二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 22章 失望 ( No.55 )
- 日時: 2011/04/14 00:49
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http:/BUENOSUAIRESU
イリスは目が覚めたら、ベッドに寝ていた。
「ここは……?」
「ライモンシティのポケモンセンターの宿舎だよ」
独白のつもりで言ったのに、律儀に誰かが返答してくれた。
チェレンだった。
「チェレン……君は、もうとっくにライモンジムでバッジをゲットして、ホドモエシティに向かっているのだと思っていたよ」
「気がついた後だとは思えないくらい冷静に自分の考えを述べるね、君は」
「ところで、何でチェレンがここに?」
「実は、僕も君を倒したトレーナーと戦ったんだが、惨敗したよ……」
「そう……」
「そして、ジム戦もあることだし、ポケモンを鍛えるために4番道路にいたら、倒れていた君と君の弟子だという女の子を発見して、ここまで運んだ」
「そうか、ありがとう。……ミキちゃん、僕の弟子は?」
「まだ寝てるよ。君が倒れて、ショックだったんだろうね。それと、結構長い間君の側にいたから、疲れたんだろう」
「そう、か……」
「君はこれからどうするんだい?」
「ジムに挑戦するよ。それしかない」
「そうか。なら今回は先を譲るよ」
「僕とジムリーダーのバトルを見て相手の戦術を知るっていう魂胆だろ?」
「まあね」
どこ吹く風でチェレンはそう答えた。
ライモンシティジムは遊園地の敷地内、それも1つのアトラクションとしても機能してるらしい。
屋内ジェットコースター。
そう言うべきものが、ジム中にはあった。
「ようこそライモンシティジムへ。私はジムリーダーのカミツレ。よろしく」
ジムリーダー、カミツレはそう名乗った。実は、イリスとチェレンはその名前を知っていた。カミツレはジムリーダーよりも本業であるモデルとしての方が有名で、旅に出る前はベルがよく話していた。
「それで、チャレンジャーは誰?」
「僕です」
イリスが手を上げる。
「そう。じゃ、こっち来て」
そう言って、カミツレはジムの奥に入っていく。
ジムの奥にもジェットコースターがあったが、さっきのアトラクションとしてのものとは違うようだ。
「このライモンシティでのルールを説明するわ。まずトレーナーはこのジェットコースターに乗る」
そう言って、近くの小型ジェットコースターに手を置く。
「このジムではこのジェットコースターに乗ってバトルしてもらうわ。このコースターはバトルフィールドの周りを回り続ける。バトルフィールドは、数本のレールが不規則に湾曲した造りになっていて、足を踏み外したりしたら、下のネットに落ちる。ここに落ちたら強制的にポケモン交代。最後の1匹だったなら判定負けよ」
変わったルールだと思った。
ポケモンジムは、ジムによってルールが微妙に違うことがある。サンヨウシティやシッポウシティは、バトルの前の事だったが、これはバトルそのものに干渉している。
「それから、使用ポケモンは3体よ。それじゃあ早速始めましょう。エモンガ」
そう言ってカミツレはコースターに乗り込み、ポケモンを出した。
「……出て来い、デスマス!」
イリスもコースターに乗り込み、デスマスを繰り出す。
「エモンガ、燕返し」
エモンガは高速でデスマスに突っ込む。
「……!デスマス、しっぺ返しだ!」
デスマスは手に力を込めるが、エモンガのスピードはかなり速く、あっと言う間にデスマスを攻撃する。
「く……デスマス、鬼火!」
「エモンガ、放電よ」
デスマスが青白い炎の玉を出すが、エモンガが回りに電撃を放ち、デスマスは倒れた。
「あぅ……デスマスやられちゃった……」
「…………」
観覧席で心配そうに観戦するミキと、黙って観戦するチェレンだった。
「出て来い、ワシボン!」
イリスの2番手はワシボンだった。
「ワシボン、ブレイククロー!」
「エモンガ、ボルトチェンジ」
ワシボンがエモンガに接近すると、エモンガは電撃を撃ち出してきた。
「ワシボン!」
急所に当たったらしくワシボンは一撃で戦闘不能となった。
「戻れワシボン。出て来てくれ、フタチマル!」
「戻って、エモンガ。出て来て、ゼブライガ」
カミツレもポケモンを交代させた。
「? ジムではポケモンの交代はチャレンジャーだけだったような……」
「ボルトチェンジは攻撃と同時にポケモンを入れ替える技なの。行くわよゼブライガ、ボルトチェンジ」
また電撃を撃ってきた。
「ホタチで防御だ、シェルブレード!」
フタチマルはボルトチェンジをホタチで受け、シェルブレードを叩き込もうとするが
「出て来て、エモンガ」
ゼブライガは交代され、最初に出てきたのとは違う別のエモンガが出てきた。
「このエモンガは♀なの。エモンガ、メロメロ」
エモンガはハート形をしたものを複数流すようにフタチマルに発射する。
「フタチマル!」
メロメロを受け、フタチマルはメロメロ状態になってしまった。
「…………」
一方観覧席では、チェレンが何か思うことがあるのか、考えるように黙った。
「これで終わりよ。エモンガ、アクロバット」
「!」
エモンガは高速で飛び回り、フタチマルの背後に攻撃すると、バランスを崩したフタチマルはネットへ落ちていった。
イリスはこれで、2連敗を喫した。
「イリス」
「……チェレンか」
ジム戦後、ポケモンセンターのベンチに腰掛けていたイリスの正面に、チェレンが来た。
「さっきのあのバトルのことなんだが」
「僕の完敗だ。全力をだしたけど、僕の実力不足で——」
「君には失望した」
チェレンは、イリスの言葉を遮ってそう言った。
「え? チェレン、今、なんて……?」
「聞こえなかったのかい? じゃあもう一度言う」
一拍おいて、チェレンは口を開く。
「君には失望した」
チェレンは冷たく、そう言い放った。
今回もイリスは負けました。ボロ負けです。惨敗です……イリスの傷口に塩を塗るのはやめましょう。次回はチェレンのジム戦。そしてイリスはスランプから抜け出せるのか?お楽しみに。