二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ポケスペ わたしとあなた 修正中のためコメは控えてください; ( No.71 )
日時: 2011/04/07 19:56
名前: 大庭 (ID: BkSc4LvP)

第173話 彼の名前を覚えてみよう

——船なら明日着く予定だから

「えへへ、えへへ、えへへ〜」
「なんだ?笑っててよ」

ミカンの言葉を思い出して俯き<うつむ>自分で抑えて笑っているつもりなのだが、ゴールドにはお見通しのようだった。
嬉しそうに顔を上げればもうソコはポケモンセンターから外へ出る扉の前で、自動ドアがウィィンと機械独特の音で開く、第一歩——

「寒ッ」
「う〜確かに寒くなってきたな……秋だもんなァ」
「長袖にしてよかったよ。あ、ねえ」

外に出てみれば、冷たい秋風がマイとゴールドの肌に触れてくる。
身体を震わせて両腕を擦りながら、マイがゴールドに問う。

「えっと、その"オアシス・オブ・ザ・シーズ"って船に乗ればいいんだよね?」
「ああ、チケットはいらないしな。すっげぇぞ?」
「そうなんだあ、早く乗りたいなあー」

手紙の内容を思い出すように言い、内心照れながらゴールドを見つめる。
ゴールドもマイの目を見て言葉を紡ぐ。後半はマイに期待をさせるような言い方であった。
ポケモンセンターから程遠くない海を思い浮かべながら歩く、海の香りが風と共に誘ってくる。

「あ! 見えた!」
「おー。久しぶりだな……」

ほんの少しだけ歩いただけなのに、豪華客船——"オアシス・オブ・ザ・シーズ"は威風堂々と海の上に居座っていた。
船体には夏だったら目がチカチカするくらい眩い白で塗られていて、秋色の海にてかっている。
懐かしそうに目を細めるゴールドを余所に、手首を掴まれて転びそうになりながらも走らされる。

「いらっしゃいませ。どうぞ船の旅をお楽しみくださいませ」
「おっ! マイ、アイツならきっとなんとかしてくれる」

砂浜に足を取られながらもなんとか船の入り口まで来た。
オレンジと茶色を混ぜ合わせた髪を片方だけバックにしている好青年が黒く清潔なタキシードに身を包んでお客たちを向かいいれている、それを発見したゴールドの出した言葉が——

「イー・モノフェリア・コリッカ=ナイトじゃん! オレの事覚えてっか?」
「ああ、ゴールドさま。おひさしぶりでございます。そちらの方は?」

明らかに年上の彼にタメで話すゴールド、それ以前に彼の名前をスラスラというゴールドにマイはただ目を丸くするだけだった。
その彼——イー・モノフェリア・コリッカ=ナイトが会釈をしてマイに微笑をかけてきた。
耳まで紅潮しゴールドの後ろに隠れ、マイは混乱する。名前に

「え、えと。マイです……」
「僕の名前は「言わなくていい。混乱してるから」そうですね、すいません。ナイトと呼んでください」
「あ……う、な——ないとさん」
「はい」

まだ隠れているマイを気遣ってイー・モノフェリア……いや通称"ナイト"はしゃがみ込み、敵意はないことをしめした。
名前を呼ばれると首をかしげて微笑む。営業スマイルとは違う微笑みだった。

「ゴールドさまは乗船でしょうか?」
「ああ。タンバシティに用があってさ」
「そうですか。ゴールドさまはブラック会員ですのでチケットはいりませんから、お気軽で乗船してもらって構いませんよ」
「おう。あ、ナイトがオレとマイの世話係頼むな」

マイに最後の最後まで微笑みを持ったナイトは立ち上がるとまた会釈をしてゴールドと会話をする。
世話係、という言葉にまた驚いたマイ。ナイトは、勿論でございます。とまた微笑んで船へと案内してくれた。