二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 36章 チャンピオン ( No.79 )
日時: 2011/04/21 22:11
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http:/ARUGRIZMU

ホドモエ跳ね橋。
イッシュ4大大橋にこそ指定されてはいないが、それそれで大きな橋である。
最大の特徴は跳ね橋であるということ。普段貨物船で貨物を運搬するため跳ね橋は上がっているが、トレーナーが戸通る時などは跳ね橋が下り、その瞬間は絶景である。
あと、何故か別名リザードン橋と呼ばれていて、特にカントー地方という地方から来たトレーナーが納得するらしい。

5番道路。
ライモンシティとホドモエ跳ね橋を繋ぐ短い道路で、多くのパフォーマー達が訪れる場所でもある。
「それが何を意味するかというと、次の街へ行くのにタイムロスをするということである」
チェレンが気だるげに苛立ちが混じったように呟き、嘆息する。
イリス、ミキ、チェレンはライモンジムでの騒動が収まり、カミツレも仕事が一段落着いたということで、次の街、ホドモエシティに向かうべく、5番道路を通ってホドモエ跳ね橋を渡ろうとしたのだが
「師匠!この絵凄いですよ!芸術ですよ!」
「へえ。アーティさんに見せてもらった絵も凄かったけど、これも芸術って感じがするね」
「ふふ。ここのパフォーマーの人たちはライモンシティの客引きをしてくれているように様々なパフォーマンスをしているのよ。お陰でこっちも大助かりよ」
とまあパフォーマーに見入ってる人1名、便乗して見物している人1名、頼んでもいないのに説明をする人1名。計3名がパフォーマーたちのパフォーマンスを見物していて、先に進めないのである。
「3人とも、早くホドモエシティに行こうよ。特にイリスとカミツレさん。なんでそんなにはしゃいで——」
「師匠!あっちに面白そうなものが!」
「ん? どこどこ?」
「ああ、これはね……」
「…………」
ビキッ
そんな音がした、ような気がした。
「3人とも……!」
「あ、チェレン!こっちで面白いのやってるよ」
「イリス、僕らは早くホドモエシティに——」
「イッシュのチャンピオンが非公式でバトルをしてるんだって」
「!?」
チェレンは食いついた。

しかし、イリスとチェレンとカミツレ(途中で合流した)がチャンピオンの所に辿り着いた時にはバトルは終了していた。
「あ、師匠!」
チャンピオンの相手をしていたらしいミキが、こちらに気付き手を振る。
「チャンピオンとのバトル、どうだった?」
「全然歯が立ちませんでした。けど、とても楽しかったです!」
「そう。それは良かったね」
そう言ってイリスはミキの頭を撫でる。もはや師弟関係というより兄妹に見えてしまう2人であった。
「おお!カミツレではないか」
チャンピオンの方もこちら(というかカミツレ)に気付いたらしく、こっちに寄って来た。
「久しぶりですね、アデクさん」
「そうだな。で、このトレーナーたちは?」
「僕はイリスです。こっちは弟子のミキちゃん」
「僕はチェレンといいます。目標は、チャンピオンになることです」
「だって。この人はアデクさんといって、イッシュ地方のチャンピオンよ。まあ、変なオッサンだけど」
サラリと酷い事を言うカミツレであった。
「変なオッサンはないだろう。……で、チェレンといったか。目標を持つことは良いことだが、チャンピオンになってどうするつもりかね?」
「? どうするつもり? チャンピオンはイッシュで最も強いトレーナーの称号です。僕は生きている証が欲しい。だからチャンピオンになりたいんです」
真剣に言うチェレンだが、イリスはその話を初めて聞いた。
「ふうむ。どうも君は昔のレンブに似ておるな……なら、この子達を見てみよ」
そう言って、アデクはポケモンと楽しそうに遊ぶ子供を見遣る。
「君のように強さを追い求めるものがいれば、この子達の様に、ただポケモンと一緒にいるだけで幸せになれる子供もいるのだ」
「……それはそうですが、それがなんだというのですか?」
「うむ。まあ、人それぞれ、自分の追い求めるものの形は異なる。自分とは違う理想を持つ者もいるということを知って欲しかったのだ」
「……ところで、なんでチャンピオンがこんな所で遊んでるのですか?」
チェレンは少し黙った後、そう問うた。
「はっはっは。これは手厳しい若者だな。別にこれは遊んでおるのではない。ただ、イッシュの人々に、ポケモンが如何に大事で、大切で、かけがえのないものかを教えるために、放浪の旅をしておるのだ」
「……そうですか」
チェレンは冷たい目で返答する。
「それと、もう1つ気になったのですが」
チェレンが再度質問する。
「何だ?」
「アデクさんは何でモンスターボールを首から掛けてるんですか? しかも7つあるし……」
アデクはその問に困ったような顔をする。
「ああ、これはな。実はパソコンが使えなくてな、それで常にモンスターボールを所持しているわけだ」
「はあ……」
チェレンは少し戸惑う。なんでイッシュのチャンピオンなのにパソコンが使えないのだろう。とか思っているのだろう。
「ああ、そろそろ時間ね。皆、跳ね橋に向かうわよ」
「時間?」
イリスが首を傾げる。
「実はね、跳ね橋は貨物船の運航のために上下する時間が決まってるの。だからここで時間を潰してたわけ」
「なるほど、そういうことだったんですか」
チェレンが納得したように言う。
「それじゃあ、着いてきて。アデクさんもどう?」
「跳ね橋か。あれが下がるのを見るのは結構稀だからな。今のうちに見ておくか」
こうして、5人はホドモエ跳ね橋へと向かった。



すみません。跳ね橋までいけませんでした。でも次こそは跳ね橋を下ろします。では、また次回に。