二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 30章 夜のライモン ( No.70 )
- 日時: 2011/04/18 22:13
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http:/ARUGRIZMU
案の定、ライモンシティは真っ暗で、どこもかしこも停電していた。
「ライモンシティには発電所もあるし、莫大な電気を蓄電する装置もある。なのに、何故……?」
「イリス!」
暗闇の向こうから、チェレンが走ってきた。
「チェレン!これは一体——」
「話は後だ!今すぐジムに避難するんだ!」
「う、うん。分かった。ミキちゃん、行くよ!」
「は、はい」
「今、このライモンシティはプラズマ団に占拠されてるの。しかも、街のメインコンピューターに侵入されたせいで、この街の電気を全て奪われた。正直言って、かなりやばい状況よ」
ジムには大勢の人が避難していて、そのなかの腕の立つトレーナーを集め、カミツレが現状を説明する。
「でも、何でこんな大掛かりなことをされるまで、プラズマ団の侵入に気付かなかったのでしょう?」
チェレンがそう問いかけると、カミツレは答えずらそうな顔をするが、返答した。
「実は、PDOと同盟を結んでから、このライモンシティにセンサーと監視カメラを仕掛けたの。だから、プラズマ団が侵入すれば一発で分かるはずなんだけど……」
「ハッキングされたんですよ」
どこからか、というかイリスの隣にいる少年がそう言った。
「テラ君……それは、本当?」
「真偽の確かめようはありませんが、十中八九間違いないでしょう。この時代、電脳戦をやろうってトレーナーはまずいませんし、盲点を突かれたのでしょう」
テラと呼ばれた少年は、そう説明する。
「あの、カミツレさん、この人は……?」
「彼はテラ君。パソコンの扱いに長けていて、電脳戦も出来るの」
「電脳戦って何ですか?」
今度はミキが聞く。
「電脳戦ってのは、ようするにパソコンなんかの電子機器を使ったバトル……っていうのかな。まあ。昔は戦争とかで使われていた手法みたいだけど、今の平和な世の中じゃまずないわね」
「まあ、ハッキングとかクラックとかの総称だよ。それから、こんなことが起こっているのに、平和も何もないでしょう」
「それもそうね」
カミツレは微笑む。その微笑はモデルだからか美しいが、今は笑っていられるような状況じゃない。
「どうします。カミツレさん」
「テラ君、どうにか出来る?」
トレーナーに丸投げするジムリーダー。この人に責任感はあるのだろうか。
「まあ、パソコンはありますし、電気さえあればなんとかしますよ」
「電気ねえ……予備電源も作動しないし……それじゃあ、電気技を持っているポケモンを全部出して頂戴。ポケモンの電気技で電力を供給するわ。」
ゼブライガ
エモンガ
ハーデリア
ココロモリ
シビシラス
チラチーノ
ギギアル
ギギギアル
ゴチム
ユニラン
マッギョ
タブンネ
どうにも電気タイプより他のタイプの方が多くなってしまったが、まあよしとする。
「さて、それじゃあ反撃開始だ」
テラはパソコンを立ち上げ、そう呟いた。
旧遊園地跡。
昔はメインコンピューターがここで機能していたが、新しい遊園地が出来ると、この遊園地は荒廃し、コンピューターも止まってしまった。
「しかし、回線を切っておかなかったのが運のつき。機能停止したコンピューターを再起動させる事くらい、小生にとっては造作も無い事」
この廃れた遊園地跡を根城にしているのは何を隠そう、プラズマ団7幹部の1人、バイオだった。
「住人たちは今ポケモンジムに集中している。どうもここを避難所に使用してるらしい。ここを一気に叩いて、この街を支配するぞ」
『了解しました、バイオ様!』
そういうや否や、プラズマ団の下っ端たちは散開していった。
「ふう、さて、あとはこの街を監視し、何か異常があれば部下に伝えるだけか……ん?」
どうやらアジトに侵入者が入ってきたらしく、それを部下に伝えようとコンピューターを操作するが
「!? 誰かがハッキングしてやがる。……いいだろう。このプラズマ団7幹部バイオが、何世紀かけようと小生に電脳戦では勝てないということを教えてやる」
そう言うと、バイオはコンピューターの操作に集中する。
バイオの言っていた侵入者というのは、この4人の事である。
「デスマス、シャドーボール!」
「シキジカ、突進!」
「ハトーボー、エアカッター!」
「フー、ドレインパンチ!」
イリス、ミキ、チェレン、アカリの4人は、敵の城を攻める役割を与えられたのだ。
「それにしても、あのテラってトレーナー、いい奴なのか何なのか」
「いい奴だと思うけどなあ」
「私も良い人だと思いますよ」
「私もです」
「ぐっ、僕だけかよ……」
ちなみにベルもライモンシティに来ていたが、ポケモンを電力の供給に使っているため、ジムに残った。
「まあ、ハッキングのことが無いにしても、こんな離れた場所を根城にされたんじゃ、気付かないよね」
「まあそれも、センサーや監視カメラの機能を停止させたからなんだろうけど」
「師匠、敵発見です」
「いちいちボールに戻すの面倒だな。フタチマル、ワシボン、デスマス、ズルッグ」
イリスはもっているポケモンを全てボールから出した。
「いや、いくら面倒だからって」
「チェレン、これはポケモンバトルじゃない」
イリスがニヤリと笑うと(全員引いた)続きの言葉を発する。
「戦争だよ」
今回はプラズマ団に一杯食わされました。でも、香兎さんの投稿してくださったオリキャラのお陰で、なんとかなりそうです。次回も夜の廃遊園地でプラズマ団とのバトルです。お楽しみに。