二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 44章 野宿の恐ろしさ ( No.90 )
- 日時: 2011/04/27 17:20
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http:/ARUGRIZMU
ホドモエジムでのジム戦を終えたイリスとミキは、次なる街、フキヨセシティを目指し、6番道路を歩いていた。
「あー……日が暮れちゃったね」
「……そうですね」
イリスとミキは、正直6番道路の長さを舐めていた。いや、知らなかったのだ。6番道路はイッシュの道路でも比較的長めで、道も獣道とまではいかずとも、あまり整備されていないため歩きにくい。だから、イリスは日が暮れるまで歩いたが、運の悪いことに周りには民家はなく、ポケモンの巣しかないところで野宿をする羽目になった。しかも悪いのはそれだけでなく
「にしても、今日は寒いね」
「はい、風も吹いてますし」
そう、今日の6番道路は気温が低く、風もあってかなり寒い。
「どうしようか、こんな寒い中野宿なんてしたら風邪がぶり返しそうだ」
「どうしましょうか」
2人が腕を組んで考える。すると、イリスは何を思いついたのか、口を開く。
「じゃあ、一緒に寝ようか」
「ふえ!?」
とんでもない事を言い出した。
「そんな、師匠。ま、まだ私たちは、いや、でも、なんで、はわ、わわわ……」
「いやなに、雪山なんかに遭難した時は、2人で密着し合って寒さを凌ぐって聞いた事があるからさ……っていうか、ミキちゃん大丈夫?」
全然大丈夫ではない。ミキは赤面してパニックになっていて、イリスはとんでもないことを言ったという自覚がないのかキョトンとしている。
結局のところ2人は、風通しの悪い所を探し、1つの寝袋で2人寝ることにした。
幸い(?)イリスの寝袋はやや大きめだったし、ミキは小柄なので2人で寝ることが出来た。だがしかし、それでも密着しているのには変わりなく、ミキは相変わらず顔を赤くして、心臓の鼓動も通常の4倍くらい速くなっている。対するイリスは、神経が図太いのかなんなのか、悠々と寝ている。
「……寝ないのかい?」
イリスが片目を開けてミキに言う。どうやら寝ていなかったようだ。
「え、あ、いや、えーと……」
最早ミキはイリスと顔を合わせることさえ出来ない。
「?」
一方添い寝の発案者は、どうしたのかな?みたいな感じで疑問符を浮かべている。
「じゃ、寝れないなら、眠くなるまで何か話してよっか」
寝れない元凶の人は、そんな事を言い出した。
だがミキはイリスと話しているうちに、気が紛れて心臓の鼓動は遅くなっていった。
「次は……そうだね、僕が戦ったジムリーダーの話をしようか」
そしてイリスは語った。サンヨウジムデントの弱点を突くバトル。シッポウジムアロエの戦略を練るバトル。どちらも苦しい戦いだったことを。
「それでこれが、トライバッジとベーシックバッジだ」
イリスは鞄からバッジケースを出し、ミキに見せる。
「これが……ひゃっ」
「ミキちゃん、どうしたの?」
「な、何か、寝袋の中に……」
ミキは自分の体をまさぐり、自分をくすぐっていた何かを出す。
「……ポケモン?」
「これは……チラーミィだね」
どうやってか寝袋の中に潜り込んでいたのはチンチラポケモンのチラーミィだった。
「でも、何でチラーミィが?」
「さあ……?」
2人とも首を傾げる。
「って、うわ!」
今度はイリスの服の中に潜りこんで来た。
「ああ、師匠!」
チラーミィはイリスの服の中に潜り込むと、イリスの体くすぐってきた。しかし
「…………」
イリスは全く動じず、服の中のチラーミィを摘み出す。
「あの、師匠……くすぐられて、平気なんですか……?」
「うん。昔からくすぐるとか効かないんだよね、僕」
だそうだ。
「で、このチラーミィは何なんだ?」
イリスがチラーミィを猫つかみすると、チラーミィはチラーミィは体を捻り、尻尾で叩きつけてきた。
「痛!」
「師匠!」
ミキがイリスに寄ろうとすると、チラーミィがくすぐるをする。
「わっ……は、はは、ひゃ、はう、はは、ははは……」
「何だよこのチラーミィ……フタチマル、シェルブレード!」
イリスがキレ気味にフタチマルを出すと、シェルブレードで切り裂かせる。しかし
「な……!?」
フタチマルのホタチは尻尾による連撃で叩き落された。しかもそれだけではなく、尻尾を鋼鉄のように硬化させ、フタチマルの脳天を攻撃する。
「たぶん、あの尻尾の連続攻撃はスイープビンタです。フタチマルに決めた攻撃はアイアンテールかと」
ミキがイリスに分かったことを伝える。
「スイープビンタとくすぐるはともかく、アイアンテールまで使えるのか……これは、本格的にやばいな……」
そうこうしてる間に、チラーミィはフタチマルをくすぐって攻撃と防御を下げる。
「フタチマル、水の波動!」
フタチマルは口に球状の水を溜め、それを発射しようとするが、突然ひっくり返って不発になる。
「フタチマル……!?」
よく見るとフタチマルの足元に草が絡まっていた。
「草結びか……遠慮はいらないな。フタチマル、ハイドロポンプ!」
フタチマルは大きく息を吸い込んでハイドロポンプを撃つ構えを取る。しかし
「って、逃げるな!」
やばいことを悟ったのか、チラーミィは一目散に森の向こうへ逃げていった。
「……結局、あのチラーミィなんだったのでしょう?」
「さあ……?」
2人は次の日、寝不足になりながらも出発する。その後ろには、白い影が見えるのだった。その影には、2人とも気付かない。
今回はチラーミィを登場させました。いや、別に大した理由ではありません。伏線とか思ったりしないでください。……なんか墓穴を掘った気がしますが、次回予告です。次回は電気石の洞穴のすぐ手前の民家です。霧火さんのオリキャラ、リオの実家でもあります。それと、イリスもそろそろ新しいポケモンをゲットして欲しいかな、とも。というわけで、また次回をお楽しみに。