「ポケモンバトルとは、最高の芸術なんだよ」
ワシボンとハハコモリが、手やら爪やら翼やら嘴やらを駆使して白兵戦繰り広げている中、アーティはそんなことを言い出した。
「ポケモンはそれ単体でも十分美しく、勇ましく、たくましい。それがバトルになれば、それらのステータスだけでなく、そのポケモン、その固体のみの有する魅力を十二分に引き出してくれる。それは、バトルしているポケモンやトレーナーだけでなく、それを見る人をも魅了する。人に見られてこそ芸術、人に見せてこそのポケモン、人を魅せてこそのポケモンバトルなのだ!」
と、自分のポケモン思想を語り始めた。イリスは一瞬、うざい、と思いかけたが、流石に失礼だと思いアーティの言葉の受け答えをした。
「だったらじゃんじゃん見せてください、アーティさんのポケモンバトル。こちとら弟子にバトルを見せてやらないといけないんですよ」
「弟子って、あの子かい?」
と、アーティは観覧席に座っているミキの方を見た。
「ええ、そうです。キリハさんに頼まれまして」
「そうかい。っと、そろそろバトルに戻らないとね。ハハコモリ、葉っぱカッター!」
「ワシボン、燕返しで叩き落せ!」
「ハハコモリ、接近して切り裂くだ!」
「ブレイククローで迎え撃て!」
「虫の抵抗で目くらましだ!」
と、いつになく熱いバトルを繰り広げている2人だが、2人がヒートアップしていくに連れ、ワシボンとハハコモリは疲労していった。それも当然だ。互いに互いの攻撃を相殺しあうようなことを続けているのだから。
「さて、僕のハハコモリもかつてない激戦で疲労が溜まってきたようだから、そろそろ決めさせてもらうよ。ハハコモリ、力を溜めるんだ!」
と、指示を受けたハハコモリは、一旦手を止め、ワシボンから距離をとり、触角の間にエネルギーを溜める。エネルギーを溜め終えると、そのエネルギーをワシボンに向けて放った。
「破壊光線!」
ハハコモリの破壊光線はワシボンに向かってまっすぐ発射され、ワシボンはその直撃を受けた。
「ふっ……ハハコモリの破壊光線は奥の手だ。この技をまともに食らって、立ち上がれたポケモンはいないよ」
アーティは勝ち誇ったようにそう言い、今は砂煙が舞っているワシボンの方を見つめる。
「……なんか、最近こんなこと何回もいってる気がするんですけど」
イリスが顔を伏せ、そう口を開き、顔を上げる。
「立ち上がったポケモンがいないのなら、その1匹目が僕のポケモンです!」
そう言って、砂煙が晴れると、そこにはワシボンが辛うじて立っていた。
「な、そんな!? 僕のハハコモリの破壊光線の直撃を受けて立ち上がれるなんて!」
「破壊光線は撃った後、反動で動けない。今だワシボン、燕返し!」
ワシボンは一気にハハコモリに接近し、その翼で切りつけた。
「いやあ、君のワシボンの根性ハートには驚いたよ」
燕返しは飛行タイプ、虫、草タイプのハハコモリには4倍の威力を発揮し、なおかつ爪とぎで攻撃力も上げていた。これこそ耐えられるはずがない威力の技をワシボンはハハコモリに決めたのだ。
「さあ受け取ってくれ、これがビートルバッジだ」
「ありがとうございます」
イリスがビートルバッジを受け取ると、観覧席の方からミキが走り寄ってきた。
「師匠、よかったですね、勝てましたね!」
「うん。じゃあ、次は君の番だ。特訓したらアーティさんに挑戦するよ」
「はい!」
「それじゃ、アーティさん、明後日ぐらいに、僕の弟子がバトルを挑みますので、お願いします」
「うん、分かった。楽しみにしているよ」
かくして、イリスの弟子、ミキの、初めてのジム戦が、もうすぐ始まるのだった。
今回は本編が長くなってしまったので、あとがきをササッと終わらせます。アーティの最後の方の台詞はアニメ版を引用しました。次回はミキのジム戦です。では、また。