二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン〜心に灯る星〜 ( No.376 )
- 日時: 2011/09/11 21:05
- 名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)
八十三話「蝶と神」
『照美っ!!!』
アフロディはその後すぐに病院に運ばれた
「(…かがりの泣き顔が、見えた気がした。アレは…後、僕の事は”照美”と…呼んだ気がした)夢だったのかな」
倒れたことで記憶があやふやになっているアフロディ
円堂とそらが目が覚めたアフロディのところに来た
「大丈夫なのか?」
「もちろんさ。このぐらいの傷」
「そっか…良かった」
「すまなかったな」
謝る円堂にアフロディは
「え?」
そらも
「円堂君…」
「俺達に力がなかったら、お前をこんな目にあわせちまって…」
「別に円堂君達のせいじゃない。あれぐらいのディフェンス破れないなんて…僕もまだまだだね」
「そうね」
アフロディの意見にそらが賛成する
「そらっ!」
「だけど…良かったと思うよ」
そこに吹雪が来た
吹雪は少し笑うような素振りを見せて
「凄いね。君」
そう言って立ち去った
「わかってくれたんだね」
「ああ」
「ありがとう、アフロディ」
円堂が言うとそらが入口で何かを見つけた
「円堂君、もう行こ」
「え?そら…でも」
「大丈夫…照美は話さないといけない子がいるのよ。だから、行きましょ♪」
そう言って二人はその場を離れた
夕焼けに染まる屋上のベンチに座って空を見上げるアフロディに近づく足音
「ここからの夕焼けは意外とキレイね」
その声で少し振り返り
「そうだね」
と笑う
声の主は吹く風にツインテールの髪をなびかせながら
「あたしは…あの頃から、何一つ変わってない。だから、アンタを見た時…置いて行かれた気持ちになった」
「かがり…」
かがりはアフロディとは目を合わさず、空を見上げながら言う
「許せないのはアンタじゃなくて、あたし。何もできない。あたしの方」
「そんな事ない!君はいつも、僕に勇気をくれる!立ち上がり、戦う勇気をっ!」
その言葉に驚いたのかかがりがアフロディを見る
「…変わったね」
「え?」
「あの頃より、強くなってる。あ、でも変わっていない事もある」
かがりが穏やかな表情になる
「あの頃と同じで優しい。あたし、意地っ張りで全然言いたいこと素直に言えないけど…」
「ありがとう。ホントはあの時言いたかった。アンタはあたしにとって大切だった。あたしに”希望”をくれたの」
「嬉しかった。アンタにまた、逢えて。嬉しかったの…だけど、言えなくてっ」
かがりの目に涙が見える
「(アレ、これ…夢で見たのに似てる)」
「もっと、強くなって。もう負けないくらいに…」
-----『置いて行かれた気持ちになった』-----
その言葉がアフロディの脳裏に浮かんだ
「でも…」
「もう、置いてなんかいかせない。あたしが追いつく。追いついて、追い抜くから」
かがりは笑っていた
「うん。追い抜かれたら、僕が追いつかないとね」
アフロディも笑った
「戦いは続いていて、こんなこと。思ったらいけないのかもしれない。だけど…あたし、今”幸せ”」
どこか寂しげで悲しげ。だけどとても澄んだ思い
「いいんじゃないかな。その思いはどんな闇でも輝く光になる」
その後「きっと」と付け加えたが
かがりにはその言葉が何より、嬉しかった
「やっと、肩の荷が下りた気がする。今まで、ずっと背負ってきたものがやっと…」
「あたしに希望をくれて」
「僕に勇気をくれて」
「「ありがとう」」
二人の温かな言葉が重なる
「後、僕のために泣いてくれてありがとう」
その言葉を聞くとかがりは
「!!な、何の事よっ!!!////」
「(あれは夢じゃなかった。僕のために…。大切な--------。)」
かがりは顔を真っ赤にして、そっぽを向く
そして
「…馬鹿--------------------------”照美”」
名を呼んだだけだが、その事が二人にとって
小さくとも、大きな一歩