二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 43章 ドリルライナー ( No.89 )
- 日時: 2011/04/27 00:18
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http:/ARUGRIZMU
「ガマガル、エコーボイス!」
ヤーコンは執拗にガマガルにエコーボイスを指示する。
エコーボイスは使うほどに威力が増大していく技。本来はダブル、トリプルバトルでこそ真価を発揮するが、単体での使用でも、攻撃を積むことさえ出来れば十分強力な攻撃となる。
「ぐぅ……」
イリスはガマガルのエコーボイスにより精神がやられかけている。エコーボイスはそういう使い道があるわけではないが、ヤーコンのガマガルはそういった使い方に長けているようだ。
「ワシボン……」
イリスが呟く。
「……そろそろいいか。ガマガル、ヘドロ爆弾!」
ガマガルは発声(もはや発声とかいうレベルではなかったが)を止め、口からヘドロを発射する。
「ワシボン!」
「休ませるな、濁流!」
続いてどこからか濁った大波を発生させ、ワシボンを飲み込む。
「ふっ、流石にこれだけの攻撃を食らえば、立ってはいらねえだろう」
ヤーコンは勝ち誇ったように言う。しかし、その期待はすぐに打ち砕かれる。
「ワシボン、エアスラッシュ!」
濁流の波の中から、波を切り裂く真空波が、ガマガル目掛けて飛んできた。
「ガマガル!」
ヤーコンは叫ぶ。
「僕のワシボンは、これくらいじゃやられませんよ。シャドークロー!」
「ちぃ、俺様としたことが、状況を読み間違えるとはな……ガマガル、エコーボイス!」
ヤーコンは再びエコーボイスでイリスの冷静さを欠かせようとしたが、同じ手は二度と通用しない。
「エコーボイスは初撃は大したことない。だったら、早めに決めるのみ!」
そのすぐ後、発生を始めたガマガルに影の爪で切り裂く。
「ワシボン、燕返し!」
「ガマガル、ヘドロ爆弾!」
ワシボンがすかさず燕返しを食らわそうとしたが、それよりも早くガマガルが動き、ワシボンを迎撃する。
「ワシボン!」
「これでとどめだ。ガマガル、濁流!」
ヘドロ爆弾を受けて怯んだワシボンを、ガマガルは濁流で流す。
「くっ……戻れ、ワシボン」
「さあ、これでお前の手持ちは残り1体、どうする?」
精神的に追い詰めようとしているのか、ヤーコンはやや挑発的な口調でイリスにプレッシャーを与える。
「……出て来い、ズルッグ!」
イリスは最後の望みをズルッグに託した。
「ほう、ズルッグか。ガマガル、マッドショット!」
ガマガルは口から泥を発射する。
「避けろズルッグ、飛び膝蹴り!」
ズルッグは前進しつつマッドショットを避け、ガマガルに飛び膝蹴りを食らわす。
「続けて炎のパンチ!」
飛び膝蹴りを受けて仰け反ったガマガルに、ズルッグはすかさず炎の拳を叩きつける。
「ぬう……ガマガル、一旦距離を取れ!エコーボイスだ!」
「無理ですよ。ズルッグ、頭突き!」
距離を取ろうと後退するガマガルを追い、ズルッグは頭突きをする。
「とどめだ、炎のパンチから飛び膝蹴り!」
頭突きを受けて怯んだガマガルに、ズルッグは炎のパンチで打ち上げ、飛び膝蹴りで決めた。
「ガマガル、戻れ」
ヤーコンは低い声音で、ガマガルをボールに戻す。
「……最初に言っておくが、俺様が次に出すポケモンは、ワルビルやガマガルとは一味も二味も違うぞ」
「いいじゃないですか。それでこそ燃えるバトルになりますよ」
「……ふん、生意気な餓鬼だ。出て来い、ドリュウズ!」
ヤーコンの3番手、エースポケモンはモグリューの進化系、ドリュウズだ。
「確かドリュウズは鋼タイプも持っていたはず。だったらズルッグとは相性がいい。一気に攻めるぞ、飛び膝蹴り!」
ズルッグはドリュウズに向かって走り出し、飛び膝蹴りを放つ。
「ドリュウズ、メタルクロー」
しかし、ドリュウズのメタルクローによって、いとも簡単に弾き返される。
「な……!?」
あまりも簡単に弾かれたので驚愕するイリスだが、そんなことはお構い無しにヤーコンは攻め続ける。
「ドリュウズ、地ならし」
ドリュウズは地震にも匹敵しそうな地ならしをする。それにより、ズルッグの動きが止まる。
「ドリルライナー!」
次にドリュウズは、両手の鋼鉄の爪と、頭の角の様なものを合体させ、自らをドリルの形状にした。そのすぐ後、ドリュウズは高速回転し、そのまま動きの止まったズルッグ目掛けて突っ込む。
「ズルッグ!」
ドリルライナーを正面からまともに受けたズルッグは、かなりやばい状態だった。
「そろそろ終わりにするぞ。ドリュウズ、気合玉!」
ドリュウズは両手で気合をエネルギーにして凝縮し、それ球状にしてズルッグ目掛けて放つ。
「避けろズルッグ!」
ズルッグは気力を振り絞って気合玉を避けようとするが、完全には避けきれず、掠める形で気合玉を受けた。
「ふん、まだ足掻くか。それならもう決めてやる。ドリュウズ、ドリルライナー!」
ドリュウズは一回目の時よりも数段速いドリルライナーでズルッグに突っ込む。
「ズルッグ、飛び膝蹴りじゃあのドリルライナーは止められない。炎のパンチも、頭突きもだ。だから、耐えてくれよ」
イリスは全てをズルッグに賭け、ゆっくりと目を閉じる。
ドリュウズがズルッグに突撃する数秒前も、一歩手前でもイリスは動かない。ついにドリルライナーがズルッグを捉えた時、イリスは指示を出す。
「ズルッグ、カウンター!」
ドリルライナーは回転しながら攻撃する技なので、どうしてもこちらが攻撃で相殺しようとしても、力が流されてしまう。しかし、カウンターは違う。カウンターは相手の力を利用する技なので、力が流されるという事が無い。その結果、ドリュウズは今までで1番のドリルライナーを放った事が災いし、ズルッグのカウンターを受け、沈んだ。
「気に入らんな」
ヤーコンはバトルが終わるなり、そう言い出した。
「え……?」
イリスは驚いたが、ヤーコンは構わずに言葉を続ける。
「その若さにして堂々たる戦いっぷり。カミツレが認め、価値を見出すのも頷けるってものだ。そんなお前に、このクエイクバッジを授けよう」
バトルに負けていちゃもんでもつけられるのかと冷や冷やしていたイリスだが、それを聞いて安心し、バッジを受け取った。
「ありがとうございます!」
これでイリスのバッジは5つ、ポケモンリーグまで、残り半分を切ったのであった。
なんだか読み返してみると、どうもドリュウズの出番が短いような気がします。正直もう一回に分けたほうがいいかな、とも思いますが、もう書いてしまったので良しとしましょう。次回はイリスがミキルートを攻略します……言っても意味分かんないですよね。僕もよく分かっていません。まあ、次回はイリスとミキが何かするんです。お楽しみに。