二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 31章 廃遊園地跡 ( No.71 )
日時: 2011/05/05 01:35
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http:/ARUGRIZMU

「戦争は流石に大げさだと思ったけど、あながち間違いではないかもね」
チェレンが廃遊園地の広場の方を見て、そう呟く。
「確かに、これだけの人数のプラズマ団がいれば、どっかの軍隊に見えなくもないですね」
広場には、100人近くのプラズマ団がいて、4人ここをどう通り抜けようかと思案している。
「にしても、いくら監視カメラやセンサーが機能しなくても、これだけの人数のプラズマ団が街に出入りしてたら普通気付かない?」
「まあ、ここは街から少し離れてるし、慎重に移動すれば見つからないかもね」
「ともかく、今はここをどう通り抜けるかを考えましょう。ここを通らなければコンピュータールームには行けないのですから」
年長者だからか、アカリが皆をまとめる。
「それじゃあ、僕とミキちゃんが囮になって、その間に2人が通るというのはどうでしょう?」
「まあ、それくらいしか手はないだろうけど、イリスたちはどうするんだい?」
「うまく隙をみて逃げるさ。向かう方向も、コンピュータールームの正面入口じゃなくて、裏口から入る。ミキちゃん、それでいいかい?」
「はい、師匠がそういうなら」
「それじゃあ、作戦決行です」
そうアカリが言うと、イリスとミキは広場に向かって走り出す。
「む!? 何奴!?」
「侵入者だ!」
「捕らえてバイオ様に献上するぞ!」
「そんな簡単に捕まってたまるかよ。フタチマル、水の波動!」
「行け、カブルモ。シザークロス!」
「出て来てシキジカ、突進!」
「チョボマキ、溶解液だ!」
作戦通り、プラズマ団は飛び出したイリスとミキに気を取られ、広場の端を通るアカリとチェレンには気付いていない。
「ヒトモシ、炎の渦!」
「テッシード、メタルクロー!」
「フタチマル、水の誓!」
「シキジカ、二度蹴り!」

「でも、あの2人だけ残して良かったのでしょうか?」
走りながら、アカリは独り言のように呟く。
「大丈夫ですよ。イリスはああ見えて結構打たれ強いですし、抜け目もありませんから」
「随分と信頼しているんですね」
「まあ、伊達に13年間付き合ってはいないって事ですよ……っと、ここがコンピュータールームですね」
アカリとチェレンが足を止めたのは、さほど大きくない立方体の建物、いやこの大きさだと部屋と言った方が正しいかもしれない。
「この地下に、メインコンピューターがあるんでしたよね」
「はい。じゃあ、開けますよ」
そう言ってチェレンは錆び付いた扉を開ける。扉の奥には、地下へと続く階段があるだけだった。
「それじゃあ行きましょう、アカリさん」
そう言って2人は地下へと続く階段を下りていった。

「ゴビット、シャドーパンチ!」
「フタチマル、シェルブレード!」
「バスラオ、アクアテール!」
「シキジカ、エナジーボール!」
その頃、といっても飛び出してから5分程度だが、そのたった5分で100人近くいたプラズマ団は半分程度の人数まで減った。
「さて、そろそろ行こうか」
「はい、師匠。シキジカ、草笛」
そう指示されると、シキジカは思わず聞き惚れてしまいそうな音を奏でた。
「う……何か急に眠くなってきた……」
「俺も……」
「スピー、スピー」
広場にいたプラズマ団全員が草笛によって眠らされてしまった。
「じゃ、行くよ」
「目指すは裏口ですね」
そう言って2人は、コンピュータールームの裏口に向かった。

一方アカリ、チェレンチームは、かなりまずい状況にあった。
「あたしはプラズマ団7幹部の1人、イエロだ」
「まさか、こんな浅い階に幹部がいるなんてね……!」
現在のフロアは3階。メインコンピューターがあるのは7回なので、半分弱下りたところで、プラズマ団幹部と遭遇してしまったのだ。
「違うと思うけど一応聞いとくよ。ライモンシティのメインコンピューターにハッキングを仕掛けたのはお前か?」
「いいや、違うね。あたしはそんなピコピコした事はできないよ。ハッキングをしたのはバイオのジイさんさ」
「バイオ……? 名前で呼ばれてるってことは、そいつも幹部か?」
「ご名答。その通りだ。あのジジイはポケモンバトルに関しては7幹部最弱だが、こういう戦争染みた事になると強いんだよねえ。あのジジイはプラズマ団1のメカニックだから」
「随分とペラペラ喋るけど、それを伝えるためだけにここに居る訳じゃないよな」
「もちろん」
イエロはそう言ってニヤリと笑うと、ポケモンを繰り出した。
「ゴチミルか……出て来い、レパル——」
「待ってください」
チェレンがポケモンを出そうとするのを、アカリが手で制す。
「……何ですか?」
「ここは私が引き受けます。だから先に行ってください」
「ですが……」
「この人はかなりの実力者だと見ます。なので、ここは私に任せていただきたいです」
「…………」
それは遠まわしに、貴方の実力ではこの人は倒せない、と言っているようなものである。
「じゃあ、ここは任せました」
チェレンは決心したようにそう言うと、下の階段に向かって走り出す。
「行かせると思うか? ゴチミル、サイケ——」
「フー、とんぼ返り」
ゴチミルがサイケ光線をチェレンに撃とうとすると、アカリがいつの間にか出したフー(コジョンド)で攻撃する。
「撃たせるとお思いですか? 貴方の相手は私です」
アカリは、イエロを真っ直ぐに見据える。
「……はっ、小娘が。たかが一回攻撃を当てたくらいでいい気になってんじゃねえよ!」
こうして、地下3階にてアカリ対イエロの戦いが始まるのであった。



今回は夜のライモンシティでプラズマ団とバトルです。全面戦争です。……いや、全面ではない気もしますが。次回も夜のライモンでプラズマ団とバトルです。お楽しみに。