二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 34章 タイムリミット ( No.74 )
日時: 2011/04/20 19:18
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http:/ARUGRIZMU

今回のバトルにおけるイリスの作戦は、自信過剰の特性で攻撃が上がっているズルッグにとにかく攻撃させ、早期決着を着けるつもりだった。
「ズルッグ、炎のパンチ!」
「ダストダス、守る」
「ズルッグ、頭突きだ!」
「ダストダス、影分身」
「飛び膝蹴り!」
「ロックカットの後避けろ」
この通り、イリスにとって時間制限のあるバトルなので、バイオは専守防衛。とにかく守りに入っている。
「くそ、本当に卑怯だな!」
「何を言うか、これが経験の差という奴だよ。それに、卑怯だの何だのとキレイごと並べた所で、小生の様な手段を選らばない者を倒せないのなら、無意味だ」
「正論なだけ腹立つな……!ズルッグ、炎のパンチ!」
「影分身」
またもやズルッグの攻撃はダストダスに届かない。
「飛び膝蹴り!」
「守る」
「頭突きだ!」
「ロックカットでかわせ」
ダストダスは守るで攻撃を防ぎ、影分身で攻撃を外れさせ、ロックカットのスピードで避けている。この3つを使い分けている訳だから、ダストダスに攻撃を当てるのは相当困難だろう。
「飛び膝蹴り!」
「守る……どうした? 動きが単調になってきたぞ? それになんだか顔色も悪いが?」
わざとらしく、バイオはイリスを嘲る。
「知るか!ズルッグ、頭突きだ!」
強がってはいるが、実際イリスのコンディションは最悪とはいかずともかなり悪い状態である。毒が体に回りつつあるだけでなく、怒りやら憎しみやらの感情も入り混じり、冷静にバトルが出来ていないのだ。
「やれやれ、小生が心配してやってるというのにその思いを無碍にするとは。しょうがないからもう決めてやろう。ダストダス、ダストシュート!」
ダストダスは、手(と思われる部位)に如何にも汚らしいゴミや毒の塊を作り出し、球体にしてズルッグ目掛け撃ち出した。
「ズルッグ!」
ダストシュートの直撃を食らったズルッグは、一発で戦闘不能となった。
「ダストダスの毒臭の影響を受けるのは何も人間だけではない。そのズルッグにしても、連続攻撃で疲弊しているだろう? そんな弱りきったポケモンなら、ダストシュートの1発で戦闘不能にはできる」
「くっ……出て来い、デスマス!」
「ふうむ。デスマスはゴーストタイプのポケモン。大方小生のダストダスの毒臭を受けにくいという浅はかな考えで出したのだろうが、小生のダストダスの毒の濃度は半端ではないぞ?」
「知った事か!デスマス、シャドーボール!」
「ダストダス、守る」
「鬼火だ!」
「影分身」
「怪しい風!」
「ロックカットで避けろ」
イリスは完全に頭に血が上っていて、いつも通りのバトルが出来ていない。その上、ダストダスが出てからもう15分経過しているて、時間がない。しかし、時間がなくなればなくなるほど、イリスは焦り、冷静さを欠いてしまう。正に悪循環である。
「デスマス、サイコキネシス!」
「守る。そしてダストシュートだ!」
バイオは長期戦に持ち込むかと思いきや、かなり早い段階からダストシュートを撃ってきた。
「お前らにはさんざん言われたい放題言われたからな。お前らが毒死する前に、お前のポケモンを嬲ってやろう。ダストダス、ダストシュート!」
どうやら結構根に持っていたらしく、デスマスは計2発のダストシュートを食らった。
「デスマス!」
デスマスが地面に落下する。
「まだだ!まだいける、デスマス!」
イリスがデスマスに叱咤激励するが、デスマスは起きない。
「デスマス……!」
「し……しょう……」
「!?」
イリスが驚き振り返ると、ミキが上体を起こし、必死にこちらに語りかけてくる。ミキは体に毒が回り、あと10分ももたない状態なのにだ。
「師匠は、そんな人じゃ、なかった……はずです。……私の知ってる師匠は、もっと冷静で……どんな時でも、どんな危機でも、乗り越えられる、そんな……人です。……だから……」
そこで、ミキはバタリと倒れこむ。どうやら相当無理をしたようだ。
「……イリス、この子の言う通りだ。僕らに構わずとは言わないけど、もっと君らしく戦え。それに、弟子の期待くらいには、応えてやれ」
チェレンも苦しそうではあるが、そう語りかける。
「……そう、だよね。言われてみれば、ちょっと逆上してたかな。僕はこんなにパニックになる様なキャラじゃなかったな。それに、弟子にも格好悪いとこ見せちゃったし、少し、落ち着いてに戦うか」
弟子と親友に言われ、いつもの調子が出てきたイリス。それに応える様に、デスマスも起き上がる。
「はっ、くだらん。言っておくが貴様らタイムリミットはもう5分を切った。いくら足掻こうと、もう終いだぞ」
対するバイオは、不機嫌にそう吐き捨てる。
「まだ5分近く残ってるんだろ? どうせ何もせずとも死ぬのに、何もしないなんて僕らしくない。残念だけど、本調子を取り戻した僕が相手じゃ、あんたに勝ち目はない」
「……ふん。弱い犬ほどよく吠えるとは言ったものだ。ダストダス、もう終わりにするぞ。ダストシュート!」
ダストダスは全身の力を使い、特大のダストシュートを作り出す。
「もう終わりにするってとこだけは賛同しよう。でも、弱い犬も、よく吠えるのもお前だよ。デスマス、頼んだよ」
イリスはデスマスに全てを託すように、1歩下がる。そして指示を出す。
「デスマス、自己暗示」



今回もバイオにやられまくりですが、2人の仲間のお陰でイリスは調子を取り戻せました。なお、本編中に出てきた毒臭というのは造語です。辞書引いてもきっと乗ってません。意味は文字通り毒を含んだ臭いのことです。次回はついにバイオとの決着です。お楽しみに。