二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ポケスペ わたしとあなた 修正中のためコメは控えてください; ( No.85 )
日時: 2011/04/07 20:04
名前: 大庭 (ID: BkSc4LvP)

第186話 日常が非日常なんだ

あの後、センターに無事泊まることの出来たふたり。
お互いに疲れていたのか起きるのが、午後に近い時間だった。

「サファリパーク行きたいんだけど……」
「別に構わねーけどよ、オレ行かないからさ」
「……?」

たまたまつけたテレビに"サファリパーク今日から開園"というニュースがあり、ポケモンとの触れ合い、捕獲が出来ると聞いてマイは行きたくなったのだけど、珍しくゴールドが乗り気ではなかった。
不思議そうに首をかしげると、ゴールドは握りこぶしを作って宣言した。

「ナンパがしたい」
「ですよねー最近してなかったもんねー」

ワカバにいた頃からナンパ癖のあるゴールドだったが旅に出てナンパをするのをやめたかと思っていたマイ。甘かった。
昔はゴールドが女の子と話してようが何も興味がなかったのでスルーしていたのだが、ちょっとばかり状況が違う。
かなり信頼してきたのだ、この旅で色々と。
だが、はっきりと物事を云える性格ではないので、表情に出さないで、さっきみたいな言葉を述べたのだ。

「じゃ、じゃあわたし、ひとりで行って来るね」
「は? なんで——」

まさかの発言に目を白黒させるゴールド。
少し顔を下にしてマイは出来るだけ早く言った。

「ナンパの邪魔しちゃ悪いし……」
「マイが邪魔? んなこたねーよ」

本当の理由は違うけど、本音は言えなかった。嫌われたくなかったから。
胸が痛むのはよくわからない、もやもやするから早く走り出してスッキリしたい。そんなマイは思わず声が大きくなる。

「で、でもさ! やっぱいいよ! わたしもだいじょぶだし! もしもの時はギアに電話するよ」
「そうか? やっぱオレ、着いてこうか?」
「いい、よ! ナンパしてきなって! わたしの都合に合わせてくれなくてもいいよ!」
(どこまで下に出る気だよ……)
「ゴールド?」
「わかったよ。お前の気持ちを無駄には出来ないからな! 何かあったらすぐに電話しろよ」
「うん!」

ゴールドが納得してくれるとマイは、その場を駆けてセンターから飛び出した。
ギアを手首につけて。道は大体わかる、地図機能があるから。

(——今頃ナンパしてるのかなあ……)

ぼーと空を見上げながら歩いていると、何かにぶつかった。
マイは結構ふらふらしている。

「ご、ごめんなさい! わたしぼーとしててっ」
「こちらこそスミマセン。お怪我はありませんか?」
「へっ!? な、ないです!」

ぶつかったのはマイより年上の、ゴールドと同じくらいの年の子が本を片手に尻餅をついたマイに手を伸ばしていた。
起こしてやるとズレた眼鏡をクイッとあげて、ギアに目がついた。

「そのギア! 数量限定で発売されたのだよね!!」
「よくわかんないけど……」
「凄い! まさかこんな所でお目にかかれるとは! あれ? 地図機能! いいなあ! 僕もこの機能欲しい! あ、サファリに向かう途中かい?」

先ほどとは、全くの別人のように話す少年にマイは少年がギアを見やすいようにあげてやった片腕をあげたまま呆然としていた。
こうして男の子と一対一で話すことはあまり慣れていないのか大量に冷や汗が流れ出て、早くこの場を去りたいと思っていたのに……


(僕もサファリに向かうんだ! 一緒に行こう!)
(えー!)