二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 24章 変則ルール ( No.61 )
- 日時: 2011/04/16 01:05
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http:/BUENOSUAIRESU
ライモンシティジムの変則的なルールにはれっきとした理由がある。
ポケモンジムというのは、トレーナーの強さを測る場で場であり、トレーナーを成長させる場でもある。
普通、ぐるぐると回るコースターなんかに乗ってたら、誰だって酔うだろう。
酔いだけでなく、目まぐるしく視界が変化していくバトルなんて困難であり、慣れるのにも時間が掛かる。
しかし、ライモンジムの変則ルールは、そういったトレーナー自身の精神力や、自分にとって不利な状況、如何なる逆境でも諦めない心を測り、成長させるためにある。
……余談だが、ライモンジムに挑戦した挑戦者の大半は回り続けるコースターで酔い、変則的なルールに対応できなくなる。そのためコースターで酔ったりする挑戦者は十中八九敗北するため、カミツレはイッシュ地方のジムではトップの勝率を誇る。そして次あるジム、ホドモエジムのヤーコンは成長したトレーナーがすぐにやって来るので、勝率が低かったりする。
「お友達とは、仲直りできたみたいね」
「分かりますか?」
「見れば分かるわよ。目も表情も、バトルも一昨日とは違うもの」
「それはそれは、鋭い眼力ですね」
「これでもモデルだから。見せるだけじゃなくて、見る目もあるのよ」
そんな訳でイリスは、一昨日カミツレに負けたリベンジバトルを執り行っているのであった。
「エモンガ、燕返し」
「ズルッグ、飛び膝蹴り!」
「! 右に旋回して」
エモンガは燕返しを中止し、ズルッグの飛び膝蹴りをかわした。飛び膝蹴りを避けられたズルッグは、レールとレールの間をすり抜け、下のネットに落ちた。
「ネットに落ちたら強制交代。飛び膝蹴りは避けられたら自分がダメージを受けますけど、ネットに落ちて交代させればそのデメリットも回避できる」
「……今までいろんなトレーナーがこの変則ルールを打ち破ったけど、そんな方法で、逆にこのルールを利用するトレーナーは流石にいなかったわ」
「それは良いですね。ここ最近1番尽くしです。……出て来い、デスマス!」
「ふうん。もしかしたら君は、このイッシュの歴史に名を刻むかもしれないわね。エモンガ、ボルトチェンジ」
「冗談言うものじゃないですよ。デスマス、ナイトヘッド!」
「冗談ではないわ、直感ではあるけど。出て来て、エモンガ」
「直感ですか。それもそれで、信憑性に欠けるというか。デスマス、ズルッグと交代だ」
とか、そんな話をしながらバトルを繰り広げている2人は傍から見てかなり異常だった。
「師匠、凄い……」
「確かにこれは……コースターで回りつつ、視界が変化しながら、カミツレさんと会話する余裕もあり、高度なバトルを繰り広げている訳だからね。イリスは何か特別な特訓でもしたのかい?」
「いえ、昨日はポケモンのコンディションをチェックして、どのポケモンを使うかを決めて、カミツレさん対策に策戦を考えて(結局良い案は思いつかなかったですが)そのまま寝てしまいました」
「ということは、気の持ちようというか、もっと根本的な何かが変わったんだろうね」
「……そうですね」
ミキは昨日のイリスとチェレンの会話を聞いているので知っているが、チェレンはその事をあまり言いたがらないようだと知り、黙ることにした。
「私がこんな変則ルールでバトルに臨むのかは知ってる?」
「……回るコースターと挑戦者に不利な状況を作り出し、トレーナーの精神力なんかを測ったり鍛えたりするためでしょう?」
「それもそうだけど、実際のところは違うわ。私は、ポケモンは人に見せるものだと思うの。人に見せ、人を魅せる。ポケモンは強くて頼りになるけど、それと同時に格好良くも可愛くもあるわ。バトルになればそれが色濃く出る。そしてどうせなら、バトル自体にも工夫を加えて、ポケモンバトルを見てる人にも十二分に楽しんで欲しい。そういう思いを込めてこの変則ルールを作ったのよ」
「……カミツレさんって、ヒウンジムのアーティさんと仲良いですか」
「あら? よく分かったわね。どうして?」
「いえ……」
アーティも同じようなことを言っていたからである。
「さて、話し込んでないで、バトルの方も進めなきゃね」
「カミツレさんのボルトチェンジでポケモンが目まぐるしく交代させられるので、中々ダメージが溜まらないんですよ」
「ダメージは溜めたくないわ。溜めて良いのはポケモンへの愛情よ」
「流石ジムリーダー、良い事言いますね」
と言ってイリスは、ネットに落ちたズルッグとデスマスを交代させる。
「デスマス、怪しい風!」
「エモンガ、放電」
デスマスの怪しい風とエモンガの放電がぶつかり合う。
ライモンシティジムカミツレの変則ルールでのバトル。イリスのこの戦いは、もうすぐ決着である。
今回は普通にジム戦ですが、僕はバトルシーンを書き出すと文字数がえらい事になるので、会話とバトルをまとめてみました。横着したのではありません。知恵を絞ったのです。本当です。……まあ、それそれでこれくらいにして、次回はライモンジム決着です。お楽しみに。