二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 47章 電気石の洞穴 ( No.96 )
- 日時: 2011/04/28 22:47
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http:/ARUGRIZMU
イリスたちは電気石の洞穴に入ろうとするが、そこには巨大な蜘蛛の巣の様なもので塞がれていた。
「何でしょう、これ?」
「さあ……?」
皆目見当がつかないという感じに言葉を返すイリス。その時背後から声が聞こえた。
「それはデンチュラの巣だ」
『?』
イリスとミキは振り返る。するとそこには、ホドモエジムジムリーダーのヤーコンが立っていた。
「ヤーコンさん? 何でここに?」
「ちょっと野暮用でな。このデンチュラの巣を取り除きに来たんだ」
言いながらヤーコンはボールからワルビルを出す。
「行け、ワルビル」
ヤーコンがそう指示すると、ワルビルはデンチュラの巣の前まで進み、爪や歯で切り裂いた。
「よし、戻れワルビル」
「……ありがとうございます」
「ふん、なに。困っている人間を助けるのもジムリーダーの仕事だからな」
そう言い残し、ヤーコンは去っていく。
「じゃあ、行こうか」
「はい」
2人は電気石の洞穴を進んでいく。
電気石の洞穴に入って間も無く、どこからか3体の黒い影が現れた。
「!」
イリスたちを包囲する様に現れた影は、れっきとした人間だった。
「誰だ」
イリスはミキを庇う様にしながら、黒い3人組に問う。
「貴様がイリスだな」
「だったら何だ」
「我々と一緒に来てもらう」
刹那。3人組はイリスだけを包囲する。
「師匠!」
「ミキちゃんはここにいて。僕は大丈夫だから」
イリスだけを包囲したという事は、この3人組はイリスにだけ用があるということ。それを理解したイリスは、ミキをここに待機させる。
「行くぞ」
3人組はイリスを包囲しながら歩き始める。イリスもそれに合わせて歩き出す。
「師匠……」
ミキはそれを見ていることしか出来なかった。
「N様。イリスをお連れしました」
電気石の洞穴を少し進んだところには、なんとNがいた。どうやらこの3人組もプラズマ団のようだ。
「ありがとう。もう下がっていいよ」
Nがそういうと、瞬時に3人組は消えた。
「!?」
「やあ、イリス」
驚愕するイリスをよそに、Nは何食わぬ顔で話しかける。
「N……あの3人組は何だ」
「彼らはダークトリニィ。ゲーチスに忠誠を誓った忠実なる部下さ」
「ダーク、トリニィ……」
イリスはまた厄介なのが現れたな、とか思っていたが、そんなことを知る良しもないNは、話を始める。
「イリス、君は自分が選ばれた人間だと言われたら驚くかい?」
「……?」
イリスは意味不明と言わんばかりに疑問符を浮かべる。
「まあ、いきなり言われても分からないよね。だから、順序立てて説明しよう」
Nは親切にも順番に説明してくれるようだ。
「まず、君はイッシュを救った2人の英雄の話を知っているかい?」
「ああ、それなら知ってる」
イッシュを救った英雄は、遥か昔に存在しているとも言われているが、それは今となってはただの神話か昔話だ。
「それが、存在しているんだ。英雄と呼ばれしポケモン。レシラムとゼクロム。この2体は今このイッシュ地方のどこかに眠っている」
「!」
「何で僕かそんなことを知っているのか気になるよね。答えは簡単だ。僕が、選ばれし人間だからさ。理想の英雄ゼクロムに選ばれているからだ」
「……まさか……」
「ふっ、君だってそうなんだよ。君は真実の英雄レシラムに選ばれた人間だ」
「な!?」
「本当だよ……君にはたしか2人の親友と1人の弟子がいたね」
Nは突然話題を変える。
「チェレンという少年はつかめもしない強さをただただ追い求めている。ベルという少女は自分は強くなれないということを悟っている。ミキという少女は……これは言わないでおこうか。……そして君は、そのどれにも染まらない、ニュートラルな存在なんだ。何色にも染まらない、それが良いらしいんだ」
「…………」
Nが突然告げてきた言葉は、今ここで理解するにはあまりにも衝撃的で、イリスといえども口を閉じるしかなかった。
「今すぐ理解しろとは言わないよ。でも、いつか君と僕は大きな戦いを起こすだろう。それだけは忘れるな」
Nはそういい終わると、踵を返して電気石の洞穴の奥へと進んでいった。
「N……」
イリスは、Nが去るのを、ただじっと見つめるのであった。
その後、イリスはミキと合流し、電気石の洞穴の内部を進む。
「師匠、この浮いてる石なんでしょう?」
「さあ……あ、動いた」
イリスは浮いている石を軽く押すと、前へ動いた。
「それはね、電気同士が引き寄せ合っているのよ」
後ろから女性の声が聞こえたので振り返るイリスとミキ。
「!? アララギ博士!?」
そこにはカノコタウンでポケモンをくれた、アララギがいた。
「あたしもいるよ」
その後ろからベルがピョコッと顔を出す。
「何で、アララギ博士がここに?」
「ここに生息するギアルというポケモンを調べるためよ。ギアルは今から約150年前に姿を現したポケモンなんだけど、それ以前に生息していた痕跡が無いの。つまり、ギアルは約150年前にいきなり出現したポケモンなのよ」
「へえ……」
アララギはポケモンの起源を調べていて、まだ若いながらも世間ではかなりの有名人だ。
「ところでベルはなんでいるの?」
「あたしは博士のボディーガード」
ベルに務まるのか?と言いかけたイリスだが、そこはグッとこらえた。
「師匠、向こうから誰か来ます」
ミキがそう伝えるので、イリスは洞穴の奥の方を見遣る。
「……!」
「師匠?」
「プラズマ団だ……」
そこにはプラズマ団が迫っていた。
今回はダークトリニィにアララギ博士が登場しました。地味にアララギ博士って今回が初登場だったりします。さて次回はプラズマ団と本格的にバトルしますので、お楽しみに。