二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 33章 ダストダスの猛毒ガス ( No.73 )
日時: 2011/04/20 00:35
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http:/ARUGRIZMU

ウィーン
と、機械音がして、部屋を取り囲むように機会の箱の様な物が出て来た。
「な、何だ、これ……?」
「見てれば分かるさ」
バイオが手に持つスイッチを押すと、機会の箱は一斉に開き、中からポケモンが出て来た。
「ふはははは!ここのメインコンピューターとは別に、非常事態のための仕掛けを用意しておいたのだ!小生は7幹部の中でも頭脳労働専門でバトルはあまり得意ではないが、この数のポケモンで戦えば、多勢に無勢、貴様らに勝機は無い!」
『…………』
3人はただただ何も言わずに突っ立っている。理由は別に、驚いたとか、絶望したとかではなく
『せこっ!』
だった。
「な、何がせこいだ!そこはこう、弱点を補っているとか、作戦を立てているとか、用意周到とか言って欲しいものだ」
「だって、いくら自分が弱いからって」
「ポケモン集めてそのポケモンの数で押し攻めるなんて」
「せこいだけですよ」
「ぐぬぬぬぬ、言いたい放題言いよって。しかもずるいとか卑怯とかじゃくなくて、せこいなんて……」
「まあ、とにかくこの大量のポケモンは僕がなんとかするから、イリスはあのバイオって奴を倒してくれ」
「分かった。そっちは任せたよ、チェレン」
「師匠、私も周りのポケモンをやります」
てな感じで、バイオの言葉は聞く耳持たれていない。
「出て来い、レパルダス!」
「出て来て、シキジカ!」
チェレンとミキが、それぞれポケモンを出し、臨戦態勢に入る。
「そじゃあ、僕らも始めるとしますか。出て来い、ズルッグ!」
「ふん。良い気になれるのは今のうちだぞ。ゴビット!」
バイオが最初に繰り出すのはゴーレムポケモンのゴビット。
「ゴビット、シャドーパンチ!」
ゴビットが拳に影のオーラを溜め、そのまま拳を振り抜く。すると、影のオーラが拳形になり、ズルッグ目掛けて飛んでいく。
「かわせズルッグ、炎のパンチ」
しかし飛来するシャドーパンチは大したスピードではなく、あっさりとかわされる。しかも、拳を振り抜いた隙を突かれ、炎のパンチを食らわされる。
7幹部の中でバトルが1番弱いというのは本当のようだ。
「……あんた、本当に弱いな」
「うるさいわ!ゴビット、爆裂パンチ!」
今度は拳を大きく振りかぶり、放つ。しかし
「爆裂パンチはモーションが長くて隙だらけだ。故に普通に撃ったらまず避けられる。ズルッグ、炎のパンチ」
ゴビットが拳を振り抜く前にズルッグの炎のパンチが決まり、ゴビットは戦闘不能になった。
「戻れゴビット!……ぬぬぬ、小生のゴビットがこんなにもあっさりと……!」
「あんた、バトル向いてないよ。たぶんバッジ1個の僕でも勝てたよ」
「黙れ黙れ!小生のポケモンはまだ残っている!……それに、まだ仕掛けも残っているしな」
「仕掛け?」
イリスが首を傾げ、質問する前にバイオはボールからポケモンを出す。
「行けい、ダストダス!」
現れたのは、ゴミ捨て場ポケモンのダストダス。ヤブクロンの進化系だ。
「うわっ……すごい臭い……」
「ファッファッファ、これぞ小生の切り札にして最終兵器。このダストダスの異臭により、貴様は冷静なバトルができんだろう?」
ちなみにバイオはどこからかガスマスクを取り出し、装着していた。笑い方が変わったのもそのためだと思われる。
「……こんな仕掛け誰も思いつかないよ。いろんな意味でやり手だな」
異臭だけではなく顔を歪ませるイリス。
「ああ、気をつけたほうがいいぞ。小生のダストダスは通常の固体より大きい。故に体に含まれる毒の濃度も量も多い。あと30分でもこの部屋にいれば、毒ガスの毒が体に回って死ぬぞ」
「な!?」
衝撃の一言に、仰天するイリス。不謹慎だが、実に豊かな表情である。
「ミキちゃん、チェレン!今すぐこの部屋から出ろ!悪臭に含まれる毒で死ぬぞ!」
イリスは叫ぶ。
「言われなくてもやってるよ!でも、扉に細工されてて、開かないんだ!しかも君の弟子は気を失ってるし!」
チェレンは扉を蹴りつけながら叫ぶ。その側には、苦しそうな表情で苦しそうに息をするミキの姿があった。
「全ての毒に言える事だが、毒は体が小さいほど良く効き、体が幼いほど速く回る」
ニヤニヤと笑いながら(ガスマスクで分からないが)バイオがそう言う。
「それと、小生のダストダスはその扉と連動している。貴様が小生のダストダスを倒せれば、その扉も開く。倒せなければ、ここで毒死する」
「……くっそ、やるしかないって事か」
「イリス、頼んだよ。僕らのポケモンは部屋を取り囲んでたポケモンを倒すのにかなり力を使ってしまって、もう戦えない。君だけが頼りだ」
「分かってるよ。言われなくても、この狂った頭のメカニックは僕が倒す。そうしないと、皆助からない」
そう言って、イリスはバイオと相対し、構える。
「小童が。小生はバトルの腕はそんなでもないが、知識はある。格と経験と知識の違いを教えてやろう」
「あんたに教えてもらう事なんてねえよ。その代わり、僕があんたに教えてやる」
イリスは今までにない、鋭く厳しい目付きで、バイオを睨み付ける。そして
「僕の仲間に手を出したら、どうなるかをな!」
イリスは、叫んだ。
毒が体に回るまで、あと30分。



今回はかなりピンチです。毒です、命に危機です。僕がバイオに誹謗中傷、嫌味を垂れたばっかりに……いや、正確には僕ではなくイリスたちですが。まあ、書いたのは僕なんですけどね。次回は時間制限付きでバイオとバトルです。バイオの切り札、ダストダスとの戦いにご期待ください。