二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【銀魂】桜吹雪の舞う頃に。 ( No.62 )
- 日時: 2011/05/16 00:27
- 名前: 圭 (ID: jd/Z3uOx)
**もう、戻れない**
3日間奴を観察していて気付いた。
奴は、明日攘夷浪士の仲間と一緒に花見をするそうだ。
場所は、江戸を一望できる丘に1本だけ立っている桜の下だ。
あの場所は、小さい頃父と一緒に花見をしたところだった。
日は昇り、今日で最後の休みとなった。
そして、
————…奴の命も
奴が動き出すまで、私は手紙を書いていた。
真選組のみなさんに向けて、
いままでお世話になりました———…。
「真選組に入ってから、時間が過ぎるの速かったなぁー」
いっつも、副長と沖田さんは喧嘩して、
いっつも、近藤さんはお妙さんにストーキングして、
いっつも、山崎はミントンしてて、
思えば、毎日毎日同じことを繰り返してたなと改めて思った。
でも、そんな毎日でもみんなで心の底から笑って楽しく過ごせてた。
みんながいてくれたから。
今日、そんなみんなを裏切ることになる———
許されないことだとは思ってる。
でも、もう止メラレナイから
いつの間にか、日は暮れていて辺りは真っ暗になっていた。
時刻は10時。
奴はもうあの場所についているころだ。
刀を大事に腰にさし、私もあの場所へ向かった。
着くと、奴たちは酒を飲みどんちゃん騒ぎしていた
月は雲に隠れていて仲間が何人いるのか、はっきりとは分からない。
もうちょっと近くへ…なるべく足音がしないように、気配を消して…
カラン———
しまった、やってしまった、もうおしまいだ、
その言葉だけが頭の中に流れ込む。
そう、足元にあったビンに気付かず蹴ってしまったのだ。
「おや、かわいいネエちゃんじゃねえかおじさんたちと一緒に飲まねえかい?」
仲間の一人が私に気づき声をかけてくる。
そうしたら奴も他の仲間たちにも全員に気づかれてしまった…
しょうがない、こうなったら———
「う、ぅぐぅう…」
私に声をかけてきた奴の腹に刀を突き刺した。
刀を引き抜くとそいつはガクンとひざをつき崩れ落ちた。
「おい、ねえちゃんよぉ、ちょいと調子に乗り過ぎなんじゃねェの!!?」
もう一人の仲間は私めがけて刀を振り下ろした。
グサリ…
返り血が、頬につく。
汚らわしい奴の仲間の血が———…
だが、それを拭いている余裕もない。
仲間たちが一斉に飛びかかってきたから。
その場に残ったのは、奴と
奴の仲間の死体と
わたし。
もう、後戻りはできない———…