二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ポケスペ わたしとあなた 修正中のためコメは控えてください; ( No.74 )
日時: 2011/04/07 19:58
名前: 大庭 (ID: BkSc4LvP)

第176話 ふー&あーん

「オレ、サーロインステーキ」
「わたしはねー、トリュフ入り和風シチューとドリンクバー」
「あ、オレもそれ追加ね」

メニューを指差さしてマイが言い、ゴールドは運ばれてきたお冷を飲みながら横目で言う。
オーダーを取りに来たシェフの名は、ナイト同様長ったらしい名前でマイはまた覚えることが出来なかった。

「いや〜空いててよかったな。ここ結構人気ある料理店らしいぜ?」
「ふえー。あ、これも頼めばよかったなぁ……」
「また後で頼めばいいだろ。っておいまじかよ、それ……」

ガラス製のコップから氷の弾ける音がすると一緒にテーブルに置く音、さらにそれと同時進行で椅子を傾けて、店名を指差す。
興味がないのか薄い反い。今興味津々なのはメニューのようだ。
どれだ? と椅子を元の位置に戻して未だに持っているマイのメニューを手に取り、うげっと苦い顔をする。

「えー。おいしそーじゃない? このチョコミントアイスのイチゴ盛」
「女子高校生か……いや、時期になるもんな」
「へんなゴールド——」


***


「わーい! おいしそ〜」
「おー。早かったな」

器用に片手で割り箸をわるゴールドに、両手で割るマイ。ここで性格は別れるらしい。
ゴールドとマイは満足気に運ばれてきた料理を一通り眺めてから、一口に食べた。
満足気にゴールドは次々と口に含んでいき、マイはというと、最初の一口で終わっている。

「おい……マイ?」
「ん〜ッ」

両手で口元を押さえて、ふるふると顔を横に振る。
目じりにはうっすらと涙する見える。

「なんだ!? どうしたんだよ!」
「ん〜ッん〜ッみ、みひゅっみひゅちょーらい!」

蒼白したゴールドが席から立ち上がって傍まで走り寄る。
足を小さくバタつかせて"みひゅ"をゴールドに要求するが"みひゅ"? と首をかしげる。
ぷるぷるとかなり振るわせた手を伸ばし、先にあったものは"水"

「あー"水"な」
「んくっんくっ……っふは」

ひと段落したので席につくと料理を食べ始めると思いきや、
料理そっちのけでマイが面白いのか肩肘をついてじっくりと見る。
顔がりんごのように染まっているマイが口元に水滴を少しつけて言った。

「わたし猫舌なんだよね」
「猫舌〜? 知らなかったぞオレ……いや、知ってたかもしれねえ」

旅に出る前に何度もゴールドの家で食事を共にしていた者同士だからこそ分かること。
思い出し笑いされて恥ずかしいのかシチューをスプーンで軽くすくって、にらめっこする。

「ふーふーすればいいんじゃねーの?」
「ふーふー?」
「んだよ、知らねぇの? こーすんだよ。貸してみ」

笑いをこらえながら言っているのかちょっとだけ声に振るえがある。
その声でマイは知らない単語を言われて疑問符が浮かび、ゴールドは言葉の通りスプーンを手に取って、ふーふーしてやる。
口が開いたままのマイ。かなり驚いていて顔までまた赤くさせた。

「これがふーふーなんだぁ」
「ああ。次食べる時やってみ。ほらよ、あーん」
「あーん。んぐんぐ……あ、熱くない」

ナチュナルにあーんをさせれ恥ずかしがるのもどうかと思ったのか平然と受け取る。
熱くない。と衝撃的だったのか思わず感想を述べてしまった。


(やっぱり見てて飽きないなあ、マイって)
(ほえ? なんか言った?)
(なんでもねーよ。これ食ったあと、何すんの?)
(探検っ)
(ですよねー)