二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ポケスペ わたしとあなた 修正中のためコメは控えてください; ( No.31 )
日時: 2011/04/07 19:32
名前: 大庭 (ID: BkSc4LvP)

第135話 巣林一枝

過去からは誰も逃げる事が出来ない
面倒臭くて処理が出来ない存在で、しかしそれは時として自分に勇気を分け与える


そんな都合良い過去ばかり覚えていて都合の悪い過去を忘れたいなんて
なんて自分勝手なの———


———昔、オレがここ<ジョウト>に行こうと決意した前夜
不意にこの言葉が蘇る
ああ、忘れたかったのにな。後悔しても遅い

もう思い出してしまったんだから

———アイツは誰だ。オレとそう年齢は変わらないと思う
小柄で長く伸ばした茶髪が特徴で、前髪が長くて瞳が見えなかったが
マイに似ていた、けど

「アイツ……なわけねーよな……」

目線を空に仰がせながら
言葉を紡ぐコウは周りと比べて非常に薄い存在すぎて
コウ自身も自分を見失いそうだった




「……って」

人々が逃げ惑う中、コウは何故か問題発生の地へと足を早める
例え、これが後悔に入る類の過去となっても構わないように

「こ、これは……」

信じられないものを見たコウは眼球がいつもより大きくなった
震えている。その感覚は自分でも分かるし、
周りはいないが周りの人々から見たらビビって立ち尽くす子供に見えるだろう

無数の数のギャラドスが増えに増え続けているではないか
そう、現在進行中に

空中から一本の——洞窟の中に差し込むような光がコイキングにあたる
まぶしくて目を薄めるコウ、しかしその目は再び大きく開かれることになる
信じられなかった。

一瞬にしてコイキングからギャラドスへと進化を遂げたからだ

「コウ!!」
「あ、あや……の」
「何へたり込んでるのよ! あなた男の子でしょう!?」
「怖いんだよ……怖くて逃げたい」

遂にはへたり込んでしまったコウを偶然というのか神の悪戯というか
アヤノと出くわしてしまった
どうやら、アヤノも問題発生を解決しに来たのだろう

「さ! 私と一緒に、いえシルバーさんと一緒に……問題解決しましょう!」
「シルバー、さん?」

聞いたことの無い名前を聞くと自然と首をかしげる
アヤノのいうシルバーさんという人はコウの視野範囲には見当たらなかった

「シルバーさんは、あっちでギャラドスを大人しくさせるためにバトルをしているの」
「…………ば、とる」

あっち、という時に右手の人差し指で湖の南側を指す
するとコウもその指の方向に視線を向ける

「もう、どうしたのよ! 行くわよ!!」

ぐい、と未だ座り込んでいたコウの手を握ると引っ張り上げる
そして、シルバーの所まで行こうとすることもせずに、アヤノのいうあっちの反対側に走り出した

「相手は水ポケモンのギャラドスよ、あなた電気タイプもってる?」
「あ、ああ……」

乗り気のない言葉に不満そうに顔を歪めるがその顔も一瞬に変わる
返事が終わると共に自分の電気タイプポケモンの、モココを繰り出す

「モココ! ‘電気ショック‘!!」

コウの目線は休まることなくモココを指示するアヤノをみたり
モココの電気ショックを受け、湖へと沈んでいくギャラドスを見る

「早く! コウも闘って!!」


                  ‘闘って‘

コウが目覚める瞬間になった言葉
本日何回目かの瞳が大きく開かれる、そして意を決意した瞳に更なる闘志の色が加わる


(オレ変わるよ、兄さん)