二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ポケスペ わたしとあなた 修正中のためコメは控えてください; ( No.52 )
日時: 2011/04/07 19:44
名前: 大庭 (ID: BkSc4LvP)

第156話 眠りの少女ってなによ

「また触ったらどこかに飛んじゃうかもね」
「へ、へんな事いうなよ! オレとアヤだけ残っちまったらどうすんだよ!」

冗談だよー、と手を後頭部に当てさする
そう言ってるわりには、ペタペタとなんの抵抗も無く触っている

「つめたーい」
「お前、怖くないのかよ」
「ぜんぜーん、早くこっち来てみてよ! なんか、凄い!」

マイの首の辺りまである背丈の岩
背伸びをして表面を見てみると、ぽっかりと穴が開いていたではないか
中に手を入れて、探ると何か出てきた

「なんだこれ」
「それ、炎の石じゃねーか?」
「`炎の石`?」

片手で持ちながら、開いている片手でそれを触る
名前の通り赤い、しかし熱くはない

「ふーん……もらっていいよね」
「いや、駄目だろ」

冷静なツッコミを入れてもマイには聞こえていないようだった
瞳が輝きに輝いている

「ほら、先行くぞ。お前のリングしか頼りはねぇんだからな」
「わかったってばー!」

先に歩き出したコウの目を盗んで、こっそりズボンのポケットにそれを入れて駆け出した

「アヤノ、起きるかな」
「さあな。寝かせとけばいいだろ」
「そかな」

背中に負ぶさっているアヤを見て、ふとゴールドを思い出したのか
つい皮肉のような言葉を紡いでしまった

「そういやさ、お前。アヤのこと`アヤノ`って呼んで「そうゆうコウちゃんも、わたしのこと`お前`っていうよね」…そういや、そうだな」

その会話から、ちょっとした間があいた
ようやく自分たちの関係を落ち着いて考え始めれる

(オレはマイに図鑑返さなきゃいけない。けど、まだ返せない
アヤには、マイを手放すわけにもいけないし……)
(盗まれた図鑑、どうしよ。コウちゃん悪い人って感じじゃないし
でもなあ、アヤノがいると怖いしなー)

沈黙してから10分は経っただろうか
アヤがようやく目を覚ました

「あれ……私、寝ちゃったのか」
「ぐっすりだったよ! ねー、コウちゃ——眼線が怖い」

馴れ馴れしくされるのをトコトン嫌うコウだけど、マイはめげずに頑張っている
この頑張りは、ゴールドのおかげとでも言うのだろうか




「私、もう歩けると思う……だいぶ痛み無くなってきたし」
「そうか?」

会話なく進んできた中で、また沈黙を破ったのはアヤで
コウは心配しながら下ろした。言葉の通り、普通に歩けているようだ

「あ、出口!!」
「おかしいな、登りなんて無かったのに、光?」

出口を発見して、走り出すマイ
それについて行きながら考えるコウの考えは、悪い方向に的中した

「マイ、待て!」
「ん? なーに……え」

マイの耳元で何かコウが言った
待て! と言って言う通りになるのは、もはや癖に近い

「いいか。三人で手を繋いで出るんだ」
「う、うん」
「わかったわ。マイ、私とコウの手、絶対に離しちゃ駄目よ」

考えをまとめよう
どうやら、リンクしてここに来た。つまり出口もリンクでどこかに出るかもしれない
大勢でいた方が`まだ`安心できる
という考えから、仲良く手を繋いでいるわけなのだが

マイはちょっと嬉しそうな顔で、コウもまた満足した顔だった


「行くよ、みんなで!」


——駆け出した足は、もう止めれない



(図鑑は必ず返す。約束しよう、アヤを引き止めてやる。これで借りは返すからな)