二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 39章 激流の大技 ( No.84 )
- 日時: 2011/04/24 19:58
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http:/ARUGRIZMU
「ヒヒダルマ、炎のパンチ!」
「フタチマル、シェルブレード!」
正直イリスは、プラズマ団幹部を甘く見ていた。最初に戦ったルー&リンはともかく、次に戦ったバイオは地力なら明らかにこちらの方が上だったし、今戦っているレドにしても、作戦も何もなく、ただただ力押しで攻めているだけだが
「フタチマル!」
フタチマルはヒヒダルマの炎のパンチにより吹っ飛ばされ、氷が溶けかけている壁に激突する。
「くっ、なんてパワーだ……」
そう、レドははただの力押しで攻めているが、その威力が尋常じゃない。
「ヒヒダルマ、炎の牙!」
「フタチマル、アクアジェット!」
今度はフタチマルのアクアジェットがヒットしたが、ヒヒダルマにはあまり効いてないようだ。
「ヒヒダルマ、火炎放射!」
「フタチマル、水の波動!」
火炎放射と水の波動がぶつかり合うが、やはり水の波動が打ち消され、フタチマルは火炎放射を食らう。
「フタチマル!」
「休ませるな。続けて炎のパンチ!」
ヒヒダルマは火炎放射を受けて倒れているフタチマルに炎のパンチを見舞おうとする。
「避けろフタチマル!」
しかし、間一髪のところで振り下ろされた炎の拳はフタチマルには当たらなかった。
「?」
そこでイリスは、ヒヒダルマの動きに1つ、疑問点を見つける。
「ふん。1回避けたくらいで、いい気になるなよ。ヒヒダルマ、炎の牙!」
「避けろフタチマル!」
フタチマルは牙に炎を灯して向かって来るヒヒダルマをかわす。
「水の誓!」
攻撃を避けられて無防備のヒヒダルマは、下から噴出してくる水をまともに受ける。
「ヒヒダルマ!」
「水の波動!」
吹っ飛ばされたヒヒダルマに追い討ちを掛けるように、フタチマルは水の波動を放つ。
「火炎放射だ!」
しかし、ヒヒダルマは火炎放射で水の波動を打ち消す。
「炎のパンチ!」
「かわしてシェルブレード!」
フタチマルはヒヒダルマの炎をパンチを避け、シェルブレードで切り裂く。
「やっぱりだ」
イリスは確信がついたようにそう呟く。
イリスが気付いたのは、ヒヒダルマが攻撃の後無防備になることだ。いや、ポケモンであり、攻撃をかわされた後となれば、大抵は無防備になるのだが、ヒヒダルマはその時間が長いのだ。どうも、攻撃力は半端なく高いが、その分攻撃後の動作が遅れるようだ。
「くっそ、気付きやがったか」
どうやらレドはそのことを知っていたらしい。
「しょうがねえ、こんな狭い場所ではやりたくなかったが、背に腹は代えられねえか。ヒヒダルマ、暴れる!」
突如ヒヒダルマは暴れだした。周りの物を、壁を、床を破壊しながら。とにかく暴れ、壊しまくった。
「フタチマル、水の誓だ!」
フタチマルが水の誓でヒヒダルマを止めようとするが、ヒヒダルマは止まらない。
「ヒヒダルマの暴れるは最終手段の奥の手だ。この状態のヒヒダルマを止められる奴はいないぜ」
レドが勝ち誇ったようにそう言うのを聞き、イリスは顔を伏せる。
「…………」
「どうした? 怖気ついたか?」
「……やるよ」
「あ?」
「止められる奴がいないなら、僕が最初に止めてやるよ!」
イリスはそう、豪語した。
「はっ。何を言い出すかと思えば、そんなことか。無理だ、この状態のヒヒダルマはボールにも入らねえ。止められっこねえよ」
レドがそう切り捨てる。
「やってみなきゃ分からないさ。……フタチマル、息を大きく吸い込んで、力を溜めろ」
ここでイリスが思い出すのは、サンヨウジムでベルと戦ったコーンのヒヤッキーだ。あのポケモンが最後に放った大技を、見様見真似だが、体現する。
「フタチマル、ハイドロポンプ!」
フタチマルは、溜めた力で超高圧の水流を発射した。その水流は暴れていたヒヒダルマに直撃し、吹き飛ばす。吹き飛ばされたヒヒダルマは壁に激突し、そのまま壁を突き破っていった。
「…………」
唖然とするレド。それもそうだ、「止められる奴はいない」と豪語したのに、それを崩されたわけだから。いや、それ以上にフタチマルのハイドロポンプが凄まじかったという事なのかもしれないけれど。
「はあ、はあ、フタチマル……」
ハイドロポンプを撃ったフタチマルは、果たして倒れていた。どうやら、体中の全ての力を使っての攻撃だったようだ。
「ありがとう、フタチマル」
そう言ってイリスは、フタチマルをボールに戻す。
「勝負は、僕の勝ちだな」
イリスはそう言い、レドを睨みつける。
「イリス、ヤーコンさんやミナアキさんにはライブキャスターで連絡した。直に来るよ」
チェレンがイリスに報告する。ちなみに、チェレンとミキは今まで下っ端の相手をしていたのだ。
それから数分して、ヤーコン率いる作業員の人や、ミナアキ率いるPDOホドモエ支部の人が、プラズマ団を連行していった。
それにより、イリスたちも冷凍コンテナから出ることになった。
「それにしても、最後のハイドロポンプ、凄かったです、師匠!」
「まあ、一か八かの賭けだったんだけどね」
「その一か八かの瀬戸際で賭けに勝つ君は、相当凄いけどね」
冷凍コンテナから出る途中、イリスはチェレンやミキに称賛の言葉を投げかけられていた。
「……そろそろ出口だ。早くこの寒いとこから出よう」
「師匠、この上着、お返しします」
「うん、分かっ……」
バタリ
イリスは、冷凍コンテナから出た瞬間、地面に倒れた。
「!? イリス!」
「師匠!」
親友と弟子の言葉が聞こえてくる中、イリスの目の前は暗くなっていった。
今回はついにレドを倒しました。いや、ついにと言うほど苦戦もしてませんが。そして、今回もまた、イリスは倒れました。次回は倒れたイリスを救出します(大げさな表現ですが)お楽しみに。