二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 45章 電気泥棒バチュル ( No.92 )
日時: 2011/04/27 19:58
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http:/ARUGRIZMU

失敗は成功の母、という言葉がある。これは、失敗してもその失敗を次に繋げろ、という意味だ。
しかし
「あー……日が暮れちゃったね」
「……そうですね」
この2人は全く学習していなかった。
「電気石の洞穴までもうちょっとなんだけどなー」
「でも……たぶんそこを通っているうちに明日になっちゃいますよ」
「そうだよね……さて、どうしようか……?」
「この辺に民家とかないですかね?」
「そんな都合良く……あった」
「あったんですか!?」
少し獣道(みたいな道)を行ったところに、ぽつんと一軒の民家があった。
「あそこに住んでる人に、一泊だけさせてもらえないか頼もう」
「はい!」
善は急げ。2人は全力疾走でその民家まで走った。
「ごめんください!」
イリスがドアをノックしつつ、大きな声で言う。
「はい」
すると中から、イリスと同い年くらいの少女が出て来た。というか
『リオさん!?』
出てきたのはPDOヒウン支部統括の、リオだった。

「ここ、リオさんの家だったんですね」
イリスたちはリオに一泊だけ泊めてもらえるように頼んだら、すんなりと了解してくれた。
「うん。休暇中で帰省してるの」
「へえ……キリハさんは、どうしてます?」
「キリハはデスクワークに励んでるわ」

PDOヒウン支部、執務室。
「はあ……リオめ、書類の処理くらいしてから帰ってほしいよ。お陰でデスクワークの類は全部僕がやる羽目になるし……今日は徹夜かな……」
独り寂しくデスクワークに励んでいた。もちろん、そんなことはイリスたちの知るところではない。
「そういえば、ここ最近僕の休暇ってデスクワークで潰れてるような……?」

「ん?」
突然、部屋の電気が消えた。停電だろうか。
「また停電? どうなってるのかしら……」
どうやらこれが最初というわけではないようだ。
「停電、多いんですか?」
「うん。ここ毎日」
「毎日!?」
驚愕だった。
「出て来て、シビルドン」
リオはどこにあったのか、ボールからシビルドンを出し、発光させた。どうやら応急処置らしい。
「あれ? リオさん、シビルドン持ってましたっけ?」
「ああ、このシビルドンは前に冒険してたときの仲間よ。シャンデラ以外は母親に預けてるの」
「へえ、リオさん、PDOに入る前はイッシュを旅してたんですか」
「うん。それで、一緒にポケモンリーグを制覇したの」
「ポケモンリーグ?」
「あ、いや、なんでもない」
リオは慌てたように口を塞ぐ。
「そ、それよりも、停電よ」
「そうですね……なんでこんな頻繁に停電が起こってるのでしょう?」
「ブレーカーが落ちてるわけじゃないのが変なのよね。あ、あと、電気代がやけに高くなったりしてたわね」
「電気代?」
イリスは復唱する。
「……もしかしたら、停電の原因分かったかもしれません」
「え? 本当?」
「はい。とりあえず3人で、この家の周りを捜索しましょう」

そんなこんなで、イリス、リオ、ミキの3人は、家の周りを歩くこと数十秒、停電の原因を見つけた。
そこには、数十体バチュルの群れがあった。
「これですね」
「なるほどね」
「え? どういうことですか?」
理解してる2人に理解してない1人。
「いいかいミキちゃん。バチュルっていうポケモンは、電気を食べて生活するポケモンなんだ。電気といってもいろいろある。例えば静電気とかだ。人間でも大なり小なり電気が流れている、ポケモンも同じだ。それを食べることもあるし、民家の電気を食べるバチュルもいる」
「つまり、このバチュルたちはリオさんの家の電気を食べてたってことですか?」
「そういうこと」
イリスはミキへの説明が終わると、バチュルたちの方を見る。
「どうします、リオさん?」
「どうするもこうするも、ここには近寄らないように仕付けるしかないわ。出て来て、チラチーノ」
リオはそう言って、チラーミィの進化系、チラチーノを出す。
「チラチーノ、歌う」
チラチーノは美しい音色を響かせ、バチュルたちを眠り状態にする。
「あれ? このバチュル、眠らない」
一匹のバチュルだけ、歌うが効かなかったのか、眠っていなかった。
その次の瞬間、バチュルは電気を帯びた網を放ってきた。
「エレキネットね……チラチーノ、ロックブラスト!」
チラチーノは無数の岩を発射し、エレキネットを破る。
「凄い威力だな……」
「私のチラチーノの特性はテクニシャン。威力の低い技の威力が上がるわ。チラチーノ、もう一度ロックブラスト」
再度岩を連射するが、バチュルはそれを辛うじて避ける。
「チラチーノ、追って」
チラチーノは物凄いスピードでバチュルに特攻する。その速度は、かつて戦ったメイルのアーケオスと同等、もしくはそれ以上だ。
「アクアテール!」
チラチーノは尻尾に水を纏わせ、それをバチュルに叩きつけるが
「え? あれ?」
バチュルは全く違うところにいた。
「これって……身代わり?」
身代わりとは、自分の体力を削って身代わりを作り、代わりに攻撃を受けさせる技だ。
と、その時、他のバチュルも一斉に眠りから覚めた。
「リオさん、加勢します」
「私もです」
イリスとミキは、敵の数が一気に増えて、加勢する。
「ありがとう、2人とも」
「いえいえ。出て来い、デスマス!」
「出て来て、モグリュー!」
これより、バチュル(37体)VSリオ、イリス、ミキのバトルが始まる。



電気泥棒というのをご存知でしょうか?電気泥棒とは、他人の家に行ったとき、ゲームや携帯の充電をすることで自分の家の電気代を浮かせようという手段です。……いや、これは本編とは関係無いので、無視してもらって結構です。次回はバチュル(37体)とのバトルです。お楽しみに。